- まえがき
- 第1章 システムを確立して学級を組織せよ!
- 第1節 ノートに「学級を組織する計画書」を書こう!
- 第2節 チェックと評価で「クラスのシステム」を維持する
- 第3節 学習システムを日々活用する
- 第4節 自らをふりかえるチャンスを与える「自己評価」
- 第5節 「教育の事実」以外に保護者との信頼関係を築くものはない
- 第6節 家庭訪問成功では基本パターンを忠実にこなそう
- 第7節 説明責任を果たす学級通信の役割とは
- 第8節 システムを開発して学級を組織するポイント
- 第2章 優れたパーツで構成する向山型国語の授業
- 第1節 授業の流れは,最初の3分間で決まる!
- 第2節 「パーツ」構成の原理原則を解明する
- 第3節 私が勧める向山型評価技術ベスト3
- 第4節 討論が白熱する向山型「分析批評」の授業
- 第5節 「辞書」の活用で魅力ある授業を創る
- 第6節 「答え方」の原則を5ステップで段階指導する
- 第7節 向山洋一実践「ふるさとの木の葉の駅」を忠実に再現する!
- 第3章 我流を排して向山型算数を貫け!
- 第1節 向山型算数診断チェックをしよう
- 第2節 向山型算数は,流れるような指導でスッキリわかる!
- 第3節 個別指導は4つのポイントをクリアーせよ
- 第4節 授業の導入は,小刻みなチェックをせよ!
- 第5節 二人で授業する「TT指導」の極意
- 第6節 小テストの繰り返しから「実力」を判断する方法(高学年)
- 第7節 私が出会ったCランクの子 コツコツタイプのA君とユックリタイプのB君
- 第8節 私が選んだ難問集
- 第4章 教育技術を駆使して子どもの力を引き出す!
- 第1節 めきめき上達する楽しいクロッキー ――描写力を高める4つの約束
- 第2節 初めての木版画,美しく仕上げる指導法
- 第3節 顕微鏡をのぞく友達(5・6年対象)
- 第4節 かんたんな木彫り指導の基礎技術
- あとがき
まえがき
日本の子ども達の学力が,低下しているという。
「学力低下」の原因はいったい何だろうか。
第一に,
学級経営が失敗したクラスは,学力が低い。
ことがあげられる。
学級のシステムが出鱈目で,子どもがキビキビ動かないクラスでは,学力が定着しない子が多い。
教師がいない朝自習中に,廊下を歩きまわる子がいる。参観日のたびに保護者から苦情がくる。いつも大きな声で繰り返し指示しているので,喉がつぶれる。4月はいいが,6月くらいから,学級の雰囲気が悪くなる。
こうした現象は,学級経営を成功に導くシステムが稼動していないことが主たる原因である。
本書では,向山洋一実践に学び,どのようなシステムを確立すれば学級経営が成功するのかという原理原則を詳しくご紹介した。
また,子ども達の学力低下は,
教師の技量が不足していること。
が原因の1つであると,私は考えている。
こう言うと,「いや,基本的生活習慣が身についていないので,親が悪いのだ。」とか,「私は,一生懸命宿題をだしたが,やってこないのだ。」いう声が聞こえてきそうだ。
多くの新卒教師は,大学で一生懸命に勉強し,かつ難しい教員採用試験に合格して教壇に立つ。
しかし,現在の大学教育の中で,即実践につながる授業の原理原則や教育技術を十分に勉強しているとは言えない。
例を一つ示そう。
到達度評価で,Cランクの子のタイプを分析したことがあるだろうか。
向山洋一氏(TOSS代表)は,到達度評価でCランクの子どもを次の4つに分類している。
@ ウッカリミスタイプ
B段階に近い点をとっている。
A コツコツタイプ
B段階から離れているが,基本問題だけはしっかりマスターしている。
B コレカラタイプ
あれこれの問題に手を出してやっと30点ほどとっている。
C ユックリタイプ
テストが白紙に近く,学習遅進を生んだ何らかの原因がある。
「Cランク」といっても,子どもによってタイプが違うのである。
そのタイプに応じた指導方法の開発が急務である。
今,算数で,「Cランク」の子の力を引き出すための具体的な提案があるのは,向山型算数だけだ。
私の経験では,「Cランク」の子には,たくさんのプリントをさせても,タイルを持たせても,成果が上がらなかった。
「Cランク」の子は,時間を制限されて,たくさんの問題を処理することを嫌がる傾向が強い。
やる前から意欲が減退している子もよく目にする。乱雑な文字で書いたプリントでは,学力はつかない。
プリントは,保存もしにくいので,間違った問題を再度やってみることがしにくい。活用範囲には,おのずと限界があるのだ。
磁石のついたタイルを鉄の板に貼らせる授業も見たことがある。
そのクラスの親は,全員,小さなタイル一つ一つにマジックで名前を書いていた。子どもが落とすからである。「Cランク」の子は,不器用な子もいる。タイルをはがしにくかったり,落としたりしたのでは,学習にはならない。思考は停止するし,教師の指示や説明も聞けない。
百玉そろばんの方が,断然成果が上がる。
「向山型算数」は,次のような指導方法で全国の教室で確実に成果を上げている。
教科書通りに授業する。テンポ良く指示し,小刻みに作業させる。テンポ良く指名する。長い説明をしない。補助計算をきちんと書かせる。ミニ定規を使わせる。うっとりするノートを作る。あかねこ計算スキルを使う。ノートを持って来させて,個別評定する。子どもに板書させる。計算過程を唱えさせる。百玉そろばんを使う。赤鉛筆で薄く書いて,なぞらせる。プリントをさせない。
これは,ほんの一部である。優れた授業は,このような優れたパーツによって構成されているのである。
このような即戦力を身につけた教師だけが,子どもの前に立てるのだ。
学力低下の声に踊らされて,次のようなことをして子どもを苦しめている教師はいないだろうか。
闇雲にドリル学習をさせる。大量のプリントをさせる。出鱈目な教材を使って,教科書を使わない。大量の宿題を出す。できない子を怒鳴る。
このような授業をする教師は,ずぶの素人だ。
国語力がついていないのも教師の指導力が未熟なせいだ。
版画指導して,稚拙な作品ばかりなのは,教師に指導力がないせいだ。
プロの教師なら,成果の上がる指導方法を確立すべきなのである。
本書には,国語科・算数科・図工科での,子ども達の学力が確実に向上する,原理原則やさまざまな教育技術をご紹介した。ぜひ,追試してみていだきたい。今までの我流の方法とは,全く違う世界が開けるはずだ。
向山洋一氏は,
学び続ける教師だけが,子どもの前に立てる。
と言う。
向山洋一教育実践原理原則研究会は,1993年10月に発足し2005年で12年目を迎えた。その間,私たちは,「教師が学ぶ」ということを一貫して求め続けてきた。
しかも,向山洋一教育実践の中から授業の原理原則を抽出し,実践の場で検証し,その原理原則を広く活用するという方法を通してである。授業の腕を上げるには,極めて効率の良い方法である。
私は,法則化運動で,多くの技術・方法を学んだ。これに,原理原則研究会の研究成果である「授業の原理原則」を加えることができた。これは,日本の教育史にとっても,画期的と言える。
本書は,こうした私の研究活動の中から生まれた。
これらは,向山洋一氏や多くの諸先輩方からいただいた指導の中から抽出したエキスである。
本書を一人でも多くの先生方にご活用いただき,子ども達の学力を最大限に引き出していただくことを願っている。
/岡田 健治
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明治図書
















