- 序文 /有田 和正
- まえがき
- T 子供の立場から授業をとらえ直す(私たちが大切にしたいこと)
- 1 私たちの願いと立場
- 2 乗り越えなければならない問題点
- 3 発展教材をどのように位置付けるか
- 4 私たちの主張をどのように表すか
- U 理科・総合一体型の授業実践
- 1 じしゃく(3年生)
- 1 単元について
- (1) 単元の概要/ (2) 単元構想(30時間)/ (3) 単元における理科の位置付け/ (4) 子供の育ちをはぐくむ鍵
- 2 授業の実際
- (1) 出会いにおける素直な驚きや柔軟な発想こそ,子供たちの多様な取り組みの命の巻
- (2) 魚つりゲームのおもしろさを求め,アイデアを膨らませて取り組む中で磁石への見方を深めていく近野さんの巻
- (3) 磁石の不思議な働きに興味をもち,自分なりの取り組みで明らかにしていこうとする荻沢さんの巻
- (4) こだわりをもった取り組みが,個性的な見方・考え方をつくるの巻
- 3 まとめ
- 2 光をあててしらべよう! ――光のひみつ――(3年生)
- 1 単元について
- (1) 単元の概要/ (2) 単元構想(36時間)/ (3) 単元における理科の位置付け/ (4) 子供の育ちをはぐくむ鍵
- 2 授業の実際
- (1) 単元との出会い
- (2) 光の不思議さに目を向けて活動を楽しむH児の追究の巻
- 3 まとめ
- 3 ぼくらがつくる堀小ビオトープ(4年生)
- 1 単元について
- (1) 単元の概要/ (2) 単元構想(74時間)/ (3) 単元における理科の位置付け/ (4) 子供の育ちをはぐくむ鍵
- 2 授業の実際
- (1) ビオトープへの夢をふくらませ,個性的に取り組んでいくの巻
- (2) ビオトープへの願いと現実との狭間で,自然や環境への働きかけ方を見つめていくの巻
- 3 まとめ
- 4 エジソンの館 ――電気のはたらき――(4年生)
- 1 単元について
- (1) 単元の概要/ (2) 単元構想(24時間)/ (3) 単元における理科の位置付け/ (4) 子供の育ちをはぐくむ鍵
- 2 授業の実際
- (1) わたしも小さなエジソンになるぞの巻
- (2) オリジナルのおもちゃづくりに挑戦! の巻
- (3) 夢を描き,喜びを味わう人とのかかわりの場の巻
- 3 まとめ
- 5 いたち川(5年生)
- 1 単元について
- (1) 単元の概要/ (2) 単元構想(82時間)/ (3) 単元における理科の位置付け/ (4) 子供の育ちをはぐくむ鍵
- 2 授業の実際
- (1) 「いたち川」での体験活動を繰り返すことが対象の見方,感じ方を深めていくの巻
- (2) 自他の「いたち川」への見方,感じ方の違いに気付き自分の取り組みを考えていこうとするの巻
- (3) 自分のできることを見い出し,積極的に取り組んでいこうとする子供たちの巻
- 3 まとめ
- 6 明日は晴れるかな ――私たちの生活と天気――(5年生)
- 1 単元について
- (1) 単元の概要/ (2) 単元構想(20時間)/ (3) 単元における理科の位置付け/ (4) 子供の育ちをはぐくむ鍵
- 2 授業の実際
- (1) 追究の多様性が生まれ,一人一人が見通しをもつことができる導入を工夫するの巻
- (2) それぞれが集めたデータをかかわらせることで,天気を変化させる要因が明らかになるの巻
- (3) 予測を繰り返す中でこそ,本当の問題が生まれるの巻
- 3 まとめ
- 7 地久子川 環境ウオッチング ――今,私たちにできること――(6年生)
- 1 単元について
- (1) 単元の概要/ (2) 単元構想(40時間)/ (3) 単元における理科の位置付け/ (4) 子供の育ちをはぐくむ鍵
- 2 授業の実際
- (1) 汚れのとらえ方の違いが,切実感を伴った取り組みへとつながっていくの巻
- (2) 事象に繰り返し働きかけることが,その子らしいものの見方や考え方を強めるの巻
- 3 まとめ
- V 理科・発展総合型の授業実践
- 1 イッツ・ア・昆虫ワールド(3年生)
- 1 単元について
- (1) 単元の概要/ (2) 単元構想(60時間)/ (3) 単元における理科の位置付け/ (4) 子供の育ちをはぐくむ鍵
- 2 授業の実際
- (1) すぐに飼うの? すぐに飼っちゃいけないよの巻
- (2) 本当に僕たちは昆虫たちのことを考えているのかな? の巻
- 3 まとめ
- 2 水の研究(4年生)
- 1 単元について
- (1) 単元の概要/ (2) 単元構想(50時間)/ (3) 単元における理科の位置付け/ (4) 子供の育ちをはぐくむ鍵
- 2 授業の実際
- (1) 水について手当たり次第に調べるの巻(1学期)
- (2) 水の問題解決をしっかり学習し,その子らしいものの見方や考え方を強めるの巻(2学期)
- (3) すばらしい宝物の巻(3学期)
- 3 まとめ
- 3 炭のひみつ ――先人の知恵――(6年生)
- 1 単元について
- (1) 単元の概要/ (2) 単元構想(21時間)/ (3) 単元における理科の位置付け/ (4) 子供の育ちをはぐくむ鍵
- 2 授業の実際
- (1) 炭って,燃やすためのものではなかったの? の巻
- (2) 自分なりの方法で追究していくことで,ますます炭のひみつを確実にしたいという願いを強めるの巻
- 3 まとめ
- W 理科・総合並列型の授業実践
- 1 人の誕生 ――生まれるまでのぼく・わたし――(5年生)
- 1 単元について
- (1) 単元の概要/ (2) 単元構想(30時間)/ (3) 単元における理科の位置付け/ (4) 子供の育ちをはぐくむ鍵
- 2 授業の実際
- (1) 自分のルーツを知りたい!! 生み出される追究の原動力の巻
- (2) 命が生まれるって奇跡の連続だ!! 自然の巧みさ,神秘さへの気づきの巻
- (3) お母さん,お父さん,ありがとう!! 自分だけの誕生秘話の巻
- (4) 自分を大切に生きていきます!! 命の重みは明日への糧の巻
- (5) ぼくらはみんな生きている!! 教科・領域の枠を越えた体験・ふれあい・感動の巻
- 3 まとめ
- 2 命のかがやき ――私たちの命のみなもと――(5年生)
- 1 単元について
- (1) 単元の概要/ (2) 単元構想(37時間)/ (3) 単元における理科の位置付け/ (4) 子供の育ちをはぐくむ鍵
- 2 授業の実際
- (1) 命についての思いを十分に想起し,自分の身近なところから追究の巻
- (2) 一人一人の命について,調べるの巻/ (3) かかわりながら活動を広めるの巻
- 3 まとめ
- 3 マイ パーク プラン活動 ――自分に気付く,“マイ”の活動――(5・6年生)
- 1 単元について
- (1) 単元の概要/ (2) 単元構想(26時間)/ (3) 単元における理科の位置付け/ (4) 子供の育ちをはぐくむ鍵
- 2 授業の実際
- (1) 「マイ パーク プラン」開始! の巻
- (2) 「マイ メダカ」の結婚式から,自分が変わったA男の巻
- (3) 「マイ エコロジカル モンスター」の製作で自分の思いを表現したD子の巻
- 3 まとめ
- 解説 /有田 和正
- あとがき
序文
2002年4月より,新しい学習指導要領が実施され,これまでにない「超薄い教科書」で学習することになり,学力低下が心配されている。折しも,2002年1〜2月に実施された学力テストの結果が公表され,「おおむね良好」と発表された(2002年12月)。わたしは,「はてな?」と思った。
これは,事前に設定していた正答率を上回る教科が多かったからだという。しかし,目標設定値を低く設定すれば「良好」ということになるではないか。詳しくみると前回より結果がよかった問題は全体の四分の一にすぎず,逆に悪かったのはその倍近い。やはり,学力は低下しているとみた方が適当のようだ。
文部科学省は学力低下を予想したのか,2002年4月から実施された学習指導要領を,「教える内容の最低基準」であるとした。これまでずっと到達目標ないし標準としてきたことをあらためたのである。
学習指導要領が「最低基準」となったということは,これを具体化した教科書も当然最低基準ということになった。この最低基準をクリアした子どもには「発展学習」を行うことになり,学習指導要領を超える授業を認めたのである。これは画期的なことではあるが,学校現場に大きな混乱と不安を与えた。
2002年8月22日,文部科学省は,教科書の範囲を超えた「発展学習」や,基礎をじっくり学ぶ「補充学習」の参考となる教師用指導事例集の小学校版を公表した(算数だけ)。これをみると新学習指導要領で削減された内容を軒並みに復活させている。
なお,次回の教科書検定では,発展的な内容の記載を容認するという。すべて学力低下への配慮である。
このような動きをみるにつけ,文部科学省の事例集に頼るより,自分たちで作った方がよいのではないかと考えた。
つまり,「教材・授業開発研究所」の事業の一つとして『新教科書を補う発展教材の開発 国語・社会・算数・理科』を,研究所の支部や研究サークルで出版したいと考え,各支部やサークルに呼びかけた。多くの支部やサークルが積極的に応じてくれた。
教科も希望をつのった。算数・理科の希望が多いだろうと予想していたところ,発展教材の開発が比較的むずかしいといわれる国語と社会を多くの支部・サークルが希望してくれ,驚いた。やはり,すごく意欲的な教師たちだと思った。
各支部・サークルは,地域性やサークルメンバーの特技・特色を生かした,実にユニークな教材を開発してくれ,とてもうれしく,力強く思った。
サークルメンバーは,よく考え,よく理解し,よく知恵を出し合い,新しいものを創り出してくれた。「これが発展教材だ」という決まったものがあるわけではない。だから,多様なものが出てくるのが当然であるし,その方が望ましい。
研究所の支部は北海道から沖縄まで全国にある。準備のできたところから順次出版していくことにしている。今回の出版物は,全国の教師に大きな刺激を与えるものと期待している。
今後は,基礎をじっくり学ぶ「補充教材」の開発も構想し,その準備をしているところである。
今回の一連の出版は,明治図書編集長の江部満氏のお力添えによるところが大きい。記してお礼を申し上げたい。本当にありがとうございました。
2003年1月2日 教材・授業開発研究所代表 /有田 和正
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- 明治図書