学力保障の戦略3
理科の到達目標と授業改革

学力保障の戦略3理科の到達目標と授業改革

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3年から6年までの単元ごとの基礎・基本の達成目標を示し、知識習得改革に向けての「先渡しテスト」を例示している。その段階で基礎・基本を落とさないよう配慮している。


復刊時予価: 2,783円(税込)

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電子書籍版: なし

ISBN:
4-18-608119-0
ジャンル:
理科
刊行:
対象:
小学校
仕様:
A5判 192頁
状態:
絶版
出荷:
復刊次第

目次

もくじの詳細表示

はじめに
T 本書で提案する達成目標作成と授業改革の視点
1 達成目標作成から授業改革へのステップ
2 本研究の基本コンセプト
(1) 観点からの抽出
(2) 「基礎基本」の徹底を
(3) 目標の明確化理論
(4) 知識の習得が中心
(5) ワークを中心に支援改革
(6) 大胆な知識習得改革
3 達成目標を作る―目標の明確化理論
4 授業改革のためのキーワード1「支援の改革」
5 授業改革のためのキーワード2「知識習得の改革」
U 学年別,達成目標一覧
1 3年生
(1) 生物とその環境
(2) 物質とエネルギー
(3) 地球と宇宙
2 4年生
(1) 生物とその環境
(2) 物質とエネルギー
(3) 地球と宇宙
3 5年生
(1) 生物とその環境
(2) 物質とエネルギー
(3) 地球と宇宙
4 6年生
(1) 生物とその環境
(2) 物質とエネルギー
(3) 地球と宇宙
V 単元別,達成目標へ向けての支援の改革,知識習得改革集
1 3年生「じしゃく」での支援改革,知識習得改革
2 3年生「あかりをつけよう」での支援改革,知識習得改革
3 3年生「日なたと日かげ」での支援改革,知識習得改革
4 4年生「物のあたたまり方」での支援改革,知識習得改革
5 4年生「電気のはたらき」での支援改革,知識習得改革
6 5年生「植物の発芽と成長」での支援改革,知識習得改革
7 5年生「流れる水のはたらき」での支援改革,知識習得改革
8 5年生「てこのはたらき」での支援改革,知識習得改革
9 6年生「大地のつくり」での支援改革,知識習得改革
10 6年生「人や動物の体のつくりとはたらき」での支援改革,知識習得改革
11 6年生「電流のはたらき」での支援改革,知識習得改革
12 6年生「ものの燃え方」での支援改革,知識習得改革
W 達成目標がもたらすもの
1 達成目標の設定で,授業はどう変わったか
(1) 目標の妥当性に関する議論
(2) 目標を達成させるための授業の工夫
2 達成目標,授業改革にまつわるQアンドA
おわりに

はじめに

 新指導要領改訂に伴い,基礎基本の徹底と充実が望まれている。達成目標は,「特定の具体的な知識や能力を完全に身に付けることが要求されるといった目標である」(『到達度評価の理論と教育革新』明治図書)といわれている。新指導要領では教育内容を3割減らし,学習方法を身につけることで知識量の減少は補えるという考えにたっている。しかし,最低これだけがわかれば,それでよいというものではない。その先、子どもたちが,より深く,より広く追究し,発展し,目を輝かせて授業にも意欲的に取り組むことを願わない教師はいないであろう。

 本書ではその基礎基本の習得を徹底するにはどうしたらよいかを先ず,達成目標作成から授業改革へステップとして次のように取り上げている。

 理科においては「自然事象への関心,意欲,態度」「科学的思考」「観察・実験の技能・表現」「自然事象についての知識・理解」の4つの評価観点があるが,この4つの観点ごとに達成目標を設定し,その達成目標に即して授業においてどのように支援し,知識習得をさせていったらよいか一つの改革案を提示している。

 従来理科では知識・理解の習得といえば必ずと言っていいほど実験・観察カードが配布され活用されてきた。初めに予想をたてるにしても実験し観察したことの記録が主であった。

 本書で提示する支援改革の一つはワークシートの導入である。あらかじめどんな実験,観察をするかの見通しがつき,活動していく段階で,各自が体験し記入することによって目標を達成しようというものである。

 ワークシートには実験でわかる大切なポイントを問答形式で細かく載せてある。そこで実験をしながら問題を解いていくとシートが完成し,シート1枚で実験方法からまとめまでがカバーできるようになっている。途中において教師,友達のチェックを受け修正もできる。思考の道筋を示した問答形式をとっているので,個々に応じて予想を立てて記入したり,実験して確かめたりした後に答えていく方法もとることができるので,つまずきの発生を防ぐこともできるであろう。

 3年生から6年生まで単元ごとに基礎基本の達成目標を明示し,知識習得改革に向けての先渡しテスト例などが提示されている。そこで重要なことを落とさないで基礎基本を習得させることができる。

 面白い授業をするために,時には児童の思考を混乱させたり,迷わせたりする方法もあるが,本書においてはいかにして基礎基本をきっちり押さえるかを狙っている。本書を参考にすれば,初任教師であっても確実な実験をすることができ,目標に結びつかせることができるものと確信する。

 どこか一つ学年のワークシートの作り方をマスターすれば,他の単元のワークシートもそれに準じてできるように,現在教壇に立ち実際に授業をしている現場の4人の教師から今すぐ使える具体的な提示を行った。

 巷では子どもたちの理科離れが話題になっているが,「子どもたちは本来知りたい,追究したいといった向上心をもっているもの」(『はじめに子どもありき』学芸図書)である。あることができた達成感を味わうことからさらに発展し,追究心が芽生えるように少しでも本書がお役に立つことができれば幸いである。

 子どもたちがわかりやすく取り組めるように,指導する教師が自信を持って着実に実験に取り組む手だてがわかるように,執筆に当たっては最善の努力をしたつもりである。面倒くさがらず,手を抜くことなく,恐れることなく,実験する場を存分に子どもたちに与えていくならば,理科好きな子どもたちがもっともっと増えてくるのではないだろうか。


  2001年11月   /水谷 恒雄

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      明治図書

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