小学校英語セミナー33
「英語ノート」の役立つ使い方情報

小学校英語セミナー33「英語ノート」の役立つ使い方情報

投票受付中

実体験に基づく「英語ノート」のおすすめ活用法や提言を紹介

文科省作成の「英語ノート」が全国の小学校に配布されました。指導資料やCDもつき、すぐ役立つ優れものです。小学校の英語活動はこのノートに大きく依存していくことになりそうです。そういう情勢を踏まえてこのノート使用のナビ情報を満載しました。


復刊時予価: 1,991円(税込)

送料・代引手数料無料

電子書籍版: 未販売

電子化リクエスト受付中

電子書籍化リクエスト

ボタンを押すと電子化リクエストが送信できます。リクエストは弊社での電子化検討及び著者交渉の際に活用させていただきます。

ISBN:
978-4-18-598512-3
ジャンル:
総合的な学習
刊行:
2刷
対象:
小学校
仕様:
B5判 80頁
状態:
絶版
出荷:
復刊次第

もくじ

もくじの詳細表示

特集 「英語ノート」の役立つ使い方情報
「英語ノート」の意義と活用の指針 /影浦 攻
外国語活動のねらいから見た使い方の工夫
(1) 「言語や文化の体験的理解」にどう役立てるか /鈴木 千鶴子
(2) 「コミュニケーションへの積極性の育成」にどう役立てるか /安田 昌則
(3) 「コミュニケーション能力の育成」にどう役立てるか /有村 重輝
「英語ノート」の代表的教材の使い方模範例
(1) 「世界の『こんにちは』を知ろう」(5年)の使い方 /上妻 薫
(2) 「ジェスチャーをしよう」(5年)の使い方 /山田 佳哉
(3) 「数で遊ぼう」(5年)の使い方 /横田 隆子
(4) 「自己紹介をしよう」(5年)の使い方 /吉原 茂
(5) 「いろいろな国の衣装を知ろう」(5年)の使い方 /古谷 伸彦
(6) 「アルファベットで遊ぼう」(6年)の使い方 /木村 千亜紀
(7) 「いろいろな文字があることを知ろう」(6年)の使い方 /大平 晃
(8) 「カレンダーを作ろう」(6年)の使い方 /鐘尾 浩二
(9) 「できることを紹介しよう」(6年)の使い方 /守屋 孝子
(10) 「道案内をしよう」(6年)の使い方 /前田 陽子
提言/私のおススメ「英語ノート」活用法
(1) カードゲームを楽しみながら英語の表現に慣れる /後藤 淳子
(2) Let's begin! /田村 早苗
(3) 「聞く」活動のために活用する /渋谷 徹
(4) 友達と英語で話そう!
〜積極的にコミュニケーションをとるためのゲーム〜 /野々山 紘子
(5) 担任も進んで英語を使おう /藤井 佐代子
(6) 英語ノート+αの指導を /伊庭 修
(7) 自由に使える『英語ノート』 /福田 優子
(8) 学校の実態に応じた味付けを /岩切 宏樹
(9) 「英語ノート」で活動を広げよう /八巻 充憲
(10) 発信する英語活動を楽しもう /渡名 喜留美子
連載
英語活動新しい指導のベーシック・第2回
5年/年間計画と言語材料の解説講座 数で,服で,いろいろな活動で,世界に触れよう /アダチ 徹子
6年/年間計画と言語材料の解説講座 発達段階を考慮した言語材料 /東 仁美
「英語ノート」5年版の使い方・生かし方講座 【Let's Listen】を使いこなす /梅本 龍多
「英語ノート」6年版の使い方・生かし方講座 When is your birthday? /三浦 邦子
「英語ノート」指導資料の読み方・生かし方講座 「柔軟に!」がキーワード /川上 典子
知って役立つ「英語ノート」CD・ICT活用のテクニック集 チャンツで自己表現! /上原 明子
「英語ノート」の活用メソッド・第2回
外来語の実践プラン わたしはだれでしょう? /近藤 千代
「ジェスチャー」の実践プラン 高学年でも体を使って楽しく活動!! ―自分の一日を紹介しよう― /福井 美子
「遊び」の実践プラン 数で遊ぼう 〜ListeningからSpeaking, Communicationへ〜 /都外川 潔
「文字」の実践プラン アルファベットで遊ぼうU /荒武 真奈美
「文化」の実践プラン カレンダーを作ろう(6年 /Lesson3) 上妻 薫
「交流」の実践プラン ゲストと一緒にゲームをしよう /佐藤 広幸
外国語活動で育てる能力の指導原則・第2回
コトバへの気づきを促進しよう! /竹内 理
外国語活動の当面する課題の克服策・第2回
教育課程の編成 /影浦 攻

「英語ノート」の意義と活用の指針

   鹿児島純心女子大学国際人間学部長・教授 /影浦 攻


 平成20年度に,「英語活動等国際理解推進活動事業」として全国の小学校550校の拠点校で『英語ノート』が使用されている。これらの学校には,『英語ノート』(5年生及び6年生)(試作版)の外に,ノートに付随したCDと『英語ノート 指導資料』(第5学年及び第6学年)(試作版)や『小学校外国語活動研修ガイドブック』が配布されており,先生方の便宜に供されているところである。

 平成20年度中にこの試作版の『英語ノート』を利用している先生方からの改善すべきところの指摘を受けて,文部科学省が改訂することになっている。そして,改訂された『英語ノート』を,平成21年度には全国の小学校の5・6年生と先生方に配布し,すべての小学校で利用することが可能となる。このことから,小学校における新しい学習指導要領の本格実施は平成23年度からであるが,外国語活動については,平成21年度から実施が実質上可能となる。

 今号では,『英語ノート』の意義と活用の指針について述べる。


1 『英語ノート』の意義

 『英語ノート』には,三つの意義がある。

 第1点は,「利便性」である。これまで英語活動を実施してきた学校では,指導すべき内容の決定やその順序性について年間活動計画の作成に当たって,相当の苦心が払われてきた。また,教材の作成についても,多かれ少なかれ教師が自分たちの手で試行錯誤を重ねて開発し,それを利用してきた。教材の開発にかける先生方の労力と時間は相当なものである。『英語ノート』が作成されることで,これらの指導内容の検討や教材作成の苦労が大いに緩和されるということになり,便利になるということがある。問題点としては,@これまで5・6学年以外の学年でも行ってきた英語活動をどうするか,指導内容をどうするかなどについての検討が必要になる。Aこれまでの内容や教材との整合性をどうつけるかという問題がある。これまで苦労して作り上げてきた内容や教材を捨ててしまうのはもったいないし,英語ノートを使わないというのも不安である,ということからこれまで行ってきた英語活動の内容との整合性をどう図るかについての検討がいる。

 第2点は,「共通性」である。これまでは,各学校が自分たちの判断で指導すべき内容を決め,その順序性を決めてきた。そこには大きな不安があった。また,各小学校で指導事項がまちまちであったことから,複数の小学校から生徒が来る中学校での指導が非常にやりにくかったという点がある。『英語ノート』が準備されることで,各小学校における指導内容に共通性が出てくることになる。このことは,小学校同士の指導内容の共通性ということだけでなく,中学校においての指導が非常にやりやすくなるという利点がある。中学校の指導に当たっては,まず『英語ノート』の内容を前提にして指導を行うことができることは,中学校の先生方にとっては指導の目安ができることになる。

 第3点は,「資料性」である。『英語ノート』の持つある一定の資料としての価値があり,それを基にしてさらに調べて,追加したり膨らませたり,あるいは関連事項を調べたりできるようになる。また,教師用の『英語ノート 指導資料』を参考にしながら指導ができることは,これまで先生方が知らなかったことが指導資料にあれば,新たに調べる手間が省けるし,大いに参考にもなる。例えば,先生方が知らない世界のあいさつがCDの音声で示せるし,また,教室英語についても生きた英語で示せるなど,大いに参考になる。


2 活用の指針

 『英語ノート』は教科書的な性格を持ってはいるが教科書ではない,という点を確認しておきたい。教科書としての性格からは,全国の小学校が共通して取り扱う内容を示しており,小学校だけでなく中学校にとっても大変便利である。『英語ノート』で扱われている内容については,ある程度すべての学校で指導すべきである。このことは『英語ノート』が持つ特徴である共通性からも言えることである。

 しかし,『英語ノート』は教科書ではないということも認識しておく必要がある。子どもの興味・関心や能力に合った取り扱いや地域の特色を生かした内容を扱うということも可能である。具体的に述べると,@『英語ノート』の使い方は学校に任されている。基本的には,『英語ノート』を使用することになるが,学校の判断で「おおきなかぶ」の話を「ももたろう」の話に置き換えたりして地域の特色を出すことができる。A学年に指定されている内容を学年を入れ替えたり,あるいは,同じ学年で扱う内容を時期を変えたりして指導することも当然可能である。B学校が配当している時間数が年間35時間を超える場合には,それに見合う内容を追加したり,あるいは同じ内容を膨らませたりして扱うことも可能である。C文字の扱いについては,一工夫必要である。『英語ノート』では,第6学年の最初に配当されているが,これまでの指導の整合性からこれを第6学年の最後に回して,中学校と連携を図るなど工夫をすればいい。Dさらに,第5・6学年以下の学年でも指導している際の教材として,『英語ノート』を扱うことも可能ではある。低学年においては,第5・6学年での指導内容を易しい内容に手直しをしたり広げたりするなどして,子どもの負担にならないように十分配慮する必要がある。

 『英語ノート』を小・中連携の観点から活用することも大切である。『英語ノート』を利用した授業を小・中の教師が授業を見合って,指導内容についてお互いに情報を共有することによって,中学校の入門期の指導内容を検討する必要がある。また指導方法についても,小学校で行われている指導方法と中学校で行われている指導法の相違点と同じ点を明らかにすることによって,具体的に意見交換ができるようになる。『英語ノート』があることがお互いの意見交換を容易にしてくれるという利点がある。

    • この商品は皆様からのご感想・ご意見を募集中です

      明治図書

ページトップへ