- はじめに
- パネルシアターの準備
- 絵人形を作ろう
- 舞台を作ろう
- さあ,ブラックシアターに挑戦しよう
- 仕掛けのいろいろ@
- 仕掛けのいろいろA
- うさぎのダンス
- こぎつね
- くだものさんの秘密
- めだかの兄妹
- うらしまたろう
- 豆太郎・炭之助・フニャ吉くんの旅
はじめに
真っ暗な部屋に浮かび上がるパネルシアターは,子どもたちに幻想的な雰囲気を与え,楽しさをもたらしますし,子どもたちは美しく光る作品を見て,「なぜ,光るの?」「どうして,あんなにきれいなの?」と,興味を示し,熱心に見てくれます。
このような姿を見ると,美しいものを美しいと素直に表現できる子どもたちのすばらしさをあらためて感じさせられる瞬間を味わうのです。
こんなすばらしい瞬間を味わう機会を創設者の古宇田亮順先生からいただいて25年以上がたちました。
その後,多くの先生方の手によってパネルシアターは全国の幼稚園や保育園の先生方に紹介され,保育の場で展開されています。
しかし,パネルシアターの演示が何らかの専門性をもってしまい,保育の現場から離れ,何かの行事のために専門家と呼ばれる人を呼び,その時のみの楽しみになっているような気もします。
このことは決して悪いことではありませんが,本来私が考えるパネルシアターは,保育士と子どもたちの共同作業として楽しむためにあるのではないのかということです。
共同作業とは,決して子どもたちと一緒に作品を作ることばかりではなく,保育士が子どもたちの喜ぶ笑顔を思い浮かべながら作品を作り,演じ,一体感を共有することも共同作業になるのです。
そのためには,はじめに書きましたように,子どもたちが「美しい」「楽しい」と,素直に表現できるような作品を作らなくてはならないのです。
決して手を抜いてはいけません。ていねいに色を塗り,作品の内容を十分理解し,表現豊かに演じることが大切になってきます。
そのような意味から今回もパネルシアターの作品を紹介しました。決してこの作品がすべて子どもたちの喜びや驚きの表現を引き出すとは限らないと思います。しかし,少しでもお役に立てばと思い,まとめてみました。
また,この本に載せた作品は,ブラックライト用として紹介しましたが,だからといって決して白パネルで子どもたちに演じてはいけないということではありません。白パネルとしても演じてあげてください。
しかし,できることならば,ブラックライトを当てて子どもたちを対象に演じてあげてください。
私が長年山のくらしのお手伝いをしている幼稚園では,保育室ではなく夜の野外で子どもたちにブラックライトの作品を演じています。
自然の暗闇の中,木々に囲まれた環境で子どもたちと一緒にあの淡い幻想的な作品を楽しむことにより,より子どもたちに感動を与えています。
このように演じる環境を考えてパネルシアターを考えてください。
人工的に暗闇を作って演じることも大切ですが,自然の暗闇の中で演ずることも子どもたちにとって違う何かを感じる機会となるのです。
多くの先生方が様々な環境を利用し,その環境に合った作品を子どもたちと一緒になって楽しんでいただくためのお役に立てばと思っています。
/水野 豊二
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