- はじめに
- さあ,パネルシアターをつくろう
- ◆上手に演じるために
- ◆演じる環境を整えて
- ◆作品に愛を込めて
- パネルシアターの準備
- 絵人形を作ろう
- 舞台パネルを作ろう
- オナカの大きな王子様
- カメレオン
- ドロップスのうた
- たなばたものがたり
- かぐやひめ
- きよしこのよる
はじめに
若い保育者みなさんに,「パネルシアターの魅力とは何ですか」と問われることがあります。
そのようなとき私は,「一度,先生自身で子どもたちの前で演じてください。子どもたちが答えを出してくれるかも知れません」と答えるようにしています。
パネル(舞台)上で繰り広げられる物語や歌遊び,クイズといった世界に子どもたちは自分のイメージをふくらませ,目を輝かせていきます。そのような子どもたちの姿を見ることにより,自ずから質問の答えは分かっていくのです。
それが,パネルシアターの特徴の一つとも言え,パネルシアターの省略された部分(例えば背景など)が,かえって子どもたちのイメージをふくらませていきます。
また,演じる先生が絶えず子どもたちの表情や動きに注目し,子どもたちのテンポに合わせて演じることができる点もあげられるでしょう。このことは,演じる先生も絵人形の一部だととらえ,子どもたちとともに楽しむ姿勢で演じることにより,子どもたちと心を通わせることができるのです。
今回は,ブラックライトと黒パネル,蛍光ポスターカラーを使った作品を「ブラックシアター編」としてまとめました。
私が25年ほど前に初めてパネルシアターの創始者である古宇田亮順先生の作品を目にし,そのときの淡く光る作品「くもの糸」を今でも思い出します。そしてその感動を子どもたちにぜひとも伝えたいと願って,作品をまとめてみました。
しかし,どんなにすばらしいブラックシアターの作品でも,すべてが子どもたちに感動を与えるのかと言えば,そんなことはありません。子どもたちが感動をもって作品に触れるためには,先生が愛情のある明るい態度で演じることが大切です。
このすばらしいブラックシアターを,ぜひ先生方が日々の保育の一環として取り入れてくださるように願います。そして,その作品のよさを子どもたちと一緒に楽しむ瞬間を味わってください。
/水野 豊二
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- 明治図書