“揺るぎない信念”で新しい学校を創る

“揺るぎない信念”で新しい学校を創る

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学校の教育力を回復させるために今すべきことを提案する。

今、教育に問題を感じないという人はいない−といわれるほど、沢山の問題を抱える教育界。なぜそうなってしまったのか。戦後教育の出発点での大いなる誤りがアヘンのごとく日本人全体に毒がまわったという指摘のもと、どう変革をしていくか、再建への道を示す。


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ISBN:
4-18-527015-1
ジャンル:
学校経営
刊行:
2刷
対象:
小・中・他
仕様:
A5判 232頁
状態:
絶版
出荷:
復刊次第

目次

もくじの詳細表示

発刊にあたって
第T章 義務教育学校の役割
―その阻害点と解決の理念―
1.教員が,義務教育学校の役割を曖昧に捉えている
2.教員が,子供に,夢や希望を語らなくなっている
3.教員が,子供に,感性を涵養することを忘れている
4.教員が,子供に,示範することを怠っている
5.教員が,祖先の業績を,偉業として誇らなくなっている
6.教員が,人の力を超えるものへ,畏敬の念を払わなくなっている
7.義務教育力の復活は,教員の意識改善に尽きる
第U章 学校教育 再建の道
―座談会―
1.教員は,「教育は人」のいわれを自覚し,揺ぎない信念で職責を全うしてほしい
2.教員は,伝統的な文化を尊重し,その伝承に努め,日本人を育ててほしい
3.教員は,家庭や地域の教育力回復へも,工夫や努力をしてほしい
4.教員は,公共・奉仕が自然に行われていく雰囲気を醸成してほしい
5.教員は,所属する社会を誇り愛する心を育み育ててほしい
6.教員は,宗教的情操の涵養から,豊かな心を育ててほしい
7.教員は,この職にあることを誇り,子供のために全力を尽くしてほしい
第V章 学校の教育力を回復するために
―いま,学校が成すべきことは何か―
1.在るべき教員像を策定して,信頼される学校教育を
序 真の教育の目的を踏まえて,学校教育の充実を考える
項1 学習の基礎・基本の確かな定着に心掛ける
項2 学校教育目標を踏まえた適切な教育課程を編成する
項3 日本の伝統文化を継承し,本来の学校教育の徹底に努める
2.日本の伝統を尊重して,文化の伝承に努める学校教育を
序 本来の教育を見直し,日本の伝統を確かめ,日本の文化を伝える
項1 新時代の教員に期待される新しい資質能力
項2 豊かな感性と,公平・包容力・安定した情緒等の資質
項3 使命感に燃え,子供の興味・関心・意欲を喚起し,学習姿勢を涵養する
3.家庭や地域・社会教育の内容を明確にし,目標を焦点化した学校教育の推進を
序 学校教育充実の基礎は,家庭にあり
項1 教育の基本としての,家庭教育の充実に努める
項2 家庭教育の充実・支援,固有な教育機能の尊重と育成
項3 学校教育の充実を図り,家庭教育・社会教育との連携を深める
4.自己実現をめざすとともに,公共の福祉・奉仕の精神を育む学校教育を
序 一人一人の個性を伸ばし,積極的に社会に貢献しよう
項1 学習に対する興味・関心を高め,自己の特性に気づかせ,その伸長を図る
項2 自己の特性を生かし,進んで公共の福祉・奉仕に努める心情を育てる
項3 21世紀を切り拓くための,必要な能力や健やかな体の育成に努める
5.日本の国と郷土を愛し,日本人としての誇りをもたせる学校教育を
序 自分が生まれ育ち生活しているところに愛着をもち,自分が日本人であることを誇らしく思うように育てることが必要である
項1 家族や地域社会及び学校を構成する一員である自覚を育てる
項2 家庭や地域社会の生活の中で,日本人としての誇りを育てる
項3 国際社会の中での,日本人としての生き方を育てる
6.常に義務と責任を思い,自・他共に尊重し,男・女互いに敬愛し,協力して社会を創っていく態度を身に付けさせる学校教育を!
序 日本人としての「公民意識」を育てるには,日本の伝統的な精神文化と,社会的な規範を教える
項1 個人の尊厳は,お互いに尊重し合ってこそ護られることを教える
項2 社会的存在としての人間には,権利の主張とともに,義務が伴うことを教える
項3 男女は,互いに優れたところを認め,足らざるを補ってこそ平等であることを教える
7.宗教的な情操の涵養を重視して,豊かな心を育てる学校教育を
序 生命尊重のためには,自然や生命への畏敬の念や,自然愛護の心を育てることが必要である
項1 自然の教育力により,自然への理解と豊かな心を育てる
項2 道徳教育の深化と徹底により,望ましい人間としての心や行動力を育てる
項3 日本古来の,自然や生命への畏敬の念を育てる
項4 日本独特の,美意識や恥の意識を育てる
第W章 学校教育を支える教員養成と研修
1.教員養成系大学・学部の教員の,資質の向上を
2.使命感,実践的指導力を高める,充実した教育実習を
3.校内での切磋琢磨で,教員の資質向上を
4.「正しい心構え」で研修を
第X章 学校教育を支える教育行政
1.日本国の将来を見据えたビジョンを明示し,教育基本法を改正すること
2.教育行政の在り方を再検討すること
3.行政は,充実した学校教育が行われるよう,常に支援の姿勢で臨むこと
4.教員の,資質向上の方策をもつこと
編集後記

発刊にあたって

 本会の会員は,人生のほとんどを教育のために捧げてきた先達たちである。従って,教育界の現状を想い,社会の現況を眺める時,等しく「なんとかしなくては」と悩んできた。そして長い年月に渡り「教育の在るべき姿」を研究してきた。この成果を浸透させるべく,一歩一歩の努力もしてきた。

 啓蒙書の出版も,その一つである。現在学校教育に携わっている先生方や,子供を学校に通わせている保護者の方々に,そして地域の教育関係者にも,少しでも私たちの考える「在るべき教育の姿」をご理解いただき,その具現化に,共にご尽力いただきたいという願いを込めての出版である。

 現状改善を訴えて出版したのが,第1回の『日本の教育はこれでいいのか』(平成12年6月,表現社刊)である。学校管理という学校内部からの改革に揺さ振りをかけるべく出版したのが『気迫ある管理が,新しい学校を創る』(平成14年11月,明治図書刊)である。共に「洛陽の紙価を高からしめる」までにはいかなかったが,大きな反響を呼んだと自負している。

 しかし,いまなお教育界は,急激な社会の変化に流され,多様な価値観に惑わされている。不易の「日本人を育てる」という学校教育の役割さえ疎かにされている。そこで新たに『揺ぎない信念で,新しい学校を創る』の出版を思いたったのである。


 明治の先覚者,福澤諭吉は,「政治上の失敗の影響は大きいが,それに気づいて改めれば,鏡面の曇りを拭うのと同じで,疵跡は残らない。だが,教育の失敗は,阿片のように全身に毒が回るのに,表面に現れるまでに歳月を要するので,気づくことが遅れ,回復にも長い時間がかかる」と述べている。

 戦後の占領軍主導の教育改革は,まさに諭吉の言う阿片であった。封建主義に対する民主主義,全体主義に対する個人主義への転換は間違っていない。しかし,転換の徹底を急ぐあまり,安易に「教育基本法」の制定を認めたり,「教育勅語」の失効を議決したりの失敗を重ねてしまった。それが阿片の如く,半世紀余を経た今日,日本の教育を蝕んでいるのである。

 かつて,国際的に評価された日本人の「礼儀正しさ・教養の豊かさ・感性の鋭さ」などは,戦前の教育の成果である。それが,教育基本法で「伝統的な文化の尊重や宗教的情操の涵養」等が無視されたために,愛国心とともに,日本人から抜け落ちてしまったのである。

 戦前・戦中の教員は「国家・社会に有為な人材を育成する」という共通の目的を抱いて,燃えていたのである。それが,「全体主義」であると否定された。代わって,学校教育の目的に据わったのが「個の尊重」である。そこで,全体と個を絶対的対立と捉える誤った流行が起こった。教員はやむなく全体を否定し,個の尊重に偏った教育へ走り,今日の混乱を生んだのである。

 個別的個が,それぞれの個の責任を果たす時,集合体としての全体的個に成長する。学校や国も同じである。構成する個が,それぞれ分担した個の義務を遂行するから,主体的全体としての学校や国が成立するのである。


 最後に,キケロ(BC.106〜43)の「畑は,その土地がどんなに肥沃でも,耕さなくては豊かな稔りは望めない」の言葉を想い出したい。人間の場合も同じである。心を耕していかなくては,人間として育たないのである。

 子供は,可能性豊かな土壌ではある。しかしまず、隠れている悪の根を抜かなくてはならない。そのうえで,その土壌に適した種を選び,植え、心を込めて育てる。そういう過程があって初めて,見事な果実を結び,次の世代への貴重な種子も期待できるのである。


 以上のような趣旨での出版である。この「あるべき教育の姿」を,それぞれの信念として,次代の日本人を育てる責任に燃え,力強く実践の歩みを踏み出してほしいと切願し,ここに本書を世に問う次第である。


   会長 /土橋 荘司

著者紹介

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 本委員は,全連退の,教育課題検討委員会を中枢に,全国の会員に呼びかけて構成されている。

 教育課題検討委員会は,当初,中教審対策委員会として発足,以来その名称を変えながら,毎月1〜2回の研究会を重ねて,すでに10年になろうとしている。

 その間,研究の成果を「家庭教育の在り方」「基礎・基本」「評価」等にまとめ,世に問うてきた。

 本書は,『“気迫ある管理”が新しい学校を創る』(14年11月,明治図書)に次ぐ,いわば,その発展としてまとめたものである。

 本書の主張に対し,ぜひ,大方の批判を賜りたいと願っている。

※この情報は、本書が刊行された当時の奥付の記載内容に基づいて作成されています。
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      明治図書
    • 中堅研修のレポートを書くための資料を探していたところ、本書に出会いました。何と真っ当なことが書かれているのかと、深く感嘆した次第です。本来の学校のあるべき姿を見失った現在の学校は、教育本来の不易な原則に立ち返った方針で学校運営を行っていくべきと思っておりました。教育課程編成もそうした視点で行うべきと思っておりますが、現状はなにやら騒々しい改革に合わせた、新しいマネジメントとかで、何とも軽く華美に走ったような学校運営が行われようとしています。こういうのに不満があったので、本来の基本姿勢に立ち返った方針の打ち出しに、非常に共感を覚えました。できますれば、県教委の指導主事レベルが、このように考えてくれればいいのですが・・・・・
      ぜひ、皆様のお力で煩雑化させるだけの現在の教育委員会の指導方針を改めさせて下さい。今の教師は考える時間がほとんどなく、それでもこなせる力だけが評価されるような環境になっています。この余裕のなさは異常ではないでしょうか。サービス残業ともいえる部分が当然視されている中で、ほとんどの教師は研修も深まることなく、日常をこなすだけで精一杯になっています。皆様の教育改革の提言は、下から受け入れて改革するのではなく、ぜひ上からこの改革の重要性を認識して、各学校に指導を入れる流れのほうが、ずっと効果的です。できればそうなってほしいと思います。
       
       
      2006/7/24鳥船

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