- わが市の教育改革“再生と創造” 新城市長 /山本 芳央
- 第1章 教育の何がゆらいでいるのか
- 〜教育の基盤を考える〜
- 1 子どもたちの姿が語るもの
- 2 “青少年アンケート”から見えてくるもの
- 3 教育の基盤整備として思うもの
- 第2章 私たちの学校づくり
- 〜教育改革への取り組み〜
- 1 基本のスタンス
- 2 教育改革の方向を考える
- コラム 定例教育委員会の会議
- 提言1 「地域」と「学校」の統一による実践 /鈴木 喜代春
- 提言2 郷土音楽教育の奨め /三隅 治雄
- 提言3 地芝居の効用−文化活動と教育− /安田 文吉
- 提言4 励ますものは何か /山口 香
- 提言5 “建築家・研究者”の目からみたこれからの学校 /渡邉 昭彦
- 第3章 学校は 今
- 〜新城の学校経営〜
- 心を伝える――
- 1 歌で始まる学校 /庭野小学校
- 2 わたしの小さな図書館
- 木陰で読書 /東郷西小学校
- 子どもが選ぶ図書事業 /千郷小学校
- 3 心が動き,心が届く一行詩 /千郷中学校
- 4 教室に“2(ツー)ハート”を /八名中学校
- ふるさとを学ぶ――
- 1 メダカの学校 /八名小学校
- 2 設楽原総合学習の学校 /東郷東小学校
- 3 ぐるっと千郷30キロ /千郷中学校
- 4 10時半の気温調べ /庭野小学校
- コラム 気象観測56年の八名中学校
- 5 学校のビオトープ /舟着小学校
- 自分を励ます――
- 1 走る学校 /舟着小学校
- 2 “たて”のリレー
- 縦割り班の1年 /千郷小学校
- サン・フラワー運動 /八名中学校
- 3 「見えるテスト」への挑戦 /東郷中学校
- 4 職場体験学習の16年 /新城中学校
- 5 小さな私の出番 /東郷西小学校
- 学校の土台を考える――
- 1 朝の会,帰りの会の工夫
- 朝のお話,帰りのお話 /新城小学校
- 1年生の朝の会 /東郷東小学校
- 2 授業研究の手続き /新城小学校
- 3 30分モジュール学習 /東郷中学校
- 4 TTから少人数学習へ /千郷小学校
- 第4章 連携の中で
- 〜地域,生涯学習,学校間の連携〜
- 実践を支える“三つのベース”――
- 1 “しつけ”と“すすめ”
- 2 チャレンジの気風
- 3 新城市の学力調査
- 生涯学習の中の学校――
- 1 親子で学ぶ地震学習 /八名小学校
- 2 授業時間の中の市民パソコン教室 /新城中学校
- 3 ユリの里,ユリの学校
- 4 市民の見守る学校〜アオバズクの巣立ち〜
- 5 もうひとつの学校〜土曜子ども教室〜
- コラム 子どもたちの伝統芸能,文化活動
- 学校の要――
- 二つの研修
- あとがき 新城市教育委員会教育長 /小林 芳春
わが市の教育改革“再生と創造”
新城市長 /山本 芳央
時に,ふっと思い出すことがあります。
・今,学校に通う子どもたちの姿の中にも,かつての自分たちの姿があることを
・級友と飛び回った学校の校庭が,当時,ずいぶん広かった(そう感じていた)ことを
それと共に,必ず浮かんでくることがあります。
小学校の中学年だったと思います。担任の先生が,朝礼のときに,級友たちの前で私のつたない作文を取り上げてコメントをしてくださったことを。こそばゆい感じがしましたが,内心,無性にうれしいものがこみ上げてきました。心の奥で,“そうか”と思うものが働いたように感じますが,そこから先ははっきりしません。
あのときの小さなできごと,小さな思い出は,その後の私に少なからず影響をあたえていたのではないかと,今になって思います。高校・大学と弁論部に所属しましたが,そこへつながっているように思います。幼かったころのこと,子ども時代のことが,やがて姿を変えて再生していくように思えるのです。
野の草の匂い漂うふるさと,わたしたちのまち新城市を思うとき,新城文化会館の前庭に立つ自然石のモニュメントに刻まれた“再生と創造”の文字が浮かびます。そこには,新しい市づくりにかける想いと決意を,この4文字に託したつもりでいます。
現在,自治体行政にしても教育制度にしても,「改革の声」は日増しに大きくなっています。時代がそれを必要とする動きだと受け止めていますが,大切なのは,時間はかかるかもしれませんが,ここまでの足跡・今の歩みを再生していくことだと考えます。そして,さらに磨きをかけて新たに構築する創造的な考え方ではないでしょうか。
今,教育改革の一つとして,文部科学省は,学校運営協議会を通じて,学校運営に地域住民や保護者の参画を期待し,地域に根ざした特色ある学校づくりの実現を目指そうとしています。実は,わが市においても,学校を家庭・地域に開くことで市民とともに私たちの教育を創り出していこうとする動きが根づき始めています。その一つが,本市の「今月の学校」運動です。これは,子どもの安全の問題,学力の問題,生活指導の問題など,様々な学校を取り巻く課題を「学校を開く」ことで理解を深め,より多くの声を聞く中で,明日の一歩を踏み出そうとする,ささやかではあるが新しい形の市民参画型の教育改革ではないかと思います。
地域の教育力という言葉が,どこか遠くへ行ってしまった感のある最近の世相ですが,私たちの地域のそれぞれの学校が取り組んでいる多くの試みは,新城にふさわしい「明日の教育」を創り出そうとするわが市の小さな教育改革にほかなりません。この冊子はその記録です。新城市の総合的な教育力をいかに創り上げていくかがこれからの課題であります。今回,5人の先生方から貴重なご提言をいただきました。
今,長い歴史を刻みながら歩んできたわが市も,市町村合併の時を迎えようとしています。新しい時代の大きなうねりの中の転換期だからこそ,“再生と創造”を機軸にした着実な一歩を踏み出す好機であるのです。
-
明治図書
















