- はじめに
- 1 学びをつなぐ
- 遊びのなかの「学びの過程」とは?
- 「学びの過程」を支えるもの
- 「学びの過程」を支える四つの柱 誕生エピソード
- コラム1 黄砂君の夢:現実…これは大変、大きな宿題
- 2 三歳児―四歳児―五歳児をつなぐ
- 木工遊びにみる四つの柱
- 砂遊びの子どもたち
- 三歳児「砂、水に触れて」
- 四歳児「全力で」
- 五歳児「目的をもって」
- 石けん遊びの子どもたち
- 三歳児「ニュルニュル、気持ちいい」
- 四歳児「石けん遊び、ヤッター」
- 五歳児「こだわりをもつ≠ゥら友達≠ヨ」
- ごっこ遊びの子どもたち
- 三歳児「みんなのパワーを集めて!」
- 四歳児「いくぞ― テックブースターだ!」
- 五歳児「こわーいお化け屋敷だよ」
- コラム2 黄砂君の夢:受容…「今」「ここ」「この仲間」との「かけがえのない出逢い」
- 3 幼――小をつなぐ
- なぜ連携(つなぐ)に一生懸命になっているのか
- 敷居の高い小学校・天井の低い幼稚園
- 幼稚園の教師からみた小学校の学び
- 小学校の教師からみた幼稚園の学び
- 幼稚園参観 最初は???それから!!!
- 幼稚園の先生は園芸家
- 小学校教育に幼稚園的学びを・・・
- 幼小の教師交換大作戦
- 幼小 大バトル大会
- コラム3 黄砂君の夢:感動…「あわづくり」発「融合期の総合的な学習の時間」行き
- 4 教師をつなぐ
- エピソードの集積
- カンファレンスってなあに?
- 三歳児カンファレンス
- 四歳児カンファレンス
- 五歳児カンファレンス
- 保健室カンファレンス
- 小一カンファレンス(幼小合同カンファレンス)
- 「向かい合う」ことでつながる ―集積とカンファレンスの役割―
- 保育を振り返るということ
- 他者と保育について語り合うということ
- カンファレンスを「向かい合い」の場とするために
- 保育の知を共有する
- コラム4 黄砂君の夢:拍手…鬼遊びもリレーも、力を抜かず全力疾走!
- 5 幼稚園と保護者をつなぐ
- 幼稚園で今、子どもたちは
- ご感想をお寄せください
- 子どもの生活のなかに ―サークル活動―
- 一緒に子育てがんばりましょう ―お誕生会後のおしゃべり会―
- 園長・副園長がお待ちしています ―園長・副園長との懇談―
- コラム5 黄砂君の夢:握手…子どもの「ねがい」と教師の「ねらい」
- 6 仲間をつなぐ
- 東京学芸大学教育学部附属竹早幼稚園・小学校との出逢い
- 滋賀附幼で苦楽を共にした仲間たち
- コラム6 黄砂君の夢:感謝…「教」と「育」
- 付録 教育課程と指導計画
- 四校園一体型・十二年一貫カリキュラムとは
- 教育課程 三歳児 すみれ組(三年保育)
- 教育課程 四歳児 もも組(二年保育)
- 教育課程 四歳児 さくら組(三年保育二年保育混合)
- 教育課程 五歳児
- 指導計画 三歳児 すみれ組 四月
- 指導計画 四歳児 さくら組・もも組 九月
- 指導計画 五歳児 あやめ組・きく組 五月
- 保健指導年間計画表
- コラム7 黄砂君の夢:合掌…命、身体、かかわり ―競争発・協想経由・共創行き―
- おわりに
はじめに
『学びをつなぐ―幼小連携からみえてきた幼稚園の学び―』をお届けします。
滋賀大学教育学部附属四校園(附属幼稚園・附属小学校・附属中学校・附属養護学校)では、平成十二年度から十四年度の三年間にわたる文部科学省研究開発指定を受け共同研究を進めてまいりました。
我々の附属学校園では、幼稚園・小学校・中学校の十二年間、養護学校は小学部・中学部・高等部の十二年間を通して、同じキャンパス内で学び続けていきます。この共同研究は、その長所を活かしながら、「接続」と「共生」をキーワードに、相互の連携をこれまで以上に意識し、強化してきました。そして四校園が一体となり、「表現」「思考」「情報・コミュニケーション」「ヒューマンライフ」とそれらが重なり合う「総合」の五つの観点で、十二年間を通したカリキュラムの作成を目的として研究を進めてきました。なお、共同研究の概要については、本書第1章を、さらに詳細については、同研究報告書である附属学校園研究紀要『「今を生きる」教育の充実と創造』(二〇〇二年)をご参照ください。
本書『学びをつなぐ』は、その共同研究の成果をふまえ、さらに幼稚園独自の継続研究成果をも加えながら、幼稚園側からみた「接続」と「共生」という視点を意識した幼小連携について、基本的な見解をまとめあげ、また、いくつかの問題を提起したものです。
前回の『遊びのなかの「学びの過程」』(二〇〇〇年 明治図書)を上梓してからもう四年経ちました。園長も三人目、執筆を担当した教師も半数以上入れ替わりました。その当時の子どもたちは時折、同じキャンパス内の附属小学校から、昼休みや放課後、懐かしそうに訪ねてきてくれています。子どもたちが日毎に成長しているように、教師も、保護者も、子どもたちと一緒に成長しなければならないと思いますし、また同じく、人も物も組織も含めた「幼稚園そのもの」も「命」を輝かせ、大きく逞しく成長していくべきだと思っています。
本書はそんな思いのなかでの、「幼稚園そのもの」の成長を支援し援助し続ける我々の日常の保育と研究の汗と涙の記録です。この本のあちらこちらから、保育の関心の置き所、知識や技能の積み重ねや整理、そして実践における留意点、難しさ、厳しさ、楽しさ、喜びなどを、積極的に「掘り起こし」ていただきたいと思っております。そして、逃げることのできない「昨日」までを背負い、子どもたちの「明日」以降の将来を託された、かけがえのない「今日」、たった今、何に関心を払い、何をどう考え、どう行動していけばよいのか、さらには、明日の元気につなぐことができる確実な「手応え」を少しでも実感していただければ幸いです。
二〇〇四年三月 滋賀大学教育学部附属幼稚園長 /澤田 和明
幼小連携の問題として、教師間の意識の違いというものが存在する中で、この本に書かれている内容はとても貴重なものでした。