ティーチング・プロフェッション
21世紀に通用する教師をめざして

ティーチング・プロフェッション21世紀に通用する教師をめざして

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教職の意義、教職の職務内容、教師の役割や責任は何かー情報を提供しながら「職業としての教職を選択する」自己決定をサポートする。


復刊時予価: 3,355円(税込)

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電子書籍版: なし

ISBN:
4-18-512914-9
ジャンル:
教職課程・教員研修
刊行:
5刷
対象:
大学
仕様:
A5判 272頁
状態:
絶版
出荷:
復刊次第

目次

もくじの詳細表示

はじめに
T 専門職(プロフェッション)としての教師
一 教師の仕事の実際
1 教育を受ける立場から教師としての立場へ
2 教師の一日
二 学校とは
1 近代以前の学校
2 近代公教育制度の成立
三 教職の専門性とは
1 教師専門職論
2 教師の仕事の特質
3 反省的実践家としての教師
U 教師を養成するシステム
一 教員養成
1 教員養成とは
2 教員養成制度の基本原則
3 教員免許状
二 教職課程
1 教職課程の構成
2 教職課程における学び
三 教員採用の仕組みと現状
1 教員採用
2 教員採用の現状
V 教員に必要な資質能力
一 三つのスキル
二 教育職員養成審議会が示した資質能力
1 いつの時代も教員に求められる資質能力
2 今後特に教員に求められる具体的資質能力
3 得意分野を持つ個性豊かな教員の必要性
三 教育現場で求められる資質能力
1 ある校長の言葉
2 校長が選択した「得意分野」の資質能力
四 教育改革と教員の資質能力
1 開放制
2 実践的力量
3 免許状の種類
4 教員の適格性
W 教師になる(一) 古典に学ぶ
一 現代に生きる先哲の思想
1 教師の仕事
2 教師への道
二 古典に学ぶ
1 ルソー
2 ペスタロッチ
3 ヘルバルト
4 フレーベル
5 デューイ
三 問われる教育の原理
1 教育理念の混迷
2 学校の構造や機能
3 個人の力量の問題
4 実践哲学への転換
X 教師になる(二) 教育科学の基礎を学ぶ
一 授業を科学する方法
1 想定される発生要因
2 基本的な知識と技術
二 自主的・自律的な学校経営と学校評価
1 評価の必要性
2 学校評価の目的
3 学校評価の構造
4 学校評価の対象と活用
5 学校評価に関する情報公開
6 評価方法についての基本的な考え方
Y 教師になる(三) 学校の現実を知る
一 学校の現在
1 学校病理の現状
2 生徒の変容
3 教師のストレス
二 教師ー生徒関係の変化
1 学校へのまなざしの変化
2 教師―生徒関係
三 生徒に対する教師の構え
1 心の理解――カウンセリング・マインド
2 役割関係の強調――「プロ教師の会」の主張
Z 教師集団と教師文化
一 教師集団
1 教師集団とは
2 教職員の職種
3 教師集団の組織構造
二 教師文化の特徴と問題点
1 教師文化
2 相互不干渉主義と共同歩調主義
三 同僚性を基底に据えた協働文化の構築
1 協働
2 同僚性
3 協働文化構築の方策
[ 教師の仕事(一) 授業
一 教育の方法と内容
1 授業の伝統
2 教授活動と学習活動の統一
3 教育課程(カリキュラム)
4 授業の過程
二 知識を教え込む教育から[生きる力]を育成する教育へ
1 見直しを迫られている課題
2 生きる力と新しい学習指導要領
三 総合的な学習の時間
1 総合的な学習の時間のねらい
2 探求的な学び
\ 教師の仕事(二) 生徒指導・学級経営
一 生徒理解
1 生徒理解の意義
2 生徒への視線
3 生徒理解の方法とコミュニケーションの難しさ
二 生徒指導
1 生徒指導とは
2 教育相談
3 生徒指導と特別活動
4 生徒指導体制
三 学級経営
1 学級経営の意義
2 開かれた学級経営
] 教師の仕事(三) 学校経営・校務分掌
一 組織としての学校と経営
1 組織の一員としての教師
2 マネジメント・サイクル
二 学校の経営組織
1 校長・教頭の役割
2 校務分掌と主任
3 職員会議
三 開かれた学校経営
1 PTA
2 学校評議員制度
XI 学校を支える体制
――教育行政――
一 教育行政の基本構造
1 公の性質
2 教育行政
二 教育委員会と学校
1 教育委員会
2 教育委員会の学校管理権
三 教育行政の地方分権化と規制緩和
1 学校の主体性・自律性を尊重した教育行政への転換
2 学校選択制
3 教員評価制度
XII 教師の身分と服務
一 教員の身分
1 全体の奉仕者
2 任命権者と県費負担教職員
二 教育公務員の服務規定
1 服務とは
2 職務上の義務
3 身分上の義務
4 分限と懲戒
三 教員の勤務条件と職員団体
1 勤務条件
2 職員団体
XIII 学習する教師
一 教師の学習の重要性
1 教師はなぜ学習し続けなければならないのか
2 研修の法的位置づけ
3 研修の形態
二 教師の研修の体系化
1 研修の機会のネットワーク化
2 ライフステージに応じた研修体系
三 反省的実践家としての学習
チェックリスト

はじめに

 本書は、教育職員免許法の改正(平成一〇年七月)で新設された教職専門科目の「教職の意義等に関する科目」のためのテキストである。

 この科目はすべての教職専門科目で最初に位置づけられている関係で、受講生のなかには、教職を強く志望している人、免許状取得が卒業要件になっている人、免許状だけはとりあえず取得しておこうと考えている人、さらには、教育学には関心があるが必ずしも教師を希望しない人など、さまざまな人がいるだろう。教員養成を専門とする学部や学科に在学すれば、この科目に続く教職専門科目や教科専門科目は必修だが、免許状取得が義務化されていないコースやゼロ免コースに在学したり、教育学部以外の学生であれば、この科目の中途で履修を断念したり、この科目に続く教職関係の科目を必ずしも履修する必要はない。教育系以外の学部やコースの学生であると、自分の適性に合うと判断して入学したコースに早い時期から専念した方がよいだろう。教育系の学部やコースに在籍する人も、他学部の授業等を履修して、自分の専門とする領域を見出した方がよいかも知れない。

 本書は、このようなさまざまな人たちが入学後の比較的早い時期に進路に関する正しい情報に接し、人生設計の最初の段階の意思決定を支援する目的で編集した。講義を担当する者は、「教職の意義は何か」「教師の職務内容はどんなものか」「教師の役割や責任は何か」についての情報を提供し、「職業として教職を選択するとはどういうことなのか」「自分は教職に向いているのか」「自分はどのような教師をめざすのか」などの自己決定を援助したい。

 そのために、講義者の一つひとつの授業を受講生が評価するとともに、授業内容のポイントを整理したものを毎回提出してもらうという方法を採用し、授業の質の向上を図ろうとしている。さらに、学校現場や教職員の任命権者がどのような教師を求めているかについて、教師教育学の研究成果や教育センター等の資料にあたったり、教員選考における面接内容等を参照して、教職適性の簡単なチェックリストを作成しテキストに組み入れた。自己評価の参考にしていただきたい。

 本書は教職へのガイダンス資料である。しかし、そうであっても大学のテキストである。ゆえに教師教育学の知見と専門用語を使用し具体的な記述に心がけている。講義者は一つひとつの授業において平易に説明すると思うが、この授業を通じて学習したことや熟考したことは、その後に受講する教職専門課程の学習の課題意識やそれを達成していく筋道等の基礎になっているものと確信している。


  二〇〇二年三月二〇日   /曽余田 浩史 /岡東 壽隆

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