- まえがき /大森 修
- T 授業構想力を鍛える
- /田代 勝巳
- 一 授業全体をイメージする
- 1 向山洋一氏の「ふるさとの木の葉の駅」の発問・指示
- 2 「起承転結」で考える
- 3 授業の基本構成表
- 二 自分の授業をメタ認知する
- 1 テープ起こしの修業
- 2 模擬授業の修業
- 3 ライブで学ぶ修業
- 三 授業をつくる
- 1 発問づくり
- 2 発問づくりの観点
- 3 実際の授業
- U 授業展開力を鍛える
- /浅野 秀之
- 一 「子ども中心主義」からの批判に答える
- 1 駆け出し教師への批判に答える提案
- 2 芦田恵之助ら名人の上達過程
- 3 「教育観」と「教育技術」とを高めつつ
- 二 向山型「自然な」授業の展開
- 1 向山型「自然な」授業の展開
- 2 向山型「問題作り」の授業の展開
- 3 「展開」には「選択」が不可欠
- 三 同じ指導案でも展開は異なる
- 1 わざと教師が解を提示する
- 2 時枝誠記の教科書教材の指導案
- 3 三回の授業で異なる解を選択して示す
- V 授業批評力を鍛える
- /松野 孝雄
- 一 授業批評は授業力を反映する
- 二 宮崎京子氏の「学び」
- 三 授業批評に必要な力
- 四 大森修氏の授業批評の現場
- 1 「桐一葉」の授業批評
- 2 「わたしと小鳥とすずと」の授業批評
- 3 「夏の蝶……」の授業批評
- W 教材作成力を鍛える
- /松野 孝雄
- 一 ワーク作りは授業力を反映する
- 二 ワーク作りにも原則がある
- 三 作業でわからせていく
- 四 レディネスを考慮する
- 五 ワーク作りは授業力を鍛える
- あとがき /松野 孝雄
まえがき
授業力アップが急務だ。
指導力不足教員の再研修制度が本格的に始まった。
人事考課制度も目前である。
授業力とは、授業をする力のことである。
授業をする力は、何で見るのか。
向山洋一氏がいう、授業の原理・原則十カ条を踏まえた授業ができるかどうかである。
これが第一の基本である。
授業の原理・原則を踏まえた上で、各教科の授業ができなければならないのだ。
これだけではない。
総合的な学習における、食の授業や環境・エネルギーの授業、さらには、英会話の授業もできなければならないのだ。
これらの授業は、次のことにも対応した形でできなければならない。
それは、何か。
特別支援教育である。
教室にいるADHDやLD、そしてアスペルガー症候群などの子どもにも分かる・できる授業をしなければならないのである。このためには、授業の原理・原則十カ条プラス個別対応の技術がなければならない。
特別支援教育の第一人者である東北大学医学部の横山浩之氏は、次の授業を求めている。
1 双方向性(ツーウエイ)がある授業
2 レディネスの範囲が広い授業
3 神経心理学的な理論に基づいている授業
4 スモールステップで組まれた授業
5 教材の系統性を考えた授業
これらの要件をそなえた授業が求められているのである。
一方で、次のことが始まっている。
教師の授業力検定である。
教師の授業力が、公教育が始まって一三〇年を経て初めて検定されようとしている。画期的な出来事である。
人事考課制度はいずれ、授業検定制度にとって代わられるであろう。なぜならば、人事考課制度よりもはるかに実効性が期待できるからである。
教員の免許状は、大学院卒でないと取得できないようにすべきだという記事が掲載された。
しかし、である。
これも、いただけない。
なぜならば、大学で免許を取得した教師と大学院をでて専修免許を取得した教師では甲乙の差がない。
大学での講義内容が問題なのである。大学院ではだれが教えるのか? 大学の教師が大学院でも教えているのである。よくなるはずもない。
授業力検定制度は、教師の実践から生まれた制度であり、極めて実践的である。
先にあげた、課題をクリアするにたる内容があるのだ。
では、授業力検定に耐えるだけの授業力をどのようにしたら身につけることができるのかである。
本シリーズは、このような課題に答えるために編集された。
読者が本シリーズを通して、自らの授業力アップを図り、二十一世紀に活躍する子どもに力をつけてくれることを願う。
この企画は、江部満明治図書相談役のもとで練られ、TOSS新潟のメンバーが総力を上げて執筆したものである。
このような企画に携わる機会を与えていただいた江部満氏に感謝申し上げる。
平成十六年五月 編集人 /大森 修
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- 明治図書