- まえがき
- T プロ教師らしい子どもとの出会いを
- 一 得意な「教材・話(笑い話)」でプロらしい腕を見せる
- 第一時の授業の大切さ/ 地図帳でプロの腕を見せる/ 銅鐸の絵でプロらしさを見せる
- 二 笑い話大会や面白学級憲法作りをする
- 笑い話大会/ 学級の面白憲法作り
- U ユーモアは笑うことから
- ――お母さんや先生が笑うと子どもはうれしい
- 一 とにかく笑いましょう
- 人々は「笑い」を求めている/ 「笑う」ことは健康のあかし/ 「泣き顔もいいね」と笑う/ 小さなことを笑える人に/ よく笑うお母さんは「不思議」なお母さん/ 手の内を読んでいる子ども
- 二 笑いの練習をはじめよう
- 明るく元気な返事をする/ 面白い話を見つけて話す/ 面白い見方をするように練習する/ 「すごい見方ができるね」/ 「笑いを忘れたカナリヤ」からの脱出法/ 「毎朝、鏡の前で笑顔をつくりなさい!」/ 「いつまでいい夢見てるの?」/ 「○○ちゃんて、よく笑うね!」と暗示をかける
- 三 三種類の笑い
- 笑いの分類/ 笑いと動作
- 四 笑う門には福きたる
- 「健康ほど幸せなことはないでしょ」/ 「笑いのある家が幸せよね」/ 子どもをその気にさせるお母さんの不思議な力/ ユーモアは子どもへの最大のプレゼント/ 笑いは病気を治す
- 五 明るく機嫌のいい子に
- 「君はいつも明るいね!」/ 暗示の効用/ 「あなたって面白い人ね!」/ お母さんがまず笑いの模範を
- V 「どうぞ」「ありがとう」がユーモアを生む
- ――ユーモアは心のゆとりから
- 一 「どうぞ」(思いやり)という心がユーモアを生む
- 「どうぞ」のひと言が人の心をなごませる/ 「どうぞ!」と言うと笑顔になる/ 「鉛筆貸して!」「どうぞ!」/ 「友達っていいなあ」/ 友達のよさが見える子ども/ 自分の子どものよさが見えるお母さんに/ 子どもの逃げ場をつくってあげる/ 「おじさん、お茶の時間ですよ」/ 「どうぞ!」は極楽で生きている
- 二 「ありがとう」(感謝)と思う気持ちがユーモアを生む
- 「ありがたい」と思う人、思わない人/ 「子どもの七光で役員をさせてもらっています」/ 「おかげさまで――」と言える心を/ 「死んでも元気でいてください!」/ 「ありがとう」はユーモアです/ 「ハイ!」の返事ができない
- 三 身の回りを面白く見る
- 「うんこのホテルにはプールがあるよ」/ 「お母さん、うんこの先生だよ!」/ 「花が、虫歯になるでしょか」/ お母さん、少し派手な服装を!/ 「お守り持ってますか?」/ エコノミー焼きは安くておいしい!/ 拝啓、犬殿/ 「食べるのはやめた方がいい!」/ 「こんな断り方もあるのね!」/ 「顔は笑っていたけど心では泣いていたんだよ」/ 「こっちでも勝ってるよ!」
- 四 「あくしゅ」しながらモノを見る子ども
- 手に「目」がある小さい子ども/ 花や植物とあくしゅ/ いろんな人とあくしゅをしましょう/ 「あくしゅしながら見るのよ!」/ 子どもはさわってはいけないと言ってもさわる・88/ 「鼻であくしゅしなさい!」/ 「見ること」(目であくしゅ)は楽しいね
- 五 入院もチャンス
- 「ありがとう!」が子どもを変える/ 「言うことをきくと病気治るよ!」
- W 子どもを輝かせるには
- ――ユーモア精神でマイナスをプラスに変える
- 一 子どもは太鼓だ!
- 太鼓はたたき方によって鳴り方が違う/ マイナスをプラスに変えるユーモア精神/ 「いいこと見つけたら、メモしなさい」/ 子どもの話をよく聞いてあげる/ 「今日、どんな面白いことがあったの?」/ 「楽しかったことだけ話しなさい!」
- 二 子どもは結構へそ曲がり
- 「君の頭では無理だ!」/ 「虫歯になる方法を教えてあげよう!」/ どちらが親なの?
- 三 ユーモア小話を集めるお母さん
- 「面白い」と思って見る癖をつける/ ネタを作り変えて面白くする/ 「ぼくも笑い話を集めたい」/ 努力によって性格も変えられる
- 四 ユーモアを集める子どもに
- 面白い小話をして笑わせる/ こんな話はいかがですか?/ 面白いことを「面白い」と感じる心/ 「お母さん、ずるい!」/ 「こんな話を見つけたよ」/ 不幸な出来事を笑える子ども
- 五 子どもが輝けば親も輝く
- 「えらいね、電話かけてあげるのね!」/ 「休んだ子に電話をかけなさい」/ 子どもに教わった電話作戦/ 子どもはえらいものです/ 子どもは担任からの電話を待っている/ 自分の親を「バカ母ちゃん」と言える子ども
- 六 ユーモアあふれる子どもたち
- 一年生の子どもに脱帽/ 面白い実験をする子ども/ 叱る前に子どもの話を聞く
- 七 詩の音読から音読の興味を引き出す
- 毎月の詩で声を大きくする/ 「音読のプロ」に挑戦させる
- X ユーモアのセンスを磨こう
- ――ユーモアのセンスはよく観察することから
- 一 ものをよく見る癖をつける
- ものを「見る」ということ/ 本当に見るということは大変なこと
- 二 見方によって見えるものが違う
- 「坊や、ちょっと座らせて!」/ 見方によって変わる/ 「よいところが見えるめがね」をかけよう/ 「面白いところが見えるめがね」をかけよう
- 三 失敗を笑いの材料にする
- 「しっ! お父さんがほしがるじゃないの?」/ 子どもの頃の失敗話をする/ こんないたずらもしたよ
- 四 「お話のあいうえお」の体得
- お話のあいうえお/ あいうえおの手紙
- Y お母さんは「おしゃか様の指」
- ――見えない指で陰から支援
- 一 おしゃか様の指の話
- ぼけてみせるお母さん/ 「大丈夫だ」は大丈夫じゃない
- 二 暗示をかけてその気にさせる
- 「あなたって本当に面白いね」/ ユーモアというのは「技術」でもある/ 自分の家庭はいい家庭だと思わせる/ ユーモアの達人は人生の鉄人/ ユーモアは人間性そのもの
- 三 「人との出会い」で楽しい街になる
- 四 水の中を泳ぐこいのぼり
- 五 冬の桜にサクランボ
- 六 人間として失ってはならないもの四つ
- あとがき
まえがき
今に限らず、いつの時代でも教育界に向けられる目は厳しい。それは、社会の人々が日本の将来のために有為な人材を育ててほしいと願っているからである。教育のあり方が、国の将来にかかっているからである。この社会の要請に、今の日本の教育界は応えているといえるだろうか。ちょっと心もとない感じがしている。
学力低下、学級崩壊、マナー不足の子どもの続出。それに何よりも授業の質の低下が指摘され、教師の研修も、初任研からとうとう十年研までしなくてはならなくなった。社会はどんどん変化しているのに、教育界は旧態依然としてなかなか変わらない。
子どもたちは、面白くもおかしくもない授業に耐えかねて、小・中学生まで新聞に投稿するまでになっている。ある高校生は、「教師の質の悪化はすさまじい。もっと生徒本位の授業を考えてほしい」と、悲鳴とも思えるような投稿をしている。これは、子どもたちの「声の代表」とわたしは受け止めた。これとの関係か、大阪では学力不足と認定された教師が分限免職になった。
こうした社会的状況を「社会からの要請」と受け止め、「指導力アップ術シリーズ18巻」を、この機に出すことにした。今ほど教師の指導力が注目されている時代はないからである。
まず、「授業とは何か」ということを明らかにしながら、今求められている「真のプロ教師像」を究明してみた。それはただの指導技術ではダメである。プロ教師は、深く確かな内容と、子どもに対する深い愛情の裏づけのある人でなくてはならない。
保護者たちは、担任教師の実力を、いろいろな面から常に観察している。昔ながらの授業をしていたのでは、たちまち「指導力不足」のレッテルをはられる時代である。こうならないよう、教師は常に研修にはげまなくてはならない。そのお手伝いを本シリーズでしてみたいと考えたのである。
授業を面白くし、子どもに実力をつけるには、教材の把握はもちろんであるが、学級の質が大きくものをいう。学級づくり、それも楽しい学級づくりをしながら、子どもが「はてな?」を発見し、それを追究することに熱中し、ひいては「追究の鬼」といわれる子どもを育てたいのである。
長年の経験を生かして、学級づくり、授業づくり、授業がうまくなるレシピを書いた。教材開発のしかた、子どもに調べる力のつけ方なども明らかにした。平成一四年度から総合的学習が本格的に実施に移された。これについても今までいろんな提案をしてきたが、今回のシリーズの中でも、「こうすれば必ずうまくいく」という内容と方法を明らかにし、それを提案している。やり方によっては、総合は実に面白い。力もつく。
今の教師たちに足りないのは、実力だけではなくユーモアも足りない。ゆとりがない。もちろん、保護者にも足りない。このギスギスした社会をユーモアで乗り切ってほしいと願い、この面の提案もした。
要するに、本シリーズは、授業論、学級経営論、教材開発論、総合的学習論、指導技術論、そして、ユーモア教育論等々、現時点での私の総力をあげて総合的に取り組んだものを提案したものである。一読されて御指導いただければ幸いである。
二○○三年六月吉日 /有田 和正
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明治図書
















