- まえがき
- T 子どもを理解する力量アップを図る
- 一 学級づくりと授業づくりの両輪づくりを
- 1 学級とは
- 2 みがき合い
- 二 長所をほめて「その気」にさせる
- 1 成長の芽を見つけ励ます
- 2 長所をほめて「その気にさせる」
- 三 一日三〇回、やさしく名前を呼ぶ
- 1 子どもと信頼関係をつくる
- 2 ほめてほめて方向を示す
- 四 子どもの勉強嫌いの三大原因
- 1 授業が面白くない
- 2 授業の内容が理解できない
- 3 調べ方がわからない
- 五 三年生で県名と漢字の練習は必ずした
- 1 やるべきこと
- 2 県名を覚えさせる
- 3 漢字のプリント
- 六 ミニテストで子どもを見る目を鍛える
- 1 授業を見る目
- 2 指導と評価の一体化
- 3 ミニテストのすすめ
- 七 通知表所見に使ってはいけない表現と語句
- 1 評価しているのだろうか?
- 2 すごい評価と使ってはいけない表現
- 八 好奇心をもって子どもに問いかける
- 1 子どもに問いかける
- 2 先入観(予想)をもって見る
- 3 好奇心をもって見る
- 4 子どもの声を聞き分ける
- 九 子どもウォッチング術の体得を
- 1 子どもが見えない教師
- 2 先入観をもって子どもを見る
- 3 「驚き」をもって子どもを見る
- 4 毎日子どもに声をかける
- 十 「優しさ」「思いやり」を育てるネタ
- 1 教師に「優しさ・思いやり」があるか
- 2 「プリント配布」のネタ
- 3 日常生活の中にネタ発見を
- 十一 学級崩壊のきざしはどんなことか?
- 1 学級崩壊のきざし
- 2 指導力の足りない教師
- U 楽しい教室づくりでめざすこと
- 一 ユーモアのセンスをみがく
- 1 ヨーロッパのガイドから学ぶ
- 2 育ちにくいユーモアのセンス
- 3 捜査願い(二年の例)
- 4 二年生の身の回りを見る目
- 5 三年生の身の回りを見る目
- 6 子どもに学ぶ
- ユーモアのある学級 /村井 俊之
- 二 授業へ挑戦する子どもを育てる
- 1 心のひびき合いを引き出す
- 2 柔軟で明確な指導計画を
- 3 「見る目」を育てる
- 教師を論破しようとする学級を! /田村 勝
- 三 知的好奇心を高める
- 1 「はてな?」みつけの楽しさを知らせる
- ・子どもの目を広げる「宿題」
- ・「はてな?」で育った啓太
- 2 社会事象へ好奇心を高める
- 四 知的好奇心を高めるゆさぶり
- 1 「わかっていない」を知らせる
- ・ゆさぶり開始(看板のない店もあるぞ!)
- ・ゆさぶり第二弾(八百屋の品物はどこから?)
- ・ゆさぶり第三弾(貝は海に取りに行ってる!)
- ・ゆさぶり第四弾(試食の宿題を出す)
- 2 「知ることのおもしろさ」を体得させる
- 「追究の鬼」を育てる /小瀬 善浩
- V 一言少なく一手少ない指導を心がける
- 一 指導過剰からの脱却を
- 1 一言足りない
- 2 一手少ない指導
- 3 おさえるべきところ
- 4 おしゃか様の指
- 5 手紙 /庄司 清彦
- 二 今年もちょろちょろするぞ
- 1 子どもからのラブレター
- 2 やる気を引き出す方法
- 3 ユーモアを引き出す
- 三 のせてその気にさせる
- 1 「鬼」を育てる
- 2 一人の子を育てる
- 3 「○○魔」を育てる
- W 子どもも授業もよいところに目をつける
- 一 子どもは「よい子」でもあり悪い子でもある
- 1 ある母親からの手紙
- 2 見方によって変わる
- 3 クラスの宝物
- 4 よいことが見えるめがね
- 二 見方によって授業も教室も変わる
- 1 見方によって授業は変わる
- 2 教師に学ぶ意欲があるか
- 3 「見る目」があれば学べる
- X 子どものよいものを引き出す
- 一 「紳士録」でよい行動を引き出す
- 1 紳士録
- 2 子どものよさを発見する目
- 3 よいネタみつけ
- 4 子どもの文からネタみつけ
- 二 「今月の詩」で鋭いことばを引き出す
- 1 どうして詩をとりあげたか
- 2 今月の詩とパロディ
- Y 「すばらしい仲間たち」と思わせる
- 一 死んでも学校へ行きたい
- 1 「一人の侍」のプロフィール
- 2 熱をおしての登校
- 3 ファイトの源
- 4 道徳の授業のネタに
- 二 自分のクラスはいいクラスだ!
- 1 いいクラスだと思わせる
- 2 やさしさを育てる
- 3 友だちのよいところをみつける
- あとがき
- 有田和正主要著書一覧
まえがき
今に限らず、いつの時代でも教育界に向けられる目は厳しい。それは、社会の人々が日本の将来のために有為な人材を育ててほしいと願っているからである。教育のあり方が、国の将来にかかっているからである。この社会の要請に、今の日本の教育界は応えているといえるだろうか。ちょっと心もとない感じがしている。
学力低下、学級崩壊、マナー不足の子どもの続出。それに何よりも授業の質の低下が指摘され、教師の研修も、初任研からとうとう十年研までしなくてはならなくなった。社会はどんどん変化しているのに、教育界は旧態依然としてなかなか変わらない。
子どもたちは、面白くもおかしくもない授業に耐えかねて、小・中学生まで新聞に投稿するまでになっている。ある高校生は、「教師の質の悪化はすさまじい。もっと生徒本位の授業を考えてほしい」と、悲鳴とも思えるような投稿をしている。これは、子どもたちの「声の代表」とわたしは受け止めた。これとの関係か、大阪では学力不足と認定された教師が分限免職になった。
こうした社会的状況を「社会からの要請」と受け止め、「指導力アップ術シリーズ18巻」を、この機に出すことにした。今ほど教師の指導力が注目されている時代はないからである。
まず、「授業とは何か」ということを明らかにしながら、今求められている「真のプロ教師像」を究明してみた。それはただの指導技術ではダメである。プロ教師は、深く確かな内容と、子どもに対する深い愛情の裏づけのある人でなくてはならない。
保護者たちは、担任教師の実力を、いろいろな面から常に観察している。昔ながらの授業をしていたのでは、たちまち「指導力不足」のレッテルをはられる時代である。こうならないよう、教師は常に研修にはげまなくてはならない。そのお手伝いを本シリーズでしてみたいと考えたのである。
授業を面白くし、子どもに実力をつけるには、教材の把握はもちろんであるが、学級の質が大きくものをいう。学級づくり、それも楽しい学級づくりをしながら、子どもが「はてな?」を発見し、それを追究することに熱中し、ひいては「追究の鬼」といわれる子どもを育てたいのである。
長年の経験を生かして、学級づくり、授業づくり、授業がうまくなるレシピを書いた。教材開発のしかた、子どもに調べる力のつけ方なども明らかにした。平成一四年度から総合的学習が本格的に実施に移された。これについても今までいろんな提案をしてきたが、今回のシリーズの中でも、「こうすれば必ずうまくいく」という内容と方法を明らかにし、それを提案している。やり方によっては、総合は実に面白い。力もつく。
今の教師たちに足りないのは、実力だけではなくユーモアも足りない。ゆとりがない。もちろん、保護者にも足りない。このギスギスした社会をユーモアで乗り切ってほしいと願い、この面の提案もした。
要するに、本シリーズは、授業論、学級経営論、教材開発論、総合的学習論、指導技術論、そして、ユーモア教育論等々、現時点での私の総力をあげて総合的に取り組んだものを提案したものである。一読されて御指導いただければ幸いである。
二〇〇三年六月吉日 /有田 和正
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- 明治図書