指導力アップ術7
教材開発に必要な基礎技術

指導力アップ術7教材開発に必要な基礎技術

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指導力があっても良い教材がなければ授業は成功しない。

授業の成功、不成功は教材の良し悪しが大きく関係する。良い教材が開発できた時、授業は成功する。著者がこれまでに行ってきた教材開発の手の内をすべて公開した問題提起作。


復刊時予価: 2,783円(税込)

送料・代引手数料無料

電子書籍版: なし

ISBN:
4-18-509715-8
ジャンル:
授業全般
刊行:
対象:
小学校
仕様:
A5判 192頁
状態:
絶版
出荷:
復刊次第

目次

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まえがき
T 教材開発に必要な基礎技術
一 逆思考の訓練をせよ ――思考のパターン化を防ぐために――
1 逆思考のおもしろさを知れ
2 習慣の恐ろしさを知れ
3 タテマエ主義を克服せよ
4 取材で「常識」をこわせ
二 常に複数のテーマを追究せよ ――怠け者にならないために――
1 いろいろなことに好奇心をもて
2 常に問題意識をもて
3 常にメモ用紙をもて
三 現地主義をつらぬけ ――禁断の木の実を食べるために――
1 現地主義者になれ
2 現地では何でも見よ
3 出張や旅行を取材のチャンスにせよ
四 本や新聞の読み方を工夫せよ ――正確な情報をたくさん入手するために――
1 手あたりしだいに本を読め
2 鉛筆をもって新聞を読め
五 一人の子どもを思い浮かべよ ――一人ひとりの子どもを伸ばすために――
1 子どもの事実をさぐり続けよ
2 一人の子どもを熱中させるネタを考えよ
3 一人の子どもの動きを追え
六 見る目とセンスをみがけ ――一つのものが多様に見える目をもつために――
1 一枚の絵を継続的に追究せよ
2 先入観を取り去って見よ
3 「茶わん」から都市が見える目をつくれ
七 すべてのものを「師」にせよ ――幅広い見方考え方を身につけるために――
1 人にたずねることを恥じるな
2 独学をせよ
U 子どもが熱中する教材の発掘例
一 教材をクイズにまとめる ――クイズ形式で意欲化をはかる――
1 クイズ授業ゼミナール
2 クイズは文の読みとりにも使える
V こんな素材をネタにしたい
1 一日の生活に使う品物数はどのくらい?
2 江戸時代二六五年間に三〇人も城主がかわった藩
3 百姓一揆は生活が苦しいからおこしたのか?
4 小さな資料を大きなネタに
W 地域の教材化をどうすすめるか
一 地域の「はてな?」を教材化する
1 地域を見る目を養う
2 単純明快な教材化を
二 実践・教材開発の面白さ
1 教材開発の必要性
2 体験的な教材開発を楽しむ
3 常識を疑ってみる
三 「今、一番やりたいこと」から取り組む
1 「勉強するな」という教師?
2 自分はどんな勉強をしたいのか?
3 一番やりたいことからやる
四 総合的な学習時間と動物園
1 新教育課程における総合の位置
2 「特色ある学校づくり」がねらい
3 動物園は総合的な学習の時間のどこで生かされるか
4 見る目の深化をはかる
五 総合的学習と関連づける発展的教材の開発法
1 教科書学習で布石を打つ
2 子どもの興味関心を予測して教材開発
3 内容から発展する教材が見える
六 教材の工夫と授業の改善をどう進めるか
1 手間を省くとストレスがたまる
2 手間を省いてはいけない
3 教科書教材の生かし方
4 授業改善の近道
X 足元からの教材開発を可能にする学校経営を
一 教材開発に指導力乏しい管理職
二 新しく赴任した教師を問題発見の秦核紳に
三 教師自身も重ねたい問題発見の経験
Y 教師の豊かな発想は知的好奇心から
一 知識で説明する前に発見する目を
二 子どもの変化に即した授業の条件は整った
三 知的好奇心の刺激はまず教師自身から
あとがき
有田和正主要著書一覧

まえがき

 今に限らず、いつの時代でも教育界に向けられる目は厳しい。それは、社会の人々が日本の将来のために有為な人材を育ててほしいと願っているからである。教育のあり方が、国の将来にかかっているからである。この社会の要請に、今の日本の教育界は応えているといえるだろうか。ちょっと心もとない感じがしている。

 学力低下、学級崩壊、マナー不足の子どもの続出。それに何よりも授業の質の低下が指摘され、教師の研修も、初任研からとうとう十年研までしなくてはならなくなった。社会はどんどん変化しているのに、教育界は旧態依然としてなかなか変わらない。

 子どもたちは、面白くもおかしくもない授業に耐えかねて、小・中学生まで新聞に投稿するまでになっている。ある高校生は、「教師の質の悪化はすさまじい。もっと生徒本位の授業を考えてほしい」と、悲鳴とも思えるような投稿をしている。これは、子どもたちの「声の代表」とわたしは受け止めた。これとの関係か、大阪では学力不足と認定された教師が分限免職になった。

 こうした社会的状況を「社会からの要請」と受け止め、「指導力アップ術シリーズ18巻」を、この機に出すことにした。今ほど教師の指導力が注目されている時代はないからである。

 まず、「授業とは何か」ということを明らかにしながら、今求められている「真のプロ教師像」を究明してみた。それはただの指導技術ではダメである。プロ教師は、深く確かな内容と、子どもに対する深い愛情の裏づけのある人でなくてはならない。

 保護者たちは、担任教師の実力を、いろいろな面から常に観察している。昔ながらの授業をしていたのでは、たちまち「指導力不足」のレッテルをはられる時代である。こうならないよう、教師は常に研修にはげまなくてはならない。そのお手伝いを本シリーズでしてみたいと考えたのである。

 授業を面白くし、子どもに実力をつけるには、教材の把握はもちろんであるが、学級の質が大きくものをいう。学級づくり、それもたのしい学級づくりをしながら、子どもが「はてな?」を発見し、それを追究することに熱中し、ひいては「追究の鬼」といわれる子どもを育てたいのである。

 長年の経験を生かして、学級づくり、授業づくり、授業がうまくなるレシピを書いた。教材開発のしかた、子どもに調べる力のつけ方なども明らかにした。平成一四年度から総合的学習が本格的に実施に移された。これについても今までいろんな提案をしてきたが、今回のシリーズの中でも、「こうすれば必ずうまくいく」という内容と方法を明らかにし、それを提案している。やり方によっては、総合は実に面白い。力もつく。

 今の教師たちに足りないのは、実力だけだはなくユーモアも足りない。ゆとりがない。もちろん、保護者にも足りない。このギスギスした社会をユーモアで乗り切ってほしいと願い、この面の提案もした。

 要するに、本シリーズは、授業論、学級経営論、教材開発論、総合的学習論、指導技術論、そして、ユーモア教育論等々、現時点での私の総力をあげて総合的に取り組んだものを提案したものである。一読されて御指導いただければ幸いである。


  二〇〇三年六月吉日   /有田 和正

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