- まえがき
- T 自分を見直せ
- 一 お山の大将よ、目をさませ!
- 1 学級通信を考え直せ
- 2 学級通信を沢山書くとお山の大将になるか ―新潟の庭野三省氏の手紙にこたえる―
- 3 庭野氏の指摘した問題点について
- 4 自分のやっていることを見直せ
- U 時代が変わり、子どもも変わる
- ─子ども理解の技術
- 一 子どもを見るポイント
- 1 子どもの声で異常発見
- 2 子どものどこを見るか
- 二 あたたかくいろいろな場で見る
- 1 同じものでも見方によってちがう
- 2 子どもに気づかれないように見る
- 三 よく笑うかどうか見る
- 1 先入観をもって子どもを見る
- 2 子どもの「笑い」に注目する
- 四 この子を「何のプロにしたらよいか」と見る ―個性が見えてくる―
- 1 ほめるために子どもを見る
- 2 特技・素質をさがしながら見る
- 五 「驚き」をもって子どもを見る ―小さな「変化」が見えてくる―
- 1 見ているつもりが見られていた
- 2 毎日何かしらを発見する
- 六 子どもの「目線」を見る
- 1 目は口ほどにものをいう
- 2 「心の目」をみがこう
- 七 微視的な目と巨視的な目が必要
- 1 子どもは日々変化している
- 2 大きなスケールで継続的にみる
- 八 子どもを「ほめる材料さがし」の目で見る
- 1 子どもを好きになる努力を
- 2 子どもをほめる材料をさがす
- 九 教師の都合で子どもをみない
- 1 「すぐ行動する・しない」だけでみない
- 2 「わかる」「わからない」だけでみない
- 十 「この子の居場所」はどこかと見る
- 1 物理的居場所は確保されているか?
- 2 心理的居場所は確保されているか?
- 十一 子どもの心をとらえる作文活用法
- 1 定期的に文を書かせる
- 2 時々文を書かせる
- 十二 「子どもの発達の特性」を下じきにして見る
- 1 子どもの変化に対応した技術を
- 2 変化する面しない面
- 3 子ども理解の道具(特性)
- V まわりのことにも目を向けよ!
- 一 自分の実力を見つめ直せ!
- 1 自分の実力を見つめよ
- 2 校名にふさわしい実力があるか
- 3 知ったかぶりをする教師
- 4 メモをしない教師
- 5 鼻もちならぬ教師
- 6 今は上の人が頭を下げる時代
- 7 誇大宣伝をすべきでない
- 二 まわりのことにも目を配れ!
- 1 まわりが見えない教師
- 2 「察する」ことがない教師
- 三 服装やことば使い・マナーに気を配れ!
- 1 服装とことば使い
- 2 書くには責任が伴う
- 3 挨拶のしかたを知らない教師
- 4 附属教官はもっと勉強しろ!
- 5 足をあげて講演をきく教師
- 6 マナーのよい教師
- 7 敬語を知らない教師
- 四 少しは冒険しろ!
- 1 絶対に冒険しない教師
- 2 文句のいいようのない指導
- 五 もっと子どもともっと一緒にいろ!
- 1 一秒でも長く教室に
- 2 もっともっと子どもと一緒に
- 3 もっと子どもに目を配れ
- 六 上ばかり向くな!
- 1 指導力のない校長
- 2 上ばかり向いてる校長
- 3 立場が変わっても変心するな
- 4 教育長も勉強してほしい
- 5 塾教師の方が教え方が上手?
- 七 保護者への注意のしかたを考えよ!
- 1 生活態度の問題傾向をきちんとつかめ
- 2 全体的・間接的に店もの申す点
- 3 個人的に店もの申す点には?
- あとがき
- 有田和正主要著書一覧
まえがき
今に限らず、いつの時代でも教育界に向けられる目は厳しい。それは、社会の人々が日本の将来のために有為な人材を育ててほしいと願っているからである。教育のあり方が、国の将来にかかっているからである。この社会の要請に、今の日本の教育界は応えているといえるだろうか。ちょっと心もとない感じがしている。
学力低下,学級崩壊,マナー不足の子どもの続出。それに何よりも授業の質の低下が指摘され,教師の研修も初任研からとうとう十年研までしなくてはならなくなった。社会はどんどん変化しているのに、教育界は旧態依然としてなかなか変わらない。
子どもたちは、面白くもおかしくもない授業に耐えかねて、小・中学校までに新聞に投稿するまでになっている。ある高校生は、「教師の質の悪化はすさまじい。もっと生徒本位の授業を考えてほしい」と、悲鳴とも思えるような投稿をしている。これは、子どもたちの「声の代表」とわたしは受け止めた。ころとの関係か、大阪では学力不足と認定された教師が分限免職になった。
こうした社会的状況を「社会からの要請」と受け止め、「指導力アップ術シリーズ18巻」を、この機に出すことにした。今ほど教師の指導力が注目されている時代はないからである。
まず、「授業とは何か」ということから明らかにしながら、今求められている「真のプロ教師像」を究明してみた。それはただの指導技術だけではダメである。プロ教師は、深く確かな内容と、子どもに対する深い愛情の裏づけのある人でなくてはならない。
保護者たちは、担任教師の実力を、いろいろな面から常に観察している。昔ながらの授業をしていたのでは、たちまち「指導力不足」のレッテルをはられる時代である。こうならないよう、教師は常に研修にはげまなくてはならない。そのお手伝いを本シリーズでしてみたいと考えたのである。
授業を面白くし、子どもに実力をつけるには、教材の把握はもちろんであるが、学級の質が大きくものをいう。学級づくり、それも楽しい学級づくりをしながら、子どもが「はてな?」を発見し、それを追及することに熱中し、ひいては「追及の鬼」といわれる子どもを育てたいのである。
長年の経験を生かして、学級づくり、授業づくり、授業がうまくなるレシピを書いた。教材開発のしかた、子どもに調べる力のつけ方なども明らかにした。平成一四年度から総合的学習が本格的に実施に移された。これについても今までいろんな提案をしてきたが、今回のシリーズの中でも、「こうすれば必ずうまくいく」という内容と方法を明らかにし、それを提案している。やり方によっては、総合は実に面白い。力もつく。
今の教師たちに足りないのは、実力だけではなくユーモアも足りない。ゆとりがない。もちろん、保護者にも足りない。このギスギスした社会をユーモアで乗り切ってほしいと願い、この面の提案もした。
要するに、本シリーズは、授業論、学級経営論、教材開発論、総合的学習論、指導技術論、そして、ユーモア教育論等々、現時点での私の総力をあげて総合的に取り組んだものを提案したものである。一読されて御指導いただければ幸いである。
二〇〇三年六月吉日 /有田 和正
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