- はじめに
- T 私の問題提起
- 1 今,子どもに必要なことは何か
- 2 注目したい"変化"
- 3 学ぶ意欲をどう高めるか
- 4 子ども達に学力をつける
- 5 2学期制導入校への期待
- U 2学期制導入で学校や子ども達はこう変わる!
- 1 学期制はどうやって決まるのか
- 2 2学期制導入の全国的な状況
- (1) 文部科学省の調査より
- (2) 筆者独自の調査より
- 3 2学期制に対する市町村教育委員会の状況
- (1) 4つのタイプ
- (2) 都道府県ピックアップ情報
- 4 秋休みのとり方全国状況
- 5 2学期制のメリット
- (1) 慌ただしさを解消できる
- (2) 学校生活のスパンが長くなる
- (3) 授業時間が増える
- ★フラッシュ★一番大きなメリットは何か
- 6 2学期制導入で留意したいこと
- (1) 子どもの立場から
- (2) 保護者の立場から
- (3) 教師の立場から
- ★フラッシュ★学期区分のいろいろ
- 7 モデル校が考えているメリットと課題
- (1) 2学期制のメリット
- (2) 2学期制の課題
- ★フラッシュ★2学期制だより
- 8 2学期制Q&A30
- V 2学期制 子ども,保護者,教師はこう考えている
- 1 子どもの考え
- 2 保護者の考え
- 3 保護者の考えパート2
- 4 教師の考え
- 5 教師の考えパート2
- ★フラッシュ★2学期制による学校生活の月別の変化
- W 2学期制と単元通知表&単元ミニ通知表
- 1 2学期制でめざす確かな学力
- (1) 確かな学力とは
- (2) 学習意欲を高める手立て
- (3) 子ども,保護者の声に応える
- (4) モデル校での取り組み状況
- 2 単元通知表&単元ミニ通知表のメリット
- (1) 子どもに"今の学力"をつかみとらせる
- (2) "今,求められている評価"に対応できる
- (3) 学期末の通知表を補完する
- (4) 次の学習を意識できる通知表
- (5) ポートフォリオになる通知表
- 3 単元通知表と習熟度別指導
- (1) 発展的な学習や補充的な学習のすすめ
- (2) 発展的な学習と単元通知表&単元ミニ通知表
- (3) 補充的な学習と単元通知表&単元ミニ通知表
- (4) 家庭学習と単元通知表&単元ミニ通知表
- 4 単元通知表&単元ミニ通知表づくりのポイント
- (1) 子どもにわかりやすい観点にする
- (2) 書く欄の工夫
- (3) ふり返りの場の工夫
- 5 学校全体でつくる際のポイント
- (1) ボトムアップ式
- (2) トップダウン式
- 6 単元通知表を渡す時期
- (1) 単元の学習の終了時に渡す
- (2) 長期休業前に渡す
- (3) 学期末通知表とともに渡す
- ★フラッシュ★コンピュータを使ってみよう
- X 2学期制導入校における単元通知表の実際
- 1 単元通知表の形式
- (1) 各教科に共通する「学び方単元通知表」
- (2) 各教科の具体的な形式
- 2 子どもや保護者の反応
- 3 教師達の声
- 4 よりよい単元通知表&単元ミニ通知表
- (1) 改善の視点
- (2) 1つの観点による単元ミニ通知表
- (3) 3つの観点を入れた単元通知表
- 5 4月から7月までのふり返りのさせ方サンプル
- (1) 4年生のサンプル
- (2) 1年生のサンプル
- (3) 6年生のサンプル
- (4) 3つのサンプルについて
- 6 子どもが未来を志向できる通知表
- (1) 通知表は絶対評価で返すべきか
- (2) 小学生にも未来を志向させる
- (3) 未来を志向させるエッセンス
- Y 単元ミニ通知表のすすめ
- 1 無理なく取り組める単元ミニ通知表
- (1) 一人の教師で取り組める
- (2) 1つの教科で取り組める
- (3) 1つの単元で取り組める
- 2 子どもに学びを意識させる単元ミニ通知表
- (1) 子どもの書き込みを重視する
- (2) 子どもに学びを意識させる単元ミニ通知表のポイント
- (3) 教師からの欄を設ける
- 3 いろいろな単元ミニ通知表
- (1) 理科の時間に使える単元ミニ通知表
- (2) 全教科で使える単元ミニ通知表
- (3) 学び方を重視する単元ミニ通知表
- 4 評価補助簿を生かす単元ミニ通知表
- (1) 評価の活動
- (2) 国語科における評価事例
- (3) 評価補助簿を生かした単元ミニ通知表
- 5 ルーブリックを生かす単元ミニ通知表
- (1) ルーブリックとは
- (2) ルーブリックによる自己評価のめざすところ
- (3) ルーブリックの実際
- (4) 自己評価を生かした単元ミニ通知表の工夫
- Z 総合的学習と単元通知表&単元ミニ通知表
- 1 総合的な学習の現状と課題
- 2 これからの総合的学習で重視すべき点
- (1) 目標と内容を明確にした授業の実施
- (2) 子どもの学びの評価の具体化
- 3 総合的学習で効果的な単元通知表
- 4 一般の通知表に見る総合的学習の評価
- 5 単元通知表&単元ミニ通知表のすすめ
- (1) 各単元に共通な単元通知表
- (2) 1つの単元に限定した単元通知表
- ★フラッシュ★動機付けのすすめ
- 6 ルーブリックを生かす単元ミニ通知表
- (1) ルーブリックの実践例
- (2) 実践例から見えるよさ
- (3) ルーブリックを生かした単元ミニ通知表
- ★フラッシュ★評価の観点と方法の見取り図
- 7 メタ認知力を高めるCD版単元通知表
- (1) メタ認知力とは
- (2) 授業ビデオ視聴によってメタ認知力を高める
- (3) CD版単元ミニ通知表の取り組み
- (4) 子ども達の感想
- (5) ビデオクリップ化の利点
- おわりに
はじめに
2学期制を導入する学校が増えてきています。金沢市,仙台市,静岡市などにおいては新学習指導要領の完全実施,そして,学校週5日制の完全実施となったことを機に2学期制の導入に踏み切り,全国の先駆けとなっています。
これに同調するかのように,平成15年度はその動きが顕著に現れた年ということができます。
文部科学省の全国調査(平成15年度公立小・中学校における教育課程の編成・実施状況調査)の結果によると,既に平成15年度に2学期制を導入している小学校は519校,中学校は310校になります。また,学校管理規則を改正して2学期制など3学期制以外の学期区分を採用することができるようにしている自治体の数は194,採用することができるようにすることを検討している自治体の数は176になります。
今後の動向として,平成16年度以降に2学期制を導入する学校はさらに増加していくものと思われます。
しかし,ちょっと考えてみると,明治から我が国の学校教育において伝統的に採用されてきた3学期制が2学期制になるのです。子ども達はもちろんのこと,教師,保護者,そして,地域の人々にとっても,2学期制によって学校がどう変わるのか,子ども達がどう変わるのか,予測することはなかなか難しいのではないでしょうか。
金沢市では平成14年度から小学校2校,中学校2校を2学期制モデル校に指定し,その結果を踏まえながら平成16年度から市内全小・中学校で2学期制を導入する準備を始めました。
筆者は,この"準備"は非常に大事なものと考えます。仙台市においても平成12年度,同13年度にモデル校を指定して準備を行い,平成14年度より全小・中学校で導入するという経緯をたどっています。
本書では,全国の先駆けの一地域となった金沢市を中心舞台に,2学期制の現状や導入に向けた準備,2学期制実施に伴う指導と評価のための"単元通知表&単元ミニ通知表"の作成や活用のヒントについて紹介したいと考えました。そして,これから2学期制を導入する学校や教師達の一助になればと願って執筆しました。
本書をお読みになってのご意見やご感想を,よりよい2学期制運営の視点からお寄せいただければ幸いです。
執筆にあたり,取材やデータ提供などのご協力をいただいた金沢市立明成小学校(平成14年度,15年度モデル校)の淺岡吉宏校長並びに同校職員の皆様,そして,2学期制や評価に関するデータを提供いただいた石川県内外の多くの先生方に対し,厚くお礼申し上げます。
本書を刊行する機会を与えていただき,かつ,企画が具体化する過程において適時助言くださった,明治図書出版社の樋口雅子編集部長に心より感謝申し上げます。
平成16年3月 著 者
-
- 明治図書
- 2学期制の本というより、単元通知表の方が興味を惹かれました。2学期制はもう時間の問題で導入されることと思いますが、そのときの保護者への資料としては十分利用することができると思いました。この部分は教師向けの本と言うより、保護者が読んでも理解できる内容かと思います。自分の学校でも算数の少人数や、総合的な学習の時間など複数の教師で授業をしていると今のままでの通知表ではつけにくいと思っています。単元ごとの通知表は子ども自身が短いスパンで学習を意識できるのでいいと思っていましたが大変そうだと二の足を踏んでいました。けれど、この本を手にとって、ミニ通知表という感覚とモデル資料が出ていたのでやってみようかなという気になりました。子どもに気付きのある授業にしたいと振り返りを書く自己評価は必ず取り入れてきましたが、それとあわせてできることがわかって早速算数、社会、総合的な学習の時間と色々と取り入れています。最初は真似からですが、自分の学校に合うように無理なく使っていけそうです。また新しいアイディアがあったら、紹介してほしいと思いました。これから、また通知表や評価について改めて考えなくてはいけない時期になってきているとひしひしと感じています。その意味では、評価について新たな視点を与えられた本でした。有難うございました。2004/5/10aiko
- わたしの地域では今年度から市一斉に2学期制が導入されました。昨年度から校内研修会や保護者向けの説明会など,2学期制を前向きに捉えようと検討しています。中でも問題になったのが,評価に関することです。この本の具体的な評価カードやそれを使用しての子どもや保護者の声は,たいへん具体的で参考になります。評価カードはすぐに校内研究会の資料にさせてもらいました。本来は試行錯誤を重ねて創り上げていくものだと思いますが,おかげである程度の見通しを持って始められそうです。2004/5/5こでまり
- 「単元通知表」という言葉にひかれて、一気に読ませていただきました。それは、私の勤務する小学校の地区では、2学期制の声はまだありませんが、2学期制ということとは別にして、「単元通知表」のような評価の存在がとても重要だと考えていたからです。そのため、著者(村井先生)の「今求められる評価とは、子どもが自分自身の力(学力)をつかみとることができる評価」という考え方やその具体的な「単元通知表」の実践の数々から、たくさんのことを学ばせていただきました。現在学習している算数の単元の中で、ミニ単元通知表のような子どもの振り返りを行ってみています。ファイリングの工夫や実施時期についてもこの本からヒントを得て、工夫してみようと思っています。また、2学期制については、教師だけでなく、子どもたちや保護者など、いろいろな立場からの声を知ることができました。形だけの2学期制としてではなく、子どもの学びに意義ある2学期制を実施(いずれ実施の方向になるだろうとして)していければと思います。具体的な実践例やQ&Aの想定などがあり、最後まで大変分かりやすく一気に読むことができました。今後の実践に大変役立つ1冊となったことをお伝えしたく、感想を登録させていただきました。有難うございました。2004/4/29きょうこ