- はじめに
- Chapter1 理科授業の「言い換え」4つのポイント
- POINT01 受け身の学習者から「探究の主人公」へ
- POINT02 「正解への誘導」から「思考の伴走」へ
- POINT03 予定調和から事実の探究へ
- POINT04 「1人の正解」から「みんなの納得」へ
- Chapter2 目的別 理科授業の「言い換え」事例60
- Part1 自然事象に対する気づき(導入)
- CASE01 教科書を使って単元の導入をしたいときに
- 教科書の写真を見て気づいたことはあるかな?
- ⇒教科書の写真と,同じものを見たことある? 実際はどうだった?
- CASE02 単元導入で観察をさせたいとき
- さあ,よく見て観察しましょう⇒鳥になったつもりで,虫になったつもりで観察しましょう!
- CASE03 観察対象との距離を縮めたいとき
- 観察して,いろんなことに気づきましょう
- ⇒見て,触って,嗅いで,聞いて,体のアンテナを立てて観察しましょう!
- CASE04 子どもに「前のめり」になってほしいとき
- この現象に注目してみましょう
- ⇒おもしろい! 気づいた! なんで? 自分だけの不思議を見つけてみよう!
- CASE05 子どもの意見をたくさん引き出したいとき
- ○○について知っていることを教えて⇒○○と聞いて,どんなことを思い浮かべたかな
- CASE06 単元を見通した問題意識を見出してほしいとき
- 空気鉄砲を押すよ! 水鉄砲を押すよ!
- ⇒空気鉄砲と水鉄砲を押したときの違いを比べながら遊んでみよう!
- CASE07 子どもたちを学びの主人公にしたいとき
- はい,では今から授業を始めます⇒さあ,今から君たちは○○探検隊だ!
- Part2 問題の見いだし(問題の設定)
- CASE08 科学的に問題を見いだしてほしいとき
- その疑問は問題にできないなぁ⇒観察や実験で確かめることができるか考えてみよう!
- CASE09 子ども同士の意見をつなげたいとき
- そういう疑問もあるんだね。じゃあ次の人…
- ⇒おもしろい疑問だね! ○○さんの疑問に似てる,関係してる人いるかな?
- CASE10 子どもが納得する問題を設定したいとき
- では,○○さんの疑問を問題にしましょう
- ⇒では,理科室の道具を使って,実験で確かめられそうなことは何かな?
- CASE11 子どもに問題設定の経験が少ないとき
- みんなの疑問からどんな問題がつくれそう?
- ⇒みんなの疑問を仲間分けしてみよう! どのグループの疑問なら解決できそうかな?
- CASE12 子どもが問題の本筋から離れないようにしたいとき
- 問題「なぜふりこの周期は変わるのだろうか」
- ⇒問題「ふりこの何を変えると,ふりこの周期が変わるのだろうか」
- CASE13 子どもたちに「疑問」を理解してほしいとき
- 磁石についてみんなが見つけた疑問を教えて
- ⇒磁石のどんなところに「なんで?」「はてな?」を見つけたかな
- CASE14 教師から問題を提示したいとき
- 今日の問題は先生が設定しますね⇒今日はなんと,リカ先生からの挑戦状です
- Part3 予想や仮説の設定(予想)
- CASE15 子どもに根拠のある予想や仮説をさせたいとき
- なるほど,○○という予想なんだね
- ⇒○○という予想なんだね。これまでに経験(学習)したことあるかな?
- CASE16 子どもたちに意思表示をしてほしいとき
- みんなの予想はAかな? Bかな?⇒みんなはその予想に,どれくらい自信があるかな?
- CASE17 自分の予想や仮説に価値を見出してほしいとき
- このクラスの予想は一番多い○○でいいね
- ⇒予想は正解しなくてもいい。自分なりのものをもって取り組むことに価値がある
- CASE18 子どもが予想や仮説を言葉にしづらいとき
- 自分の予想を書いてみよう⇒予想を言葉で表現しづらいときは,絵や図を使ってみよう
- CASE19 子どもの予想に,より明確に根拠をもたせたいとき
- みんなの予想を,直感でいいから教えて
- ⇒これまでの経験や知っていることをヒントにすると,どんな予想になるかな
- Part4 検証計画の立案(実験計画)
- CASE20 科学的に実験の計画を立てさせたいとき
- 何と何を比べたらいいかわかるかな?
- ⇒どの条件を変えるのかな? それ以外の変えない条件は何かな?
- CASE21 条件に着目して実験計画を立てさせたいとき
- 変える条件は○○,変えない条件は□□です⇒この実験の条件で,本当に結論が出せるかな?
- CASE22 無理なく実験計画を立てたいとき
- 教科書の実験方法に沿って実験をしましょう
- ⇒この実験計画で本当に大丈夫かな? 他の班の人と確認し合ってみよう
- CASE23 実験道具に興味をもってほしいとき
- 実験に必要な物はこれとこれと…です
- ⇒実験を成功させるために必要な道具は何かな? 理科室をよく見てみよう
- CASE24 責任をもって実験の役割をまっとうしてほしいとき
- この役割表に従って役割を決めましょう⇒どんな役割分担をしたらいいかな。さあ,作戦会議だ!
- CASE25 安全に観察,実験に取り組んでほしいとき
- 安全に気をつけて実験しましょう⇒この実験で気をつけないといけないことは何かな?
- CASE26 見通しをもって観察,実験に取り組ませたいとき
- 計画を立てたら,さっそく実験をしましょう
- ⇒君たちの予想が正しかったら,この実験でどんな結果が得られるかな?
- Part5 観察,実験の実施(観察,実験)
- CASE27 うまくいかなかった実験を生かしたいとき
- あー,失敗したね。やり直そう⇒予想と違う結果が出ているね。どうしてかな?
- CASE28 子どもの気づきを広げたいとき
- おしゃべりせずに,静かに進めましょう
- ⇒気づいたことや疑問に感じたことはグループで共有しましょう!
- CASE29 子どもの気づきを生かしてほしいとき
- 結果だけをこのプリントに書きましょう
- ⇒観察,実験しながら気づいたことや疑問に感じたこともメモしておこう!
- CASE30 早く実験が終わったグループがでたとき
- 実験が終わった班は静かに待ちましょう
- ⇒実験が終わった班は,撮影していた実験の様子を見返してみましょう!
- CASE31 1グループだけ違う結果が出たとき
- みんなと違う結果だね。失敗かも
- ⇒みんなと違う結果だね。どうしてかな? 他のグループもきっと興味あるよ!
- CASE32 子どもの自然を見る力の質を高めたいとき
- 実験の様子をよく見ておきましょう⇒心が動いたときには心のシャッターを押そう!
- Part6 結果の処理(結果の整理)
- CASE33 失敗に思える実験を生かしたいとき
- この班は結果が違うから使わないでおこう
- ⇒他の班と結果が違うね。おもしろい。みんなで考えてみよう!
- CASE34 結果の処理を子どもたちに委ねていきたいとき
- この通りに,結果を書き写しましょう⇒結果をどうまとめればわかりやすくなるかな?
- CASE35 考察場面の言語化を支援したいとき
- グラフや表にまとめましょう⇒グラフや表にまとめて,気づいたことがあればメモをしておこう!
- CASE36 クラス全体で結果を共有したいとき
- みんなの結果をまとめるとこうなりました⇒みんなの結果を見て気になるところはあるかな
- CASE37 結果から考察へつなげたいとき
- この結果を見て,気づいたことを教えて⇒この結果の中に,考察のヒントはどこに隠れているかな
- Part7 考察(考えられること)
- CASE38 素朴な概念を科学的に変容させたいとき
- 予想が当たったよっていう人,よかったね!⇒自分の予想と比べてみてどうだったかな?
- CASE39 スムーズに考察を書けるようにしたいとき
- 結果から考えられることを書きましょう⇒結果から問題に対する答えはどのようになるでしょう
- CASE40 結果をもとに考察をさせたいとき
- 考察は,結果をよく見て書きましょう
- ⇒考察は,みんなの結果を比べながら,共通点や傾向を見つけながら書こう
- CASE41 自分の力で考察を書けるようにうながしたいとき
- 考察はこのように書きましょう⇒少しずつ,自分なりの考察が書けるようにしていきましょう
- CASE42 考察を発表して全体交流をしたいとき
- ありがとう。では他にありますか⇒Aさんの考察に似ている人はいますか
- CASE43 子どもの考察が科学的ではないとき
- その考察はちょっと違うかな⇒今のAさんが言いたいことを説明できる人はいるかな
- Part8 結論の導出(まとめ)
- CASE44 子どもたちの力で結論を出したいとき
- 教科書の○ページが今日のまとめです
- ⇒みんなの考察から,この学習の問題に答える形でまとめてみましょう
- CASE45 結論の導出後,重要な知識を覚えてほしいとき
- みんなが覚えるのは○○ということです
- ⇒今日の学習で覚えておいた方がいい,一番大事なことは何だろう
- CASE46 自分の言葉でまとめを書けるようにしたいとき
- 今日のまとめを黒板に書くので写しましょう
- ⇒「自分の言葉でまとめを書けるよ」という人はチャレンジしてみよう!
- CASE47 結論の文章を推敲してほしいとき
- そのまとめ方じゃだめかなぁ⇒本当にそのまとめ方でいいか,近くの人と相談してみよう
- CASE48 学習内容を自分のものにしてほしいとき
- ここはテストに出るからね⇒今日の学習は,私たちの生活の場面でどのように役立つかな?
- CASE49 相手意識をもって結論を書かせたいとき
- 今日のまとめはこれでいいですね⇒リカ先生に,みんなの「なるほど!」を見せつけてやろう!
- Part9 振り返り
- CASE50 理科をもっと好きになってほしいとき
- 今日の感想を書きましょう⇒今日の学習で一番心が動いたことはどんなこと?
- CASE51 「学び方」に着目して振り返ってほしいとき@
- 今日の学習の振り返りを書きましょう
- ⇒今日の学び方はどうだったかな? ○○(問題解決の過程)を中心に振り返ってみよう
- CASE52 「学び方」に着目して振り返ってほしいときA
- 今日の学習の振り返りを書きましょう
- ⇒「学び方」に注目して,次はどうすれば,もっと学びが深まるかを考えてみましょう
- CASE53 子どもの行動を価値づけし,全体に広げたいとき
- みんなよく頑張りました!
- ⇒A班はとても協力できていたよね。どんなことに気をつけていたのかな?
- CASE54 振り返りを交流させたいとき
- 振り返りが書けたらノートを集めます⇒振り返りが書けた人から,近くの人と交流してみよう!
- CASE55 わくわくしながら振り返りをさせたいとき
- たくさん振り返りを書きましょう⇒「はてな」から始まった冒険は,どんな冒険だったかな?
- Part10 探究をうながす言い換え
- CASE56 ICTで現象の細部に気づかせたいとき
- 実験の様子を撮っておきましょう
- ⇒こま撮りしたり,スロー再生したりして,一瞬を切り取ってみよう
- CASE57 自由進度で学ぶ子どもに伴走するとき
- 自分のペースで進めていいよ⇒今は何をしているの? 君の探究はどこまで進んだ?
- CASE58 友だちの話を聞いて自分の考えが変わったとき
- 意見がふらふらしてちゃだめだよ⇒自分の考えをアップデートできたんだね!
- CASE59 グループで意見が分かれたとき
- 話し合って意見をまとめなさい⇒グループで意見のまとめ方と決め方を決めよう
- CASE60 生活の中でも科学を見いだしてほしいとき
- 今日習ったことを復習しておきましょう⇒「科学のメガネ」をかけて帰り道や家の中を見てみよう
はじめに
難題「言い換え」
私が,本書のご依頼をいただいた際に考えたことは「断ろうかな……」でした。基本的に,どんなご依頼も引き受けるようにしているのですが,本書のテーマである「言い換え」に関しては,かなり悩みました。
なぜなら,普段の授業の中で「これはこの言い方じゃなくて,こっちに言い換えてみよう」と考えながら発言をすることは,そう多くないからです。どんなことを「言い換え」ているのだろう。逆に言わないように意識していることって何だろう。そうやって,自分の発言や考え方を掘り起こしてみましたが,何をどのように「言い換え」ているか,全然認識することができませんでした。
そのため,本書のテーマである「言い換え」は,私にとっては少しハードルの高いものだと感じ,このまま引き受けて書き切れなかったらご迷惑をおかけすることになるかもしれないと,お断りをしようと考えておりました。
「そのまま書いてみたら?」
そんなことを考えているときに,以前一緒に働いていた校長先生と飲みに行くことになりました。そこで,「言い換えというテーマで執筆内容を考えているけど,何も思いつかない」と困っていることを相談してみました。すると,その校長先生から「自分でわかってないかもしれないけど,田中さんの授業中の言い回し,独特だよ? ああ,こういう言い方があるのかぁって感心するような言葉,いっぱいあるよ。だから,普段の授業の言い方を思い出して,そのまま書いてみたら?」と言われました。
そこで,自分の授業の板書やビデオを見返しながら,自分はどのようなことを意識し,大切にしながら子どもたちに言葉をかけているのかを振り返ってみることにしました。
子どもに興味をもつこと
まず,私が授業で大切にしていたことは「子どもに興味をもつこと」でした。子どもの行動や発言に関して,なぜそうしたのか,どこからそう思ったのか,もっと詳しく聞いてみたいと思うのです。
子どもが「AよりBがいいな」とつぶやいたときは「何でBにしたのかな? Aと比べてどうだったの?」と追究することがあります。また,子どもが「これはきっと○○だよ」と発言すると,「どこからそう思った? 教材から? 自分の体験から?」と追究します。
私は純粋に,子どもたちがどうしてそのように考えたかを知りたくなる性分なので,このように「より詳しく聞ける,子どもが言葉にしやすい聞き方」を意識して言葉かけをしているのです。
理科を楽しむ
本書の中心教科である理科という視点で考えてみると,私自身が「理科」という教科を楽しんでいることがわかります。思ったような結果にならなかったときに,一番わくわくしているのが私です。「これって他の班と違うね。大発見じゃない?」「どうすればこの問題を解決できるの? ミニ科学者たちよ!」と,誰よりも理科という授業そのものを楽しんでいます。
こうした,「大発見」や「ミニ科学者」のような言葉のチョイスが,子どもたちの理科の授業のスパイスとなり,学びが一層加速していきます。
本書に掲載された60の言い換えは,そんな私の「子どもに興味をもち,理科を自分自身が楽しんだ」結果,自然と私の口から出ていた言葉たちとなっております。使えそうな部分から選んで使っていただき,理科の授業のスパイスとしていただけたらと思います。
2026年4月 /田中 翔一郎
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明治図書

















