- シリーズ刊行にあたって
- 5年生担任になった先生へのエール
- 第1章 小学5年生 教え方のポイント
- 5年生授業の要所・難所
- 5年生をシッカリ育てるための学習規律・ルール
- 「個別最適な学び」と「協働的な学び」とICT
- 特別な支援を要する子どもへの配慮
- 第2章 小学5年生 授業の要所をおさえた指導アイデア
- 国語
- ペア対話を制するものは話し合いを制す「ペア対話」
- スモールステップで書く「意見文」
- 短歌・俳句クイズで言葉のセンスを磨く短歌・俳句づくり
- 文字数を変えて要旨をまとめる力がつく要旨指導
- 自分に引き付けて読ませる伝記の指導
- 繰り返し触れ定着させる「敬語変換ゲーム」
- 論理的に考える力を育てる原因と結果の結びつけ
- 古文・漢文に親しむ暗唱指導
- 言葉を大切に考えるきっかけになる「方言クイズ」
- 社会
- 国旗に込められた願いや理念がわかる追究意欲を高める「国旗クイズ」
- 領土問題の原因を探る領土問題の「はてな」を生むクイズ
- 気候区分が明確にわかるスモールステップの雨温図比較
- 持続可能な水産業の工夫や努力を考える認識を覆す写真提示
- 貿易・運輸のヒミツを探る「ずれ」を生む予想
- 身近な事例から情報活用を学ぶ情報化を発見する「レジ」クイズ
- 大地震の予測から日本の取組を捉える情意面を揺さぶり追究意欲へ
- 算数
- 苦手な子が多い文章題に立ち向かう文章題指導のポイント
- 深い学びを実現できるようになる@既習事項の使いこなし
- わかったつもりをなくせる@3人への説明活動&ペア活動
- 対話を活性化するペア・グループ活動のタイミング
- わかったつもりをなくせるAタブレット端末での共有の学び
- 深い学びを実現できるようになるA七つのセリフと展開
- 学び合って深められるタブレット端末を使った振り返り
- 考えるための武器を増やせるクラウドの算数アイテム
- 論理的に説明できるようになるま・つ・だ文型
- 理科
- 主体的な学びをつくる解決の方法の基準づくり
- 仕組みを観察したくなるクリップ持ち上げゲーム
- 実験結果を整理・共有したくなる表・プロット・表計算ソフト活用
- 解決の方法を発想し表現できるようになる授業中の三つの場面
- 調べたいことが整理できる条件制御の表づくり
- 産卵の感動を学びにつなげるメダカ飼育
- 実体が捉えにくい雲の動きを記録できるカメラ機能の活用
- 音楽
- 恥ずかしがらず楽しく歌うことができる歌唱指導の工夫
- 新しい運指を覚えて演奏することができるレベルアップリコーダー
- 主体的に音楽づくりに取り組めるメダカの成長ムービーづくり
- 特徴を捉えて音楽会の曲紹介ができる紹介文づくりの仕掛け
- 図工
- 「絵」と「ことば」で情報と思いを伝える「思い出絵手紙」
- 愛着あるファイル背表紙をデザインするレタリング制作「私のファイル」
- 一風変わった技法で手軽に版画表現ができる「メディウム版画で名画模写」
- 紙粘土で自己表現「マイマスク〜もうひとりの自分〜」
- 家庭
- 食材に応じて主体的にゆでられる自分の「おいしい」をつくる調理実習
- 前向きに手縫いに取り組めるダサさも個性!すべてを作品に
- 家庭実践を継続的に行う「みんなで実践」を当たり前にする手立て
- 換気の正しい意味や方法がわかる理解を促進する可視化
- 買い物の技能と思考を明確に身につける段階別練習問題
- 体育
- ダブルダッチを回したり,跳んだりできる「回し手」と「跳び手」のタイミング
- 逆上がりができるタオルでくるん!
- メリハリのある倒立前転ができる高位置から前転,倒立姿勢から倒れ込み
- スピードにのったままバトンパスできる直線リレーでのバトンパスタイミング
- リズムよく息継ぎができる水中歩行で息継ぎマスター
- ゴール下でゴールに体を向けてシュートができる「キャッチ,くるん,ポン!」
- ダンスの特徴を捉え,みんなで踊ることができる仲間と楽しむ世界のダンス
- 外国語
- 見て読んだり,聞いて書いたりできる帯活動でのアルファベット指導
- 自信をもって自分の思いを伝えられる発表の原稿づくり
- 自信をもって発表できる発表練習のルーティン化
- 日付の言い方を定着させる日付を言い慣れるアクティビティ
- 読むことへの意識づけをするタイミングの工夫と指追い音読
- 見通しをもった学習の積み重ねができる「単元のゴール」設定と Can-do リスト
- 道徳
- 自分の思いをはっきりさせて話し合える立場を決める板書の工夫
- 授業で学んだことをまとめられる自分「も」「だったら」で省みるノートづくり
- 執筆者紹介
5年生担任になった先生へのエール
小学校において,5年生や6年生の担任,いわゆる「高学年」の担任と,それ以外の学年,「中学年」や「低学年」の担任では仕事の内容が少し変わってきます。
学習面において言えば,学習する内容が難しくなるとともに,一部の教科では専門の教員が担当し教えるようになります。高学年での教科担任制が全国的に少しずつ広がっていっているという話を聞きます。
高学年の入り口である5年生において,それぞれの教科を担当する教員が,4年生までに培った学習への興味や関心,疑問に思ったことを解決しようとする姿勢を大事にしながら授業を充実させ,子どもたちに学習することの楽しさを十分に味わわせたいものです。
充実した授業を行うためには,目の前の子どもたちがどのような状態であるかを考える必要があります。具体的に考えてみると,5年生の4月の教室では,以下のような子どもたちを思い浮かべることができるでしょう。
・社交的で友達と協力しながら学校生活を送る子ども
・まだまだ幼さが残っている子ども
・学校生活において教師の声かけや支援が必要な子ども
・思春期の入り口に立ち,自分の気持ちを素直に表現できない子ども
さらに挙げようと思えばいくらでも出てくるのではないでしょうか。
当たり前のことですが,教室には様々な子どもたちがいます。5年生になると個々人の差も大きくなり,それらを考慮に入れながら授業を行う必要が出てきます。
また,5年生は委員会活動が始まります。それ以外の場面でも様々な場面で学校を引っ張っていく立場としての立ち振る舞いを求められるようになります。もはや,「自分のことにしっかりと取り組む」という立場から,「周囲の人のため」「学校のため」に力を発揮していく立場になるということです。
つまり,子どもたちは授業中だけでなく,様々な場面で友達と協力しながら主体的に学校生活を送ることが求められるのです。
そう考えると,授業改善の視点である「主体的・対話的で深い学び」の実現は,学校生活を送るうえでも重要なことであると言えるでしょう。
ここまで読むと,その重圧に5年生の担任をすること自体を諦めそうになります。しかし,心配することはありません。授業を行ううえで「主体的・対話的で深い学び」を意識してちょっとした工夫をし続けること,できればそれを他の場面でも転用し同じサイクルで学びを実現することができれば,子どもたちは着実に成長します。
本書は,『小学5年の絶対成功する授業技術』と題し,60にも上る指導方法や指導アイデアを掲載してあります。本書に掲載されている教育実践をネタとして利用することにとどまらず,教師と子ども,子どもたち同士の人間関係,一人一人の学習が充実するための方法論という視点でお読みいただき,日常のご指導に役立てていただければと思います。
より多くの教員が充実した授業を行い,子どもたちが成長することを願っております。
/松下 崇
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- 明治図書