- まえがき
- 準備・片付け
- 01 準備体操ではなく,準備運動をする
- 02 準備運動では,心も温める
- 03 準備運動には,遊びの要素を入れる
- 04 準備・片付けも指導。役割を与える
- 05 授業の始まり方を指導する
- 指示・説明
- 06 整列と集合を区別する
- 07 チーム名と対戦表は色を使う
- 08 安全は数や場所,合言葉で指導する
- 09 実物や演示を見せて説明する
- 10 整えてから話を始める
- 場づくり
- 11 怖いと痛いを軽減する
- 12 「これならできそう」を用意する
- 13 異質グループで場を使う
- 学習カード
- 14 アナログとデジタルを使い分ける
- 15 Excelとロイロノートを使い分ける
- 16 評価の目的を意識したカードを作る
- 評価
- 17 多面的なよさを即座に認める
- 18 「知識」は他と関連させて見取る
- 19 「技能」は定量化にこだわらない
- 20 「思考・判断・表現」の課題解決は中学年から始める
- 21 「主体的に学習に取り組む態度」は的を絞って評価する
- 22 ルーブリックで評価の基準をつくる
- 23 子どもの学習状況を確実に見取る
- 体つくり運動
- 24 「体つくり運動」の分類と目標を理解する
- 25 基礎感覚を養う運動をする
- 26 持久走は「ながら」で行う
- 27 なわとびの楽しみ方を広げる
- 28 サーキット型を取り入れる
- 器械
- 29 とことんお手伝いをさせる
- 30 フローチャートで課題を見付ける
- 31 お手本動画の視聴を宿題にする
- 32 子どもも動画を活用する
- 33 できるようになる仕組みを整える
- 陸上
- 34 誰でも勝てる競走(争)にする
- 35 フローチャートで課題を見付ける
- 36 ハードル走は同じリズムを重視する
- 37 高跳びと幅跳びで共通の指導をする
- 38 高跳びと幅跳びで異なる指導をする
- 39 リレーはバトンパスに焦点化する
- 水泳
- 40 段階的に水慣れをする
- 41 潜る・浮く・けのびを得点化する
- 42 泳法は,足と手を分けて指導する
- ボールゲーム
- 43 単元の9割でゲームを行う
- 44 勝つことを最優先にしない
- 45 全員が楽しめるルールにする
- 46 苦手申告ルールを取り入れる
- 47 アダプテーション・ゲームを取り入れる
- 表現運動
- 48 表現領域の分類と魅力を理解する
- 49 表現・リズムダンスでは,4つのくずしを指導する
- 50 表現はかるたで始める
- 51 表現は作品の発表で終える
- 52 フォークダンスはノリを重視する
- 体育的行事
- 53 運動会:ダンスは動画で指導する
- 54 体育集会:ボッチャを体験する
- 55 体育集会:ルールを工夫した遊びをする
- 低学年の指導
- 56 【陸上】(リレー遊び)ハンディキャップを学ぶ
- 57 【器械】(平均台,マット,跳び箱)遊べる多様な場を設定する
- 58 【器械】(鉄棒)特に基礎感覚を重視する
- 59 【ボールゲーム】(ボール転がし)個に応じたルールを適用する
- 60 【表現運動】(リズム遊び)効果音ものまねから始める
- 中学年の指導
- 61 【体つくり運動】(なわとび)高める活動とつくる活動をする
- 62 【器械】(跳び箱)レベルを細分化する
- 63 【陸上】(小型ハードル走)リズム→スピードの順に指導する
- 64 【陸上】(高跳び)ゴムを活用する
- 65 【ボールゲーム】(ハンドベース)どっちが速いかを競う
- 高学年の指導
- 66 【体つくり運動】(体ほぐし)学級開きでは関わりを重視する
- 67 【器械】(マット)時数で系統を指定する
- 68 【陸上】(走り幅跳び)記録向上とコントロールを目指す
- 69 【ボールゲーム】(バレーボール)「キャッチ」をありにする
- 70 【表現運動】(表現)「対決」で作品をつくる
- あとがき
まえがき
「えーー! ドッジボールやりたくない!!」
初任で担任をした5年生の女子たちが言ったセリフです。私にとっては,衝撃的な出来事でした。小学生にとって,ドッジボールは昔から人気の高い運動だと認識していたからです。体育の授業開きで行うことで,楽しい雰囲気でスタートを切りたいという私の目論見は大失敗に終わったのです。
では,どうして女子たちは嫌がったのでしょうか。聞いてみると,「男子のボールが怖いから」と答えました。全く引き出しのなかったあの頃の私は,「がんばろ!」「やってみようよ!」という返ししかできませんでした。
いざ,ドッジボールを始めてみると,楽しそうにしているのは,投げるのが好きな子どもたちだけです。投げるのが苦手な子は,隅でじっとしていたり,わざとすぐに当たって外野で座っていたりしていました。みんなが楽しい体育は,そこにはありませんでした。このときのどうすることもできないもどかしさは,今でも忘れることができません。この経験が私の授業研究の原動力となりました。
悩んでいた私は,当時からお世話になっていた6つ上の先輩に相談してみました。すると,「教育書を読みなさい」という言葉を頂きました。ここから教育書を読むようになると,私のもっていた悩みは既に先人たちも悩み,いくつかの解決策を生み出していることに気が付きました。教育書を読むことで,私の引き出しは確実に増えていきました。
ドッジボールの事例で言えば,@ボールを柔らかくするA苦手な子だけが投げられる専用ボールをつくるB苦手な子は外野の横からも投げてよい,というようなルールにすることで,あのような反応は消えていきました。今の私のクラスでは,みんなが楽しめるドッジボールを学級活動でもたびたび行っています。
さて,今回,明治図書出版の大江文武さんより,「単著を書いてみませんか」とお話があったとき,まだ20代であった私は「こんな若造が書くことに説得力があるのだろうか」という心配がありました。経験という点では,とても他の書籍と並ぶことはできません。しかし,私にも武器がありました。それは,「これまでに読んできた教育書の量」です。体育科の本だけでも100冊以上(雑誌も含めると200冊以上),教科を問わなければ400冊程度を読破してきました。
本書は,私の経験に加えて,これまで読んだ教育書(古いものは1972年,新しいものは2024年)を参考にして書かれています。できる限りの参考書籍を載せることで,主張の根拠とさせていただきました。紹介する参考書籍は,どれも自信をもっておすすめできます。本書を読んで,気になった書籍をお読みいただくと,より自身の力を高めること間違いなしです。
さらに,本書最大の特徴は,全ページを4コマ漫画風にまとめているところです。それぞれのコマに,表や図,イラストを配置することでイメージが湧きやすくなるように努めました。文章量も多くないので,本が苦手な方でもサクサク読み進めることができるのではないかと思います。
「体育授業をよくしたい!」「みんなが楽しい体育授業にしたい!」「参考書籍を辿って体育授業の勉強をしたい」という方のお役に立てる一冊になればと願っております。
2025年6月 /中原 修平
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- 明治図書