- はじめに
- T部 本書の構成と補充学習・発展学習の教材解説
- 1 授業中に退屈している生徒への対応
- 2 発展的な学習と補充的な学習
- 3 発展的な学習,補充的な学習の指導と評価
- 4 発展学習よりも深化学習を!
- U部 歴史の補充学習・発展学習教材集
- 1章 歴史の流れ
- 1 [補充学習/歴史の流れ]/ [発展学習/歴史の流れ]
- 2 [補充学習/年代の表し方]/ [発展学習/年代と歴史上のできごと]
- 3 [補充学習/時代区分に挑戦]/ [発展学習/時代区分に挑戦]
- 4 [補充学習/身近な地域の歴史]/ [発展学習/身近な地域の歴史]
- 2章 古代
- 1 [補充学習/縄文時代・弥生時代]/ [発展学習/縄文時代・弥生時代]
- 2 [補充学習/中国文明と日本]/ [発展学習/四大文明]
- 3 [補充学習/大和国家の成立]/ [発展学習/古墳文化]
- 4 [補充学習/聖徳太子と大化の改新]/ [発展学習/飛鳥文化]
- 5 [補充学習/律令政治の成立]/ [発展学習/律令政治と農民]
- 6 [補充学習/律令政治の混乱と貴族の政治]/ [発展学習/社会の混乱と仏教の広がり]
- 3章 中世
- 1 [補充学習/鎌倉幕府の成立・承久の乱]/ [発展学習/武家の政治
- 2 [補充学習/武士と農民]/ [発展学習/守護と地頭
- 3 [補充学習/元寇]/ [発展学習/世界史の中から見た元寇
- 4 [補充学習/義満と倭寇(勘合貿易)]/ [発展学習/14世紀の世界
- 5 [補充学習/応仁の乱から戦国時代]/ [発展学習/応仁の乱から戦国時代
- 6 [補充学習/中世の文化(鎌倉新仏教)]/ [発展学習/中世の町・京都
- 4章 近世
- 1 [補充学習/鉄砲とキリスト教の伝来]/ [発展学習/ヨーロッパ人来航の背景]
- 2 [補充学習/織田信長・豊臣秀吉による統一事業]/ [発展学習/天下統一へ―信長・秀吉・家康の歩み―]
- 3 [補充学習/江戸幕府の支配のしくみ―大名の統制―]/ [発展学習/大名の統制―参勤交代―]
- 4 [補充学習/禁教と鎖国]/ [発展学習/徳川幕府の将軍を暗記しよう]
- 5 [補充学習/産業の発達―農業の進歩―]/ [発展学習/浮世絵からみる江戸の出版業]
- 6 [補充学習/幕府政治の改革―享保の改革―]/ [発展学習/諸藩の窮乏と改革]
- 5章 近代 1
- 1 [補充学習/市民革命]/ [発展学習/市民革命の背景を考えよう]
- 2 [補充学習/産業革命]/ [発展学習/産業革命]
- 3 [補充学習/帝国主義]/ [発展学習/帝国主義]
- 4 [補充学習/ペリー来航]/ [発展学習/ペリー来航]
- 5 [補充学習/江戸幕府の滅亡]/ [発展学習/江戸幕府の滅亡]
- 6 [補充学習/明治維新(地租改正)]/ [発展学習/明治維新(地租改正)]
- 6章 近代 2
- 1 [補充学習/自由民権運動と立憲君主国家への道]/ [発展学習/自由民権運動と立憲君主国家への道]
- 2 [補充学習/日清・日露戦争]/ [発展学習/伊藤博文の生涯と明治時代]
- 3 [補充学習/不平等条約の改正]/ [発展学習/条約改正]
- 4 [補充学習/日本の産業革命]/ [発展学習/日本の産業革命]
- 5 [補充学習/第1次世界大戦とベルサイユ条約]/ [発展学習/第1次世界大戦とベルサイユ条約]
- 6 [補充学習/新しい文化と大正デモクラシー]/ [発展学習/新しい文化と大正デモクラシー]
- 7章 現代
- 1 [補充学習/世界恐慌]/ [発展学習/世界恐慌]
- 2 [補充学習/戦争への歩み]/ [発展学習/アジア・太平洋戦争]
- 3 [補充学習/日本の民主化]/ [発展学習/日本国憲法の成立]
- 4 [補充学習/日本の独立の歩み]/ [発展学習/国際連合と戦後の国際政治]
- 5 [補充学習/日本経済の発展]/ [発展学習/日本経済の発展]
- 6 [補充学習/現代の日本]/ [発展学習/現代の日本―未来新聞をつくろう―]
- 補充学習の主な解答
- 発展学習の主な解答
はじめに
平成10年版学習指導要領の実施段階の頃になると,国際的な学力テストの結果と相まって,学力低下の議論が盛んとなり,いわゆるゆとり教育が矢面に立たされることとなった。そうした中で,受験の過熱化や詰め込み教育,そして学力不振や不登校などへの対策などから,学習内容の精選,厳選を!といったこれまでの教育思潮が大きく変化することとなった。そして,いわゆるエリート教育に視点が移され,学力の高い児童生徒の学習を積極的に支援する方向と学習内容の拡充を図る方向が教育思潮となっていった。このことは,一方で,生涯学習社会の到来を基底にしての新しい学力観や生きる力をキーワードにした教育改革の流れが見直され,受験主導の古い学力観に回帰する動きが高まったことを意味している。
しかし,冷静に考えると,これまでの公教育をめぐる議論においては,教育の機会均等の下に学習機会の平等性が強調され,学力の低い子どもへの配慮,対応が中心となり,学力の高い子どもへの配慮,対応がやや不足していたことは否めない。個に応じた指導の充実という観点からみれば,学力の高い子どもに対する配慮,対応も必要不可欠だったのである。
こうした中で,文部科学省は,学習指導要領は最低基準を示したものとの見解を示し,平成16年5月に,学習指導要領の一部を改訂した。中学校社会科においては「第3指導計画の作成と内容の取扱い」の3として,「第2の内容の取扱いのうち内容の範囲や程度等を示す事項は,すべての生徒に対して指導するものとする内容の範囲や程度等を示したものであり,学校においては特に必要がある場合は,この事項にかかわらず指導することができること」を新たに示した。
これによって,学習指導要領の内容の範囲や程度等を超えた学習を行うことが公に認められることとなった。そして,平成18年度から使用される中学校教科書には,発展的な学習が他のページとは区別されるかたちで,掲載されることとなった。そこで,その対応が要請されることとなり,社会科においても発展的な学習への対応が今日的課題となってきたのである。ただし,これは個に応じた指導の充実の一環であり,そのためそれと背中合わせの関係で学習指導要領の内容を身に付けるのに苦労している生徒に対しては補充的な学習を行う必要がある。
そこで,本書では,発展的な学習(発展学習+深化学習)と補充的な学習(補充学習+補習)をセットにして編集している。なお,発展学習,発展的な学習,補充学習,補充的な学習などの用語の使い方についてはT部2を参照されたい。本書では,慣用にも配慮し,便宜的にそれらの用語を発展学習,補充学習で統一し,使用している。
多忙な中で厄介な課題に取り組んでいただいた執筆者に感謝申し上げます。また,本書の刊行にご尽力いただいた明治図書の安藤征宏氏に深甚の謝意を申し上げます。
2005年7月 編者 /澁澤 文隆
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- 明治図書