新社会科/活用力をつける“新教材の研究授業”のつくり方・見方
発問・板書入り指導案付き

新社会科/活用力をつける“新教材の研究授業”のつくり方・見方発問・板書入り指導案付き

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新教材・新内容を指導する際の学習指導案や授業参観の仕方を紹介

新指導要領の新出教材をどう指導するか?研究授業として取り上げられることも多くなる時期。見せ場はどこで、どう作っていくか。一番カギとなる板書・発問・指示を入れた指導案を各学年にわたり詳述。また、つくるだけでなく、参観する時に役立つ視点も紹介。


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ISBN:
978-4-18-468515-4
ジャンル:
社会
刊行:
対象:
小学校
仕様:
B5横判 164頁
状態:
絶版
出荷:
復刊次第

もくじ

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まえがき
第1章 社会科・研究授業の課題
1 新教材・新内容の趣旨と一覧
(1) 3・4年の新教材・新内容
(2) 5年の新教材・新内容
(3) 6年の新教材・新内容
(4) 社会の変化に応じた新しい教育課題
2 授業づくりで重視したい新しい課題
(1) 社会科における「習得と活用」の問題
(2) 社会科において「言語活動」をどう充実させるか
(3) 「板書指導案」作成のすすめ
(4) 教師による「発問と指示」の構成
3 社会科授業の参観の仕方
(1) 授業参観の目的は何か
(2) 授業の「何を」観察するのか
(3) 授業参観の手順と方法
第2章 新教材の授業のつくり方と授業参観の仕方
《第3学年》 新教材の授業のつくり方と授業参観の仕方
1 「地図記号」の習得と活用の指導案
2 「方位」の習得と活用の指導案
3 「古くから残る建造物」を観察し地図に表す指導案
4 「法やきまり」を扱った火事を防ぐ工夫の指導案
5 「法やきまり」を扱った事故防止の指導案
6 「事故防止や防犯」を取り上げた指導案
《第4学年》 新教材の授業のつくり方と授業参観の仕方
1 「節水」を扱った飲料水確保の指導案
2 「法やきまり」を扱った飲料水確保の指導案
3 「節電」を扱った電気の指導案
4 「法やきまり」を扱ったゴミ処理の指導案
5 「47都道府県の名称と位置」を調べる指導案
6 「自分たちの県の位置」を調べる指導案
7 「自然環境」を保護・活用している地域を調べる指導案
8 「伝統や文化」を保護・活用している地域を調べる指導案
《第5学年》 新教材の授業のつくり方と授業参観の仕方
1 「世界の主な大陸と海洋」の指導案
2 「世界の主な国の名称と位置」の指導案
3 「わが国の領土と位置」の指導案
4 「低地(岐阜県海津市)」を取り上げた指導案
5 「高地(長野県野辺山原)」を取り上げた指導案
6 「価格や費用」を扱った農業の指導案
7 「価格や費用」を扱った水産業の指導案
8 「価格や費用」を扱った工業の指導案
9 「医療」を取り上げた情報化社会の指導案
10 「防災」を取り上げた情報化社会の指導案
11 「自然災害の防止」を取り上げた指導案
《第6学年》 新教材の授業のつくり方と授業参観の仕方
1 「狩猟・採集の生活」の指導案
2 「室町文化」の指導案
3 「江戸時代の町人文化」の指導案
4 「国宝・重要文化財」を活用した歴史の指導案@
5 「国宝・重要文化財」を活用した歴史の指導案A
6 「世界文化遺産」を活用した歴史の指導案@
7 「世界文化遺産」を活用した歴史の指導案A
8 「社会保障」を取り上げた政治の働きの指導案
9 「三権相互の関連」を取り上げた政治の仕組みの指導案
10 「国民の司法参加」を扱った指導案

まえがき

 社会科の教科目標には,従前から「国家・社会の形成者として必要な公民的資質の基礎を養う」ことが掲げられてきた。これは,教育基本法第1条に規定されている「教育の目的」につながるものであり,このような密接な関係のある教科は社会科を除いてほかにない。このこと一つをとっても,社会科は重要な教科であることがわかる。目的や目標が「絵に描いた餅」になるかどうかは,ひとえに各学校における社会科の授業にかかっている。

 社会科は社会を学ぶ教科である。社会のことを学ぶことによって,社会がわかり,自分は社会のなかで,さまざまな人たちや社会とどのようにかかわるかを考えるようになる。社会科は,社会人を育てるために重要な役割を果たしている。社会科の授業が充実することなく,健全な社会人は育たないと言っても言い過ぎではない。

 ところが,現在,学校では悩ましい現実が進行している。その一つに,若い先生方が特に都市部の学校で増えてきていることがあげられる。小学校においてその傾向が顕著に見られる。若い先生からは,「社会科の授業の仕方がわからない」「学校で社会科の研究授業をすることになったが,困っている」「保護者を対象にした日曜参観日に社会科を行うことになったが,いったいどのような授業をすればよいのか」「社会科は何を教えればよいのかがハッキリしていないので,教えづらい」など,社会科授業に対する切実な悩みを数多く聞く。こうした素朴な疑問や悩みに応えるためには,どうしたらよいのか。

 社会科は多くの教師から好かれている教科ではない。「次の時間が社会科だと,教科を変更したくなることがたびたびある」と言う。社会科ほど,教師を悩ませている教科はほかにないようである。その結果,社会科の嫌いな子どもたちが増えている。

 新学習指導要領が告示されて久しいが,関心がいま一つである。若い先生に理由を聞くと,毎日忙しくて先のことにまで関心が向かないと言う。今回の学習指導要領を丁寧に読むと,これまでに見られない新しい教材や内容が数多く登場している。これらはこれからの新しい社会の動向を見据えて,新たに取り上げられたものである。

 いま忙しいからと言っている先生方も,この先,必ず実践しなければならなくなる。将来,こうした新しい教材を取り上げた研究授業をすることになるかもしれない。

 新しい教材や内容を取り上げた授業が十分に実施されないと,結果として,新しい社会が理解されないばかりでなく,社会を主体的に形成する人間も育っていかないことになる。

 社会科の授業力は,実際に自ら授業をつくり,実施することによって形成される。併せて,校内や地域の研究会などで他人の研究授業を参観することによって,授業力を向上させることもできる。この場合,授業をどう見るか。どう解釈するかがポイントになる。

 本書『活用力をつける“新教材の研究授業”のつくり方・見方―発問・板書入り指導案付き―』は,こうした社会科授業をめぐる現状と課題と,さらに新学習指導要領の趣旨を踏まえて企画されたものである。本書のコンセプトは,1単位時間(45分)の研究授業を実施することを想定して次の内容とした。

・新学習指導要領で示された新教材・新内容を取り上げた研究授業のつくり方,進め方を示したこと。

・多くの研究授業では「板書」が活用されることから,授業の終末における板書構成とともに,学習指導案を示したこと。

・板書構成の周辺に,授業の展開計画を示したこと。これが「板書指導案」である。これによって,授業の進行過程がより具体的にイメージできると考えた。

・現在課題になっている「習得と活用」に視点を当てて,授業における具体的な手だてを示したこと。

・「学習指導案」では,教師の「発問・指示」と「子どもの反応」を中心に構成し,教師の役割が明確になるよう工夫したこと。

・教師が社会科授業のあり方について理解し,授業力をつけるためには,自ら研究授業に取り組むほかに,授業を参観することが重要であるとの考えから,授業の展開過程に「授業参観の仕方」を位置づけたこと。

 本書は,大きく二つの章から構成されている。第1章「社会科・研究授業の課題」では,まず新教材・新内容を整理し,社会の変化に応じて提起されている新しい教育課題を抽出した。次に,研究授業を実施する際に配慮したい授業づくりの新しい課題を解説した。最後に,研究授業を参観する際の方法などについて述べた。いずれも,社会科の授業力をつけるための基礎・基本である。

 第2章では,学年ごとに新教材・新内容を取り上げた際の1単位時間(45分)の学習指導案を示した。内容はいずれの場合も,「板書構成」とその計画,新教材・新内容の取り上げ方,学習指導案の実際から構成されている。

 本書が教師の社会科授業力の向上に役立ち,社会科の好きな子どもたちが増えてくれば,本書の企画と編集にかかわった者としてこれ以上の喜びはない。社会科が好きになることによって,社会のことがわかるようになり,社会に対して望ましいかかわり方,付き合い方ができるようになると考えるからである。

 本書の執筆に当たっては,社会科の本道を外れないように,かつ新しい教育課題にも適切に応えられるようにとの願いから,全国の優れた実践者にお願いした。執筆者は,社会科の優れた実践を数多く残されてきた先生方ばかりである。たいへんお忙しいなかをご執筆いただいたことに,心から感謝とお礼を申し上げたい。

 また,本書の企画に当たっては,明治図書出版の樋口雅子氏に懇切丁寧なアドバイスをたくさんいただいた。お陰で新しい内容とタイプの教育書を世に出すことができた。この場を借りて,お礼の意を表したい。


  平成21年12月   /北 俊夫

著者紹介

無藤 隆(むとう たかし)著書を検索»

白梅学園大学教授

中央教育審議会教育課程部会委員 小学校部会主査

北 俊夫(きた としお)著書を検索»

東京都公立小学校教員,東京都教育委員会指導主事,文部省初等中等教育局教科調査官,岐阜大学教授を経て,現在,国士舘大学教授

※この情報は、本書が刊行された当時の奥付の記載内容に基づいて作成されています。
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