中学校新授業への挑戦2
社会科指導と評価一体化の実際

中学校新授業への挑戦2社会科指導と評価一体化の実際

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絶対評価時代に求められる授業実践のための完全ガイド。

学力の向上が最大の課題になっています。この課題の達成のためには指導と評価を綿密に関連させた授業の工夫が不可欠です。この工夫は綿密な計画の作成と実践上の的確な対応を求めます。本書は中学校社会科で実際にどう行えばよいかを具体的で示した実践テキストです。


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ISBN:
4-18-465016-3
ジャンル:
社会
刊行:
対象:
中学校
仕様:
B5判 128頁
状態:
絶版
出荷:
復刊次第

目次

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◆まえがき◆
1章 絶対評価で社会科の授業,評価はどう変わるか
§1 従前は,知識偏重で変化しない社会科を志向
§2 転換を余儀なくされた社会科
§3 変われない中学校社会科
2章 社会科の指導と評価一体化のポイント
§1 収集,集計に追われる絶対評価の運用の見直し
§2 絶対評価の工夫改善の方向
§3 指導と評価の一体化を図るための工夫と課題
3章 地理的分野での指導と評価一体化例
§1 日本の地域構成
§2 身近な地域
§3 都道府県(「宮崎県の調査」事例)
§4 世界の国々−ドイツを例に−
§5 自然環境から見た日本の地域的特色
4章 歴史的分野での指導と評価一体化例
§1 歴史の流れ
§2 地域の歴史
§3 古代までの日本〈古代国家の歩みと東アジア世界〉
§4 近世の日本
§5 近現代の日本と世界
5章 公民的分野での指導と評価一体化例
§1 現代日本の歩みと私たちの生活
§2 私たちの生活と経済
§3 国民生活と福祉
§4 人間の尊重と日本国憲法の基本的原則
§5 世界平和と人類の福祉の増大

まえがき

 学力低下が国民の関心事となり,その影響が学校にも及んできている。しかし,学力の質を問わず,短絡的にゆとり教育と結び付けたような議論にのってよいのだろうか。例えば,国際比較の上位を占める国々は,シンガポール,韓国など儒教文化圏に属する国が多く,子どもは親のために身を立て名をあげようとエリート校への進学をめざす一方,親は我が子のために身を粉にして働くといった風潮がめだつ。その結果,それらの国では,受験が過熱化し,社会問題化している。それだけに,こうした国々と対抗し,再び1位を取り戻そうとすることは,かつての受験地獄的な勉強を復活させることに結び付く。そんな勉強で学力向上を図ることが,これからの社会に生きる子どもにとって,どれほど意味があるというのだろうか。

 一方,最近,基礎学力を身に付けさせるのに昔よりずっと手間暇がかかるようになっているといった指摘をするベテラン教師が増えている。これはどういうことか。実は,最近の子どもは勉強と余暇の時間をはっきり分けて,勉強はテストで好成績を上げるためにやるものと割り切る一方で,余暇の時間はテレビゲームなどに多くの時間を費やしている。その結果,偏った過ごし方がめだち,日常生活の中での体験が貧しくなっている。そのため,本来ならば日常生活を通してはぐくまれてきた学習の素地を身に付ける機会を失い,そのままいきなり基礎学力を学ぶ場に参加するようなかたちとなっている。手間暇が多くかかるようになっている背景には,そうした豊かさの中での貧しい体験がある。

 こうした状況を考慮すると,いまこそ単に知識詰め込みに奔走するような学力向上対策から脱却する必要があるといえよう。そして,変化の時代,生涯学習の時代に的確に対応するために"生きる力""確かな学力"をキーワードにした学力を重視した授業改革に挑戦していくことが望まれる。作業的,体験的な学習や問題解決的な学習などを取り入れて生徒の主体的な学習を促し,豊かな学びの場を実現していくことが期待されているのである。

 ただし,そうした学習の場を実現しても,そうした学習の成果を的確に評価することができないと,「授業で頑張っても仕方がない」との旨の反応が蔓延し,学習離れがおこってくるであろう。それだけに,評価の工夫改善は,授業改革のポイントになっている。

 知識は大切であり,知識を豊かに身に付ける学習指導を推進する必要がある。しかし,それだからといって,知識量で学力を競うような指導と評価に埋没してはならない。そのためには観点別学習状況の評価を基本とし,4つの観点にかかわる能力をバランスよく育て,評価できるよう工夫改善していくことが大切である。指導と評価は,目標の実現をめざして一体化する方向で,同時的に工夫改善していく必要があるのである。

 特に社会科は,これまではややもすると知識詰め込みの学習で指導を展開し,知識偏重の評価を行うといった歪曲化したかたちで指導と評価の一体化を図ってきた。それだけに,社会科の目標の実現をめざす方向で,指導と評価を一体化しての授業改革にチャレンジすることが要請されているといえよう。本書は,そうした状況に鑑み,新しい社会科授業づくりのための目標と指導と評価の一体化を図る実践事例を紹介,提示しようとしたものである。

 具体的には,3〜5章の実践事例については,編者が次のような項目立てと内容で執筆するよう要請し,それを執筆者が消化し,それぞれの考えや実践など踏まえて回答するといったかたちをとった。


1 指導目標の明確化と評価基準の設定

 本単元を通して全ての生徒に身に付けさせることをめざす基礎学力を,極力具体的に提示する。そして,それらの基礎学力が確かに身に付いたかどうかをとらえる判定基準や尺度を,できるだけ数値化するなどの工夫をして具体的に提示する。これらはいずれも,趣旨や考え方などを述べたうえで,箇条書きのかたちで記述,提示する。

2 指導・評価計画

 本単元がめざす基礎学力を全ての生徒に身に付けさせるためには,どんな学習をどのように積み重ねるか,そして,学習が順調に積み重なっているかどうかなどをどの時点でどのようにチェックするか,できるだけ全体像がつかめるように記述する。

3 補充,発展学習の工夫

 ゴールで全ての生徒に基礎学力を身に付けさせるためには,授業で遊んでいる生徒をなくすことが大切である。学習内容が消化できないなど学習についていけず,遊んでいる生徒には補充の学習を,学習内容を習得してしまい時間を持て余すなどで遊んでいる生徒には発展学習を施す必要がある。

 どこの場面でどんなつまずき,遊ぶ生徒が出現する可能性があるか,その場合にどんな手立てを打つか,具体的に提示する。


 この課題に対する回答は執筆者によってかなりの相違が認められる。しかし,本書ではあえて調整せず,スペース上の調整を除いて,できるだけそのまま掲載することとした。多様な回答があってよいし,これが現時点における実状だからである。多忙な中で難しい課題に果敢に挑戦し,執筆してくださった先生方に感謝申し上げます。また,本書の刊行にご尽力いただいた明治図書の安藤征宏氏に深甚の謝意を申し上げます。


  2005年4月/編者 澁澤 文隆

著者紹介

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信州大学教授

※この情報は、本書が刊行された当時の奥付の記載内容に基づいて作成されています。
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