- まえがき
- 1章 現代社会と私たちの生活
- §1 現代日本の歩みと私たちの生活
- 1 現代の社会を探ってみよう
- 2 どんな調べ方があるかな?
- 3 どんなまとめ方・発表方法があるかな?
- 4 学校もこんなに変わった(給食編)
- 5 こんなに変わった日本人…なぜ?
- 6 みんな何して遊んだのかな?
- 7 固定電話と携帯電話
- 8 国際社会の中の日本人
- 9 ユニセフ募金とODA
- §2 個人と社会生活
- 1 様々なルール
- 2 取り決めの重要性―もし,きまりをやぶったら―
- 3 未来の家庭をシミュレーションしよう
- 4 「男は外で働き,女は家を守る?」―男女共同参画社会の実現―
- 2章 国民生活と経済
- §1 私たちの生活と経済
- 1 ただで手に入る物を探せ―空気とダイヤの値段の違い―
- 2 同じ商品なのに値段がちがう
- 3 自分でコンビニを経営しよう
- 4 銀行の働き
- 5 新しい職業と,減っている(なくなっていった)職業
- 6 リストラって何?
- §2 国民生活と福祉
- 1 あなたも納税者!―消費税の仕組み―
- 2 巨人の松井選手が納める所得税はいくら?―累進課税の仕組み―
- 3 私たちの市(区)町村の財政を調べよう
- 4 介護保険制度の仕組み
- 5 高齢者の負担は誰がする? 年金ってなに?
- 6 リサイクル法はなぜつくられたか
- 7 ベンチャー企業の挑戦―いま,どんな会社が必要か?―
- 8 ○○中学校生徒会の予算案を発表します
- 3章 現代の民主政治とこれからの社会
- §1 人間の尊重と日本国憲法の基本的原則
- 1 生活と法律とのかかわり
- 2 あなたがつくるスマイル国憲法―絶対君主制から共和制へ―
- 3 大事にしたい子どもの権利
- §2 民主政治と政治参加
- 1 政治に参加する方法
- 2 地方自治の仕組み
- 3 内閣総理大臣ってどんな人
- 4 あなたは裁判官
- 5 こんな政党があったらいいな
- 6 投票率アップ大作戦
- §3 世界平和と人類の福祉の増大
- 1 どうしたら戦争がなくなるのか―平和な国,平和な社会とは―
- 2 21世紀の課題・環境問題
- 3 人口の増加と資源―どうするエネルギー―
まえがき
“生きる力”をキーワードにした新教育課程がいよいよ実施段階に入りました。学校教育は,子どもの成長を扶ける営みであり,長期的に,広い視野から検討する必要があります。入試を無視することはできませんが,一方で入試のみに通用するような打算的で功利主義的な教育であってはなりません。子どもたちが生きる近未来をみつめ,学ぶ豊かさを味わいつつ大人になって開花するような教育活動を展開する必要があるのです。
日本社会と同様に,中学校の社会科教育も改革の時代を迎えています。変化の時代は生涯学習の時代であり,学校教育は生涯にわたって学び続けるために必要な能力や態度の基礎を培うことが要請されています。変化の時代,科学が急速に進歩する時代は,知識が爆発的に増大する時代であり,そうした中で,古い知識を温存し,新しい知識を付加していくと,学習内容が膨大に膨れ上がり,パンクしてしまいます。変化の激しい社会においては,覚える学び方ではなく,変化する社会に関心を持ち続け,自ら社会認識を深めていく必要があります。そのためには,社会に関心を持ったり社会認識を深めたりするための座標軸になる知識を身に付けるとともに,いわゆる学び方を学ぶ必要があります。これからの社会科教育は,座標軸になる知識と学び方の両立を図った学習指導を展開する必要があるのです。
ところで,今,学校で社会科を担当している先生方は,自分自身の中学時代,高校時代に多かれ少なかれ知識詰め込みの社会科教育を受けています。そして,中学校教師になってからも,受験対策の社会科教育を展開してきています。そのため,知識詰め込みの社会科教育にどっぷり浸かり,教師主導型の講義式授業に慣れ親しんでいます。そうした先生方にとっては,生徒の主体的な学習を促したり,学び方を学ぶ学習指導を展開することは並大抵のことではありません。研修に努め,不得手さを克服し,意識転換を図る必要があります。それを,様々な仕事を抱え,慌ただしく多忙な日々を過ごしている中で実現するのは容易なことではありません。しかし,何とかしなくては生徒が犠牲になってしまいます。
せめてゼロからのスタートではなく,主体的な学習や学び方を学ぶ学習に結び付く教材が例示されるなど何らかのきっかけをつくってくれれば,それを手掛かりに創意工夫するのだが…。本書はそうした要望を正面から受け止め,手掛かりを提供しようとするものです。本書に収められているファックス資料を実際に使い,生徒の反応などを通してワークシートの位置付けや開発,活用の仕方などを理解,把握し,作業的な学習,主体的な学習に慣れ親しんでいただければ幸いです。そして,本書を手掛かりに,先生方が自らワークシートの開発に乗り出していただければ幸いです。そうすれば,生きる力をはぐくむ社会科教育の実現の道が開けてくるものと思います。
編 者
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- 明治図書