- 第4号特集への道案内
- 自由主義史観はどう話題にされているか5
- 歴史研究会の会報から
- 団体職員 /野口 裕
- 特集 大正時代のイメージ大変身!
- 授業づくりの提案
- 自由主義史観研究会
- 特集 大正時代のイメージ大変身! 授業づくりの提案
- 実践
- 原敬と山県有朋
- 横浜市立六ッ川小学校 /安達 弘
- 原敬と吉野作造
- 大阪市立中央高等学校 /赤野 達哉
- 第一次世界大戦
- 静岡県藤枝市立高洲中学校 /八木 哲
- 軍縮と幣原外交
- 福岡県立太宰府高等学校 /占部 賢志
- 板東俘虜収容所
- 徳島県松茂町立松茂中学校 /大西 正泰
- 新渡辺稲造と国際連盟
- 北海道札幌市立西陵中学校 /広田 好信
- 初めての普通選挙
- 静岡県・団体職員 /松本 泉
- 静岡県藤枝市立高洲中学校 /八木 哲
- 高橋是清
- 兵庫県立神戸高等学校 /斎藤 尚文
- 大正自由教育
- 兵庫県宝塚市立長尾中学校 /羽渕 強一
- 授業のネタ
- 政党政治
- くらしき作陽大学助教授 /小笠原 幹夫
- ロシア革命
- 佐賀県神崎町立仁比山小学校教頭 /小宮 宏
- ワシントン会議
- 山形大学 /江間 史明
- シベリア出兵
- 北海道教育大学教授・旭川校 /安藤 豊
- 人種平等案
- 福島県立磐城女子高等学校 /藤岡 秀匡
- 皇太子のご外遊
- 元千葉県立船橋養護学校校長 /上原 卓
- 女性が社会進出した時代
- 東京都日野市立仲田小学校 /佐藤 民男
- 大正エンターテインメント
- 千葉県鎌ケ谷市立五本松小学校 /本宮 武憲
- 小林一三
- 岡山商科大学法経学部専任講師 /中山 秀木
- 北 一輝
- 京都府立桃山高等学校 /近藤 秀樹
- マルクス主義
- 千葉県船橋市立宮本小学校 /竹内 孝彦
- 世界のなかの大正時代
- 学習院大学教授 /坂本 多加雄
- 大正時代の新しいイメージづくり
- 大阪市立中央高等学校 /赤野 達哉
- 「大衆」時代を直視せよ!
- 明治憲法と大正デモクラシー――教科書記述を批判的に検討する――
- 神戸大学発達科学部助教授 /吉永 潤
- 人物読み物教材
- 高橋是清
- 兵庫県立神戸高等学校 /斎藤 尚文
- 渋沢栄一
- 元千葉県立船橋養護学校校長 /上原 卓
- 連載 『教科書が教えない歴史』4
- 大東亜戦争下、学問に国境なしを証明した日英科学者たちの交流
- 千葉県鎌ケ谷市立五本松小学校 /本宮 武憲
- 実践 『授業の改革』
- (小学校)仏教伝来の討論から聖徳太子に迫る
- 埼玉県大宮市立島小学校 /斎藤 武夫
- (中学校)父が子に語った大正時代
- 千葉県我孫子市立湖北中学校 /福持 次郎
- 歴史観を鍛える一冊『文明の海洋史観』川勝平太
- 兵庫県立尼崎北高等学校 /得能 弘一
- 往復書簡
- 往信
- 「問題解決型」の歴史学習を「問題構成(成立)型」に!
- 広島大学教育学部教授 /片上 宗二
- 返信
- 授業目標に応じた多様な学習形態の試みを!
- 北海道教育大学教授・旭川校 /安藤 豊
- コラム ・民ちゃんが見る学校の中の「戦後民主主義」最終回
- 「民主的」なことを口走り、非民主的な行為をする教師たち
- 東京都日野市立仲田小学校 /佐藤 民男
- 「広辞苑」にみる歴史認識の歪み――「強制連行」 /新井 佐和子
- 歴史授業のためのパソコン活用術 最終回 体験的「パソコン史入門」
- 会社員 /大越 哲二
- なぜ自由主義史観に魅かれたか5 潟Nリオ情報企画社長 /岩田 義泰
- 自由主義史観研究会ニュース
- 一筆啓上
- 「日本を愛している」と胸をはって言いたい /山口 美樹
- 自国に関する肯定的な歴史観が必要 /谷 雅明
- 標茶高校の後輩として高市議員の秘書として /湧井 智恵
- 編集後記
まえがき
第14号特集への道案内 /吉永 潤(神戸大学) /赤野 達哉(大阪市立中央高校)
「明治時代や昭和戦前期の授業だと力が入るけど、大正時代はちょっと…。さらっと流しちゃうね」という声をよく聞きます。大正時代は、何だかとらえどころのない、教えづらい時期だといった感覚を、かなり多くの教師が持っているようです。
でも、大正時代って、本当に「さらっと流し」ちゃっていいのでしょうか。この疑問から今回の特集は出発しました。
考えてみれば、大正時代は、初めて議会政治が軌道に乗った時期であり、また大衆消費社会が成立し、大衆文化が花開いた時期であり、つまり、今日の我が国の政治・経済・社会の基本型が出来上がった時代です。なのに、なぜ「何だかとらえどころがない」のでしょうか。なぜ「教えづらい」のでしょうか。
その理由はいくつかあると思います。
まず、日本にとって戦争が少ない時期である、ということがあると思います。特に日本近代史の授業イコール侵略戦争の告発と見る教師は、一種の戦争史観にハマッてしまっていて、大正時代は取り立てて教える価値がない時代に見えるのでしょう。
次に、もっと根本的な問題として、今日のほぼすべての教科書の日本近代史記述が「国家・権力対人民」「政府対民衆」という枠組みで描かれている、という問題が指摘できるでしょう。この枠組みへの囚われのゆえに、「人民」の代表が「権力」を行使した大正期の議会政治を意味付けることが不可能なわけです。「教えづらい」はずです。これと関連して、ほとんどの教科書が、明治憲法を基本的に「天皇絶対主義」の暗黒憲法と規定するがゆえに、大正期議会における「憲政の常道」の確立などまったく評価不能となっています。そもそも「天皇絶対主義」だったら、なぜ議会など開けたのか? なぜ政党の代表者が首相をつとめることができたのか?…
今回の特集で、わたしたちは、以上のような諸々の限界から大正時代を解き放ち、独自の、そして大変重要な意義をもった時代としてそれを捉え直す作業を行ってみたい、そして、子どもたちに、新しい大正時代のイメージを喚起する授業づくりを行ってみたいと考えました。
特に、結果として短命に終わったからといって、大正期に成立した議会政治の慣行を単純に一過的で脆弱なものとみなすのは誤りでしょう。大正期議会政治が持っていた安定性と、その矛盾・限界を両面から正しく評価し、教えることが必要なのです。それが、今日のわれわれの議会政治を発展させる未来の国民を育てることであると、わたしたちは考えます。
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- 明治図書