- はじめに
- 1 金次郎の生い立ち
- 2 金次郎一家
- 3 大自然の思恵と小さな一歩
- 4 両親の不幸と学問への目覚め
- 5 一家の崩壊と再興
- 6 服部家への奉公と再興
- 7 下野国桜町の再興
- 8 成田山新勝寺の断食
- 9 常陸国青木村の再興
- 10 天保の飢饉
- 11 日光御神領の再興
- 12 弟子たちの報徳運動
- 〜富田 高慶・大沢 政吉・岡田 良一郎〜
- 13 金次郎の銅像
- 二宮金次郎開連年表
- 保護者のみなさんへ
- 参考文献
はじめに
学校の校門をくぐると、その前庭に本を片手に柴とかたきぎを背負って歩く姿の、金次郎像に出会います。今では、この金次郎像のない学校もありますが、以前は、ほとんどの学校で見ることができました。
みなさんは、この金次郎像が、何のために設置されているか知っていますか。知っている人も多いと思いますが、わたしは誤解している人や、知らない人もいると思いますので、金次郎という人がどんな人だったのか、そして金次郎の生き方や考え方について、もっと知ってほしいので、この本を書こうと思いました。
金次郎は今から約二〇〇年前の、江戸時代の後半に生まれ、自分の家から地域、そして国を豊かで幸せにした人です。学校の前庭付近に銅像となって建っているのも、みなさんと同じくらいの年に、自分から進んで、いろいろな勉強をしたからです。やはり大きくなって、人から尊敬される立派な人は、みなさんと同じくらいの年に、一生懸命になって勉強をしています。みなさんもがんばってくださいね。
でも、まちがえないでください。わたしがいっている「勉強」とは、テストでいい点を取るというのではなく、多くの人が幸せになるために「勉強」してほしいのです。そういっても、何から始めていくのか、困ってしまう人もいると思います。わたしは「勉強の第一は読書にある。」と思っています。どんな本でもいいですから、自分が好きなものを一生懸命読んでください。銅像の金次郎は、そのことを教えてくれているのです。
みなさんのまわりにも、多くの勉強をして、地域や国、あるいは世界で活躍している人がいると思います。
人々はその時代の社会と、どのようにして取り組んだか。なぜ、そのようにしなければいけなかったのか。そのことが、明治から、大正・昭和・平成の時代にどのように影響していったかを、みなさんといっしよに考えていきたいと思います。
/山下 智之
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明治図書















