- はじめに
- T 小学校社会科と「差異の思考」
- 1 社会事象の研究としての「差異の思考」 ――「差異の思考」とは何か――
- (1) 「社会を研究する学習」と「社会に適応する学習」
- (2) 社会事象研究の視点と方法
- 2 「差異の思考」の社会科学習観 ――今なぜ「差異の思考」か――
- (1) 「単文型の問い」から「複文型の問い」へ
- (2) 「普遍への学習」から「個別への学習」へ
- (3) 「当事者の学習」から「旅行者の学習」へ
- 3 「差異の思考」で追究する社会科の学習内容 ――「差異の思考」で何を考えるのか――
- (1) 社会事象を2層8方向へ追究する
- (2) 問いを統合する「差異の思考」
- (3) 社会科学習における「差異」の設定
- U 「場所的差異」を追究する学習
- 1 「場所的差異」追究の方法
- 2 実践事例
- T プランニング 道の駅(4年) ―わたしたちの山口県―
- U 山口市お宝すごろくをつくろう(3年) ―山口市の様子―
- V あたたかい土地のくらし(4年)※平成12年度実践 ―特色ある地域のくらし―
- W 塩田の商店(3年) ―私たちのくらしと商店―
- X 「山口市ごみ処理計画案」をつくろう(4年) ―私たちのくらしとごみ―
- Y 私たちの生活と政治(6年) ―みんなの願いを実現する政治―
- V 「時期的差異」を追究する学習
- 1 「時期的差異」追究の方法
- 2 実践事例
- T むかしのくらし・大発見(3年) ―くらしのうつりかわり―
- U 時代のシンボルの変遷を通して(6年) ―江戸〜昭和期の光市―
- W 「人的差異」を追究する学習
- 1 「人的差異」追究の方法
- 2 実践事例
- T 重源はふるさとのヒーローか?(4年) ―郷土をひらく―
- U 時代を変えたキーワードはこれだ!!(6年) ―開国と江戸時代の終わり―
- V 組閣プラン21(6年) ―政治のしくみ―
- W 再考! わたしたちの街づくり(6年) ―みんなの願いを実現する政治―
- X 「事物的差異」を追究する学習
- 1 「事物的差異」追究の方法
- 2 実践事例
- T ぼくの私のおすすめの魚はこれだ(5年) ―私たちのくらしと水産業―
- U 作ってみたい須佐のもの!(3年) ―私たちのくらしとものを作る仕事―
- V 光市○○10選(5年) ―私たちのくらしと国土―
- W わたしの特選素材(5年) ―日本の農産物と耕地―
- おわりに
はじめに
構造改革の大きなうねりの中,教育界も大きな変革期を迎えようとしています。教科再編についての議論もその一つであり,今まさに,教科の存在価値が問い直されようとしています。では,社会科らしさ,社会科が果たす役割とは一体何なのでしょうか。
山口社会科実践研究会では,新しい社会科の方法原理を,実証研究を通して解明していくことを目的として,平成9年から活動を続けてきました。そこでは,社会的事象を一般化するのではなく,そのもの自体の意義,言い換えれば「らしさ」を,他事象との対比の中で追究してきました。本書で提案した「差異の思考」はまさに,社会科だからこそ高めることができる思考であると考えています。
ここに,これまでの研究の成果をまとめることができましたが,主題を追究する難しさや厳しさをひしひしと感じています。本書を読まれた方から,多くのご意見,ご教示があることを願っています。
また,本書をまとめるにあたり格別なご指導とご厚意をいただきました明治図書株式会社の樋口雅子氏に,厚くお礼申し上げます。
平成14年8月
山口社会科実践研究会(山口大学教育学部附属光小学校教諭) /野口 政吾
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- 明治図書