- はじめに
- 第1章 楽しく力をつける英語授業のポイント5
- 1 リズムとテンポのよい英語授業のポイント
- 2 ユーモアと楽しさのある授業のポイント
- 3 英語の苦手な生徒が,できるようになる授業のポイント
- 4 自ら学ぶ生徒を育てる授業のポイント
- 5 習った英語を使えるようにする授業のポイント
- 第2章 英語授業の指導スキル77
- 授業準備&環境づくり
- 1 教材研究のスキル
- 2 Warm upのスキル
- 3 ペア・グループのつくり方スキル
- 4 指名のスキル
- 5 ユーモア・遊びのスキル
- 英単語
- 6 ビンゴで英単語に慣れさせる指導スキル
- 7 ビンゴをやりっぱなしにしない指導スキル
- 8 単語を書けるようにする指導スキル
- 9 単語を読めるようにする指導スキル
- 10 単語を使えるようにする指導スキル
- 音読
- 11 音読指導の定番スキル
- 12 何回も読ませる音読指導スキル
- 13 楽しく音読させる音読指導スキル
- 14 内容や語を確認する音読指導スキル
- 15 音読テストの評価スキル
- 16 音読による発音指導スキル
- 内容理解・読解
- 17 Skimming とScanningの指導スキル
- 18 事実発問(Finding Facts Question)スキル
- 19 推論発問(Making Inferences Question)スキル
- 20 自己関与発問(Personal Involvement Question)スキル
- 21 内容理解の問題作成スキル
- 英文法
- 22 導入時の指導スキル
- 23 展開時の指導スキル
- 24 まとめの指導スキル
- 25 ワークシート作成スキル
- 26 英文法の活用&定着指導スキル
- リスニング
- 27 聞き取った内容確認の指導スキル
- 28 Teacher Talkスキル
- 29 リスニング力を高める指導スキル
- 30 教科書本文のリスニング指導スキル
- 31 メモの取り方の指導スキル
- リーディング
- 32 多読&速読指導スキル
- 33 スラッシュ・リーディング指導スキル
- 34 内容理解につなげる指導スキル
- 35 概要・要点・情報把握の指導スキル
- 36 Pre-Reading,While-Reading,Post-Readingの指導スキル
- スピーキング
- 37 Small Talkの指導計画作成スキル
- 38 「すらすら英会話」の指導スキル
- 39 中学版Small Talkの指導スキル
- 40 発表の指導スキル
- 41 即興的なやり取り・発表の指導スキル
- ライティング
- 42 小刻みなライティング指導スキル
- 43 長い1文を書く指導スキル
- 44 正しい英文を書く指導&評価スキル
- 45 内容を整理して書く指導スキル
- 46 楽しくライティングさせる指導スキル
- 技能統合型言語活動
- 47 2技能統合型言語活動の指導スキル@(聞く・話す)
- 48 2技能統合型言語活動の指導スキルA(話す・書く)
- 49 2技能統合型言語活動の指導スキルB(話す・書く)
- 50 3技能統合型言語活動の指導スキル@(読む・話す・書く)
- 51 3技能統合型言語活動の指導スキルA(聞く・話す・書く)
- テスト作成&評価・評定
- 52 「知識・技能」のテスト作成スキル
- 53 「思考・判断・表現」のテスト作成スキル
- 54 パフォーマンステスト作成スキル
- 55 「主体的に学習に取り組む態度」の評価スキル
- 56 「語彙」や「文法」の評価スキル
- 57 テスト用紙・解答用紙の作成スキル
- ノート
- 58 英文法のまとめのノート指導スキル
- 59 授業のまとめのノート指導スキル
- 家庭学習
- 60 自学メニューによる家庭学習指導のスキル
- 61 家庭学習の点検スキル
- 62 勉強の仕方を教えるスキル
- 高校入試
- 63 聞き取り問題攻略の指導スキル
- 64 長文読解問題攻略の指導スキル
- 65 英作文問題攻略の指導スキル
- 66 文法問題攻略の指導スキル
- 67 語彙問題攻略の指導スキル
- タブレット活用
- 68 タブレット活用の授業スキル
- 69 タブレット機能の活用スキル
- 70 発表・プレゼンテーションの指導スキル
- 71 共有の指導スキル
- 72 アンケート作成・活用スキル
- ユニバーサルデザイン
- 73 苦手な生徒の視点にたった授業スキル
- 74 個の特性を把握する指導スキル
- 75 わかる授業の組み立て方スキル
- 76 スモールステップ教材の作成スキル
- 77 支援が必要な生徒への指導スキル
はじめに
「不易」と「流行」という言葉があります。本書はどちらかというと「不易」の面が強い著書となりました。タブレット活用の授業以外は,これといって新しいことを書いているわけではありません。授業をする上で英語教師が押さえておきたい基礎基本となる事項を整理し,書き連ねました。
本書の中には,自ら執筆した著書を参考文献に多々あげています。その意図とすることは,本書で十分伝えられなかったことを,ぜひ深く理解してもらえるように,参考として掲げています。
考えてみると,新卒で教員になり,現在は岐阜大学に勤務していますが,その間,60冊に近い単著を出版しています。なぜ著書を書くのかと問われれば,「目の前に課題があるから」と同時に,「書くことでより認識が深まる」と思っているからです。だからこそ,執筆を続け,自分自身の学びをストップさせないようにしています。アウトプットは最良のインプットと言います。本書をお読みの先生方も,素晴らしい実践をされているかと思いますので,どうかご実践をアウトプットしてください。
さて本書は,中学校教師が身に付けておきたい指導スキルを77個選び,紹介しています。最初に「不易」と言いましたが,別の言い方をすると,「基本」となります。英語授業で行うべき「基本」を記したつもりです。流行は,それが長い間続くと不易になりますが,長く続かないものは,流行で終わってしまいます。よいものは,長く続くべきだと考えています。
私が教員になる前,大学4年生の教育実習の時から,私は多くの指導技術を学び,その後教員になってからは,多くの指導技術を授業で実際にやってみました。教わった方法の多くは,うまくいくものばかりでした。手ごたえのある方法は,その後も引き続き活用し,いつまでも使い続けました。
そのうちの1つが,English Salonです。今では,あまりその名を聞かなくなりましたが,非常によい学習形態です。埼玉県の春日部地区で生まれた指導法です。4人1組のグループをつくり,生徒が英語で話します。やり方は簡単で,1人が立ち,3文で簡単なスピーチをします。その後,座っている3人が手をあげて質問をします。そのやり取りが得点化され,「質問したら4点」「相づちを打ったら1点」「1文足して答えたら2点」のように得点をつけていきます。1人が終わると,It’s your turn.と言って,次の人が立って行います。これを全員が行い,終了となります。
当時の私は勇気がなく,たとえ3文でも,生徒にスピーチさせることが難しいと考え,座っている生徒が,立っている生徒に,質問をするという形式で行いました。私は時間を測り,だいたい1分30秒くらいで,Let’s change!と言って声をかけ,立っている人を交替させていきました。すると,一斉授業では見せないような笑顔を生徒は見せ,仲間と楽しく英語で話す様子が見られました。もう30年以上も前の実践です。
私がしたことは,時間を測り,Let’s change!と言うだけです。ただそれだけで,生徒は10分近く英語を話し続けます。教師があれこれ言わなくても,課題を与えれば,生徒は自主的に取り組めるのです。このような指導スキルを多くの先生方から学びました。このような指導スキルは,ぜひ後世に残していきたいものです。
2021年度から中学校では新教育課程が始まりました。今は,多くの「流行」が目の前に迫っています。もちろん,そのような「流行」は大事です。「言語活動を通して」「実際のコミュニケーションにおいて活用できる技能」「学習評価」「小中連携」「コミュニケーションを行う見方・考え方」「コミュニケーションにおける目的や場面,状況」「相手・他者意識」等々,「流行」を追い求めないわけにはいきません。ぜひ,次世代を担う生徒が,英語によるコミュニケーションを行う楽しさを感じ,1人でも多く,英語好きの生徒が育ってもらえると嬉しく思います。
2022年4月 /瀧沢 広人
コメント一覧へ