改訂中学校学習指導要領の展開 社会科編平成10年版

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改訂中学校社会科の改善の要点とそのねらいを、その作業に関わった担当者が簡潔に解説。ビジュアルなレイアウトで読者の理解を助ける。中学校社会科教師の欠かせぬ一冊。


復刊時予価: 3,267円(税込)

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電子書籍版: なし

ISBN:
4-18-449207-X
ジャンル:
学習指導要領・教育課程
刊行:
7刷
対象:
中学校
仕様:
A5判 260頁
状態:
絶版
出荷:
復刊次第

もくじ

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まえがき
1 中学校社会科の改訂の課題と方針
§1 中学校社会科の改訂の課題
§2 中学校社会科の改訂の方針
2 中学校社会科の改訂の趣旨と要点
§1 社会科の改訂の趣旨と要点
§2 地理的分野の改訂の趣旨と要点
§3 歴史的分野の改訂の趣旨と要点
§4 公民的分野の改訂の趣旨と要点
3 地理的分野の指導計画と展開例
§1 具体化への工夫と留意点
§2 指導計画作成の工夫とポイント
§3 各項目の展開例
1 世界と日本の地域構成
〈本項目の内容とその取扱い〉
ア 世界の地域構成
イ 日本の地域構成
2 地域の規模に応じた調査
〈本項目の内容とその取扱い〉
ア 身近な地域
イ 都道府県
ウ 世界の国々
3 世界と比べて見た日本
〈本項目の内容とその取扱い〉
ア 様々な面からとらえた日本
(ア) 自然環境から見た日本の地域的特色
(イ) 人口から見た日本の地域的特色
(ウ) 資源や産業から見た日本の地域的特色
(エ) 生活・文化から見た日本の地域的特色
(オ) 地域間の結び付きから見た日本の地域的特色
イ 様々な特色を関連付けて見た日本
4 歴史的分野の指導計画と展開例
§1 具体化への工夫と留意点
§2 指導計画作成の工夫とポイント
§3 各項目の展開例
1 歴史の流れと地域の歴史
〈本項目の内容とその取扱い〉
ア 我が国の歴史の作業的な学習
イ 身近な地域の歴史
2 古代までの日本
〈本項目の内容とその取扱い〉
ア 日本列島の人々の生活の変化
イ 日本国家の形成過程
ウ 律令国家の仕組みと政治の展開
エ 古代の文化の特色
3 中世の日本
〈本項目の内容とその取扱い〉
ア 武家政治の成立と展開
イ 産業の発達と新たな文化
4 近世の日本
〈本項目の内容とその取扱い〉
ア 戦国の動乱とヨーロッパ人の来航
イ 織田・豊臣による統一事業と対外関係
ウ 江戸幕府の成立と幕府政治
エ 産業,交通の発達と町人文化
オ 幕府の政治改革と政治の行き詰まり
5 近現代の日本と世界
〈本項目の内容とその取扱い〉
ア 欧米諸国のアジア進出と日本の開国
イ 明治維新と新しい政治
ウ 近代国家の発展と対外関係
エ 近代産業の発達と国民生活の変化,近代文化の形成と大衆化
オ 第一次大戦前後の国際関係と我が国の国民の政治的自覚
カ 昭和初期から第二次世界大戦終結までの我が国と世界の動き
キ 戦後の日本の改革と二つの世界
ク 日本の発展と国際関係
5 公民的分野の指導計画と展開例
§1 具体化への工夫と留意点
§2 指導計画作成の工夫とポイント
§3 各項目の展開例
1 現代社会と私たちの生活
〈本項目の内容とその取扱い〉
ア 現代日本の歩みと私たちの生活
イ 個人と社会生活
2 国民生活と経済
〈本項目の内容とその取扱い〉
ア 私たちの生活と経済
イ 国民生活と福祉
3 現代の民主政治とこれからの社会
〈本項目の内容とその取扱い〉
ア 人間の尊重と日本国憲法の基本的原則
イ 民主政治と政治参加
ウ 世界平和と人類の福祉の増大
6 中学校社会科の新実践課題
§1 地理的な見方や考え方を育てる学習
§2 大きな流れをとらえる歴史学習
§3 公民的分野における「見方や考え方」の指導
7 指導計画の作成と各分野にわたる内容の取扱い
§1 指導計画の作成
§2 生きる力をはぐくむ授業改善
§3 選択「社会」への対応
付録
学校教育法施行規則(抄)
中学校学習指導要領「総則」
中学校学習指導要領「社会」

まえがき

 最近,大学関係者による学生の学力低下,基礎学力の不足に関する指摘に端を発し,各教科の学習指導の重要性が再認識されてきている。ややもすると総合的な学習の時間に関心が集中する中で,そうした各教科の学習指導の充実の必要性を再認識する動きは歓迎すべきことであるといえよう。ただし,そうした基礎学力の議論の中で気になるのは,“総合的な学習よりも教科指導の充実を”“学び方よりも知識を”などといった方向で議論が展開されつつある点である。基礎学力とは“知らない”をキーワードにして知識の詰め込みを再認識することなのか。それは基礎学力の矮小化ではないだろうか。なぜならば,これからの社会に生きる子どもにとっての基礎学力は,“生きる力”をはぐくむことを前提に議論するべきものと考えるからである。

 新しい学習指導要領は,変化の時代,生涯学習の時代に主体的に対応する能力や態度を“生きる力”という用語で端的に示し,完全学校週5日制の下でその育成をめざすということを踏まえて,改訂を行ったということができよう。このため,多くの教科が,改訂の基本方針として内容の厳選と学び方を学ぶ学習の充実を挙げている。中学校社会科も例外ではない。それに対して,特に社会科の教育界においては,内容教科の特色から,新学習指導要領では学習内容の厳選が着目され,一方で社会科の先生方の中には,これまでの指導の慣れから学び方の指導に戸惑っている先生方が多く,その反動で知識軽視との批判の声が聞かれる。しかし,それは裏を返せば学び方軽視であるともいえる。

 これまでの社会科は,端的に言って知識重視,学び方軽視の社会科学習であったと言えよう。これからの社会科は,知識か学び方の二者択一ではなく,知識のみを重視する風潮を改め,知識と学び方の両立,調和を図る社会科学習が要請されているといえる。社会科が“生きる力”をはぐくむことに貢献するには,その方向で授業改善に努める必要がある。

 本書を手掛かりに,知識と学び方の両立をめざした社会科学習の創造に工夫,努力していただけたら幸いである。


  平成11年11月   編著者

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