- はじめに
- 本書2章の構成
- 1章 主体的・対話的で深い学びを実現する!音楽授業づくりのポイント
- 1 学習指導要領改訂の趣旨とこれからの音楽科教育
- 2 音楽科の授業実践と質的改善
- 3 年間指導計画作成のポイント
- 4 小学校音楽科との関連について
- 2章 指導から評価までがよく分かる!題材モデル25
- 歌唱
- モデル1 情景を思い浮かべながら,表情豊かに歌おう
- 教材名「浜辺の歌」
- モデル2 民謡の特徴を理解してソーラン節を歌おう
- 教材名「ソーラン節」
- モデル3 混声三部合唱を創意工夫して歌おう
- 教材名「幸せ」
- モデル4 日本の情景を表現しよう
- 教材名「赤とんぼ」「夏は来ぬ」
- モデル5 情景や心情を思い浮かべ,狂言の音楽の特徴やよさを味わいながら表現を工夫して歌おう
- 教材名「踊り節」
- モデル6 地域と関わりがある歌曲を歌おう
- 教材名「かんぴょう」
- 器楽
- モデル7 篠笛の魅力に迫ろう
- 教材名「ほたるこい」
- モデル8 アーティキュレーションの特徴を生かして表現を工夫しよう
- 教材名「聖者の行進」
- モデル9 箏の様々な奏法を用いて,音色や響きを生かして演奏しよう
- 教材名「六段の調」
- モデル10 太鼓の音色や響きを生かしてアンサンブルしよう
- 教材名 教師提示の6種類のリズム・パターンとそれらを組み合わせた太鼓の音楽
- モデル11 リコーダー三重奏の響きを味わおう
- 教材名「きらきら星変奏曲」
- 創作
- モデル12 「鳥獣戯画」の場面に合った音楽をつくろう
- 教材名「はないちもんめ」「鳥獣戯画」
- モデル13 構成を工夫して,言葉の語感を生かしたリズムアンサンブルをつくろう
- 教材名「くいしんぼうのラップ」『ことばあそびレストラン』
- モデル14 ユニゾンと掛け合いを組み合わせた二重奏曲をつくろう
- 教材名「聖者の行進」
- モデル15 東京オリンピックの様子を音楽で表そう
- 教材名「ジョーズのテーマ」
- モデル16 季節や学校生活に合う短い曲(ジングル)をつくろう
- モデル17 ボディパーカッションのアンサンブル曲をつくろう
- 教材名「手拍子の花束」
- 鑑賞
- モデル18 音楽の多様性を理解して,アジアの様々な歌のよさや美しさを味わおう
- 教材名「江差追分」「小さな淡黄色の馬」「アッラーとムハンマド,それに4人の友」
- モデル19 バロック時代の音楽の特徴を知り,そのよさや美しさを味わおう
- 教材名「春」
- モデル20 平調「越天楽」残楽三返の構造を理解して,聴き深めよう
- 教材名平調「越天楽(残楽三返)」
- モデル21 音楽文化を探って音楽のシルクロードを旅しよう
- 教材名「トルコ行進曲」「ジェッディン・デデン」「六段の調」他
- モデル22 郷土の音楽の魅力を考えよう
- 教材名「津軽じょんがら節」「もっこ」「エイサー」「草津節」「銚子大漁節」
- モデル23 箏の表現を味わいながら,表現したり鑑賞したりしよう(器楽・鑑賞)
- 教材名「六段の調」
- モデル24 日本のいろいろな民謡のよさを味わおう(歌唱・鑑賞)
- 教材名「江戸の鳶木遣」「江戸子守唄」「酒づくり歌」
- モデル25 「魔王」を歌い,深く味わおう(歌唱・鑑賞)
- 教材名「魔王」
- 執筆者一覧
はじめに
平成28年12月21日に中央教育審議会答申「幼稚園,小学校,中学校,高等学校及び特別支援学校の学習指導要領等の改善及び必要な方策等について」が示され,平成29年3月31日に,文部科学省令第二十号,すなわち,学校教育法施行規則の一部を改正する省令が定められ,幼稚園教育要領及び小学校と中学校の新しい学習指導要領の告示がなされました。そして,この学習指導要領が中学校においては,令和3年度から全面実施となりました。
先に,『中学校新学習指導要領の展開 音楽編』(明治図書)において,中学校音楽科における新学習指導要領の趣旨および目標や内容の具体について解説し,その具体をお示してきたところですが,その後,国では学習評価等についての議論が進められ,平成31年1月21日には中央教育審議会教育課程部会初等中等教育分科会報告として「児童生徒の学習評価の在り方について」,平成31年3月29日には,「小学校,中学校,高等学校及び特別支援学校等における児童生徒の学習評価及び指導要録の改善等について」(文部科学省初等中等教育局長通知)が示されました。そして,令和2年3月に国立教育政策研究所教育課程研究センターから「「指導と評価の一体化」のための学習評価に関する参考資料」が示され,これで,新学習指導要領の下で目指すこれからの中学校音楽科教育の全容が明らかになったわけです。
ご存じの通り,新学習指導要領は「子供を主語にした学習指導要領」であると言えます。それは,「教師が何を教えるか」という側面だけではなく,「子供が何を,どのように学び,その結果として,どのような力が身に付き,何ができるようになるのか」という側面が重要視されているということであり,これからの社会を自分たちの手で切り拓いていく子供たちに,本当に必要な資質・能力を育んでいくことに他ならないのです。そのために,育成を目指す資質・能力を明確に示し,子供たちの「主体的・対話的で深い学び」を実現するための授業改善を推進することでその育成を図る。そして,その成果を,学習評価を通して的確に捉え,さらなる改善へとつなげる。まさに,「指導と評価の一体化」であり,このことを核として,各学校におけるカリキュラムマネジメントの推進につなげることまでが求められています。
各地域,各学校においては,新学習指導要領全面実施を受けて,これからの音楽科教育を志向する様々な取組がなされていることと思います。これまでの優れた教育実践の蓄積を生かしつつ,これからの新たな中学校音楽科教育を展開していく際の一つの指針として,本書に掲載されている珠玉の授業モデルが役に立てば幸いです。
最後に,本書にご執筆いただいた皆様,企画の段階からご助言いただいた明治図書出版の木村悠氏に心から感謝するとともに,全国の音楽科教育が一層発展することを祈っています。
2021年7月 /副島 和久・伊野 義博
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- 明治図書