- まえがき /澁澤 文隆
- 21世紀へ向けた教育課程改訂の基調
- ◆改訂の背景と方向
- 生涯学習社会の中の学校教育改革
- 学問的なものに特化した学校からの脱皮
- 学校知の内容を見直す
- ◆改訂理解の難しさ・どんなケースがあるか
- 改訂を量的にとらえる姿勢の問題
- 学力を測る物差しを取り替える
- 知識が役立つ職業人=教師の意識改革
- 多様な学校外の教育力
- 「学ぶこと=覚えること」という学習観の誤り
- ◆「生きる力」の育成と教科主義の克服
- 「生きる力」育成を核にした教育課程の構想
- 教科に埋没していられぬ現状
- 社会科の改訂の方向
- ◆教師にとっての学習指導要領
- 学習指導の手引書としての学習指導要領
- 学習指導要領と教科書
- ◆学習指導要領の改訂・今回と今後
- 学習指導要領の読み方の問題
- 学習指導要領改訂の今後
- ◆社会科改訂の重点は何か
- 授業時数の大幅な縮減
- 知識の詰め込みから「生きる力」育成へ
- 教える側優先の教育内容編成への反省
- ◆地理的分野改訂の考え方と具体化
- 地理的認識に対する誤解への対応
- 生涯学習社会での地理教育
- 何が基本的な座標軸になる知識か
- 改訂地理に対する不安に応える
- 地理学習における学び方の指導
- 学び方を育てる事例地域選択の工夫
- 新しい教材開発に対する期待
- 応用性を持つ能力を育てる
- ◆歴史的分野改訂の考え方と具体化
- 日本史の大きな流れを把握する工夫
- 歴史学習指導改善の方法
- 「歴史を大まかにとらえる」指導の手だて
- 「過去に学ぶ歴史」学習からの脱却
- 転換期を手がかりに歴史を学ぶ
- 「世界の歴史の流れ」と結び付ける展開の工夫
- 学び甲斐のある学ばせ方の開発
- 歴史学教育に陥った指導の反省
- ◆公民的分野改訂の考え方と具体化
- 公民の内容厳選の難しさと解決策
- 経験を生かして憲法を学んでいくことの大切さ
- 生涯教育・どんな機会をとらえて学ぶか
- マクロ経済学習よりもミクロ経済学習を
- 改訂社会科の当面する課題は何か
- ◆高校入試へどう向き合うか
- 授業が変われば入試も変わる
- 受験勉強への考えを改めたい
- 子どもの主体的な学習を支援することが先決
- ◆改訂社会科と「総合的な学習の時間」
- 「総合的な学習の時間」の意味の変化―中教審から教課審答申まで―
- 「総合的な学習の時間」はねらいが大切
- 社会科と「総合的な学習の時間」の知の総合化の違い
- 社会科と「総合的な学習の時間」の適切なかかわり
- あとがき /小西 正雄
- 付録 改訂中学校学習指導要領/社会
まえがき
生きる力≠キーワードにした教育課程の基準の改善の方向が明確になり、新しい学習指導要領が告示されました。最近の教育関係者の関心は新設の「総合的な学習の時間」に向けられていますが、各教科も授業時数が縮減される中で、内容の厳選や学び方を学ぶ学習の充実などの課題に応える改訂をそれぞれ行っています。それだけに、各教科にも目を向け、改訂の趣旨を理解し、授業改革に取り組んでいただきたく願っています。
本書は、そうした動向を踏まえ、中学校社会科を中心にして、広い視野に立ってこれからの社会科の授業改善の方向や実践課題について語り合ったものです。学習指導要領の改訂に対しては、最初から距離を置いて、告示されたらはじめに批判ありき≠フような指摘をする方々が多くみられます。また、様々な課題や制約を抱えた上での改訂であるのは自明であるはずなのに、時間の制約すら無視するような理想論を掲げて批判をする方もみられます。それだけに、はじめに批判ありき≠ナはなく、社会科という教科を愛し、これからの社会科教育を建設的な目で見つめている方と率直な話がしたい、そして、今、この時期にふさわしい、この時期だからこそ意味がある話し合いをしたいと願っていました。幸いなことによきパートナーと出会うことができ、多方面にわたって問題の所在や解決の方途などについて語り合うことができたのではないかと思っています。本書を手掛かりに、中学校社会科の授業改善の方向や実践課題をとらえていただき、生徒の成長を扶ける建設的な社会科授業を創造していっていただけたら幸いです。
今、学校教育は、完成教育から生涯学習へ、古い学力観から新しい学力観へ、そして生きる力へと、時代的、社会的要請を受けて大きく転換しつつあります。中学校社会科にもそうした転換の波が押し寄せています。振り返ってみれば、第二次世界大戦後に誕生した社会科は、昭和二十年代に産みの苦しみを味わってからは、改訂の度に、内容の精選や社会の変化への対応を課題にして改善に努めてきました。しかし、現実の授業はというと、高校入試に影響されるなどして学習内容は羅列化、詳細化の方向を歩む一方、教師主導型で講義式の授業が定番化するなどして変化から取り残され、今では知識詰め込みから脱却できない典型的な教科となっています。それだけに中学校社会科は大きな課題を抱えており、昭和二十年代のような改革の波を起こす必要があります。固執、延長よりも転換、創造を求め、この時期に出くわさなければ味わうことができない社会科教師としての創造の喜びを味わうべく、積極的、主体的に参加していただきたいと願っています。それが、これからの時代に生きる生徒のための社会科を創造することに結び付くと考えるからです。
平成十一年六月 /澁澤 文隆
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明治図書















