- まえがき
- T 今、なぜ学習技能か
- 一 今こそ「学習技能」が必要なとき
- 1 学校で教えるべきこと
- 2 生涯にわたって学び続ける力
- 3 学習技能の必要性
- 二 「学習技能」で勝負すべきだ
- 1 歴史は「だんご」と「串ざし」
- 2 形式ではなく内容が問題だ
- 3 学習技能の体得を
- 三 「生きる力」と学習技能
- 1 生き方と社会科
- 2 中核は学習技能
- 3 意欲の大切さ
- 四 学び方・学習技能は新しい学力
- 1 「学習技能(勉強のしかた)」は新しい
- 2 今要求されている桃太郎的学習技能学力
- 3 新しい学習技能をどのように鍛えるか
- U 学ぶ価値を発見する教育
- 一 社会的要請に対応した教育
- 1 今、社会は何を求めているか
- 2 環境問題は「ごみ問題」である
- 3 「紙くず」の追究で学習技能をみがく
- 二 探究活動に主体的、創造的に取り組む能力
- 1 やりたいことを掘り起こすことから
- 2 教師が能力(学習技能)を引き出す
- 3 育つ能力は「学習技能」
- 三 面白い「はてな?」発見を目標にする
- 1 面白い「はてな?」を発見させる
- 2 多様な調べ方を体得させる
- 3 多様な表現のしかたを楽しませる
- 四 学習を楽しむことができる子ども ――その具体像
- 1 「生きる力」をこう考える
- 2 桃太郎的学習と技能を体得させたい
- 3 勉強のしかたを「工夫する」ことを楽しむ子ども
- 4 「遊び」として観察している子ども
- V 育てたい学習技能
- 一 子どもにつけたい「資料」の収集・活用・作成の技能
- 1 ねらいにあった「資料」収集の指導学習能力
- 2 思考が深まる「資料」解釈の指導
- 3 調べ活動を促す「資料」提示の指導
- 4 「資料」作成の基礎技術の指導
- 5 こうすれば伸びる!
- 6 学習技能としての向山式要約指導
- 7 数におきかえて世の中をみる技能
- W 学習技能を育てる授業
- 一 地図帳・年表を活用する技能を体得する授業を
- 1 思考力が弱いといわれるが?
- 2 地図帳をもっと活用する授業を
- 3 近現代史の授業を行うこと
- 二 「学習技能」をどう育てるか ――「ガンシナって何だ」の授業――
- 1 学習技能の体得をめざした授業
- 2 学習のプロセスで学習技能体得
- 三 「はてな?」発見が「自学メニュー」になる
- 1 わたしの誤解?
- 2 三つの発見と提案
- 四 自学力は生きる力の根源
- 1 自学力とは生きる力
- 2 自学力はつきにくいけれど
- 3 ほめる内容をグレードアップする
- 五 瞬間的に評価しコメントを書かせる
- 1 評価のしかたで能力がわかる
- 2 評価力を高めるネタ
- 六 子どもによって刺激剤を変える
- 1 「刺激する」ということ
- 2 刺激剤は子どもによって異なる
- 七 こんな授業では「追究力」は育たない
- 1 「教えよう」としすぎる
- 2 これでは追究力は育たない
- 3 何がダメなのか
- 八 なぜ、子どもが「集中」しないのか
- 1 子どもだけではない
- 2 面白いネタで集中力を引き出す
- 3 学習技能で集中力を引き出す
- 九 どんなネタが効果があるか
- 1 ねらいを達成できるネタ
- 2 大名行列のネタ
- 3 効果のあるネタの要素
- 十 「つまずき」の診断と類型 ――主として三種類のつまずきとその対策――
- 1 多い教師の取り違え
- 2 子どもはつまずきの天才
- 3 三種類のつまずきが多い
- 十一 「落ちこぼれ」とは学習技能の弱い子
- 1 飛び込み授業で感ずること
- 2 落ちこぼれの原因とその対策
- 3 指導することが落ちこぼれを防ぐ
- X 学習技能を育てる教材開発
- 一 ミニトマトはどんな作り方をしているか
- 1 偶然ミニトマトに出会う
- 2 ミニトマトはどこが一番おいしいか
- 3 農事暦が頭の中にできる
- 4 マルハナバチによる花粉つけ
- 二 トマト栽培に必要なもの
- 1 トマトの研究開発
- 2 渥美半島の変身
- 三 地域素材をどう教材化するか ――四年・鹿児島県に二つのロケット基地がつくられたわけ?――
- 1 当日配布した指導案
- 2 授業の記録
- 3 授業について考えたこと
- 四 世紀をつくる子どもにどんな「社会を見る目」が必要か ――五年・水産業の授業・宇部の海で魚はとれるか?――
- 1 当日配布した指導案
- 2 授業の記録
- 一 子どもの意欲をどう引き出すか
- 二 教師の発想を変える
- 三 教師の「目」をどう養うか
まえがき
平成九年から十年にかけて、文部省に提出された「答申」は、何と十四にものぼるという。驚くべき数である。
答申の内容はともかく、数からだけでも、今教育は曲がり角にきていることがわかるし、変革しなければならなくなっていることもわかる。
わたしには、むずかしいことはわからない。わかることは、世紀へ向けて学校を変えなくてはならないということである。不登校児が十万人にのぼるというのだから――。学校の中心は「授業」である。だから、学校を変えるということは、授業を変えることである。
世紀へ向けて、授業をどう変えるべきであろうか。こう考えて、授業改革への提言を六冊のシリーズにして刊行し、批判をあおぐことにした。このシリーズの第二巻が本書である。
世紀に必要な学力は何か。
それは、ズバリいって学習技能である。学び方といってもよい。わかりやすくいえば「勉強のし方」である。この学習技能を、次のように定義している。「時代の変化に対応して、新しい知識や学習技能を創造し続けていく力」ということである。
時代が変わればそれに対応して、新しい知識や学習技能を自らの力で創造しなければ生きていけない。一度創ればそれでよいというものではなく、常に新しいものへ創り変えていかねばならない。つまり、生涯学習である。学習技能は、生涯学習の基礎基本となるものである。
知識は忘れることがある。しかし、学習技能は体に残る。そして、応用がきくし、生きてはたらく。
例えば、あるグラフを見る。学習技能を体得している子は、さっと@題を見る。A出典・年度を見る。Bたて軸と横軸の単位や年度を見る。C中の変化を見る。そして、D変化の大きいところや小さいところの理由を考える。こういうことがさり気なくできる。
@〜Dのようなグラフを見る技能が身についていない子は、どこから見たらよいかわからない。題さえ見ない。これでは、授業は効率的に進められないし、自らの力で問題を解決することなどできない。学習の基礎基本は、「どのように勉強したらよいかを体得すること」である。
本書では、基礎的な学習技能を、こんな教材を使って、このように指導をしていけばよいのではないか、ということについて具体的に述べた。例えば、「はてな?発見技能」を育てるには、「赤福」(伊勢名物のお菓子)のようなものを教材化してみるとよいということである。そのとき「どんな問いかけ」をするかということが、指導のポイントになる。教師の問いかけで「はてな?」を発見できれば、子どもは必ず調べる。調べ方を工夫する。なぜか。それは、教材が面白いからである。
ある子ども(三年生)が、「みかんは暖かい地方にできる」といった。しかし、誰も信用しない。そこでその子は、みかん箱の産地を書いてあるところを切り抜いて持ってくる。それを日本地図に書き込んでいく。みごとなみかん産地の地図ができ、みんなをあっといわせた。こんな学習技能をどのように育てたらよいかについても書いてみた。
本授業改革シリーズは、明治図書編集部の江部満編集長の企画によって刊行されるものである。江部編集長の強力な後押しがあって本書をまとめることができた。心からお礼を申し上げたい。ありがとうございました。
平成十年十一月吉日 /有田 和正
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明治図書















