- まえがき
- T 生きる力を育む授業づくり
- 一 「屋久島」を教材化する
- 1 「生きる力」とは何か
- 2 「生きる力」を育てる授業
- 3 追究したくなる教材の開発
- 4 屋久島の授業化
- 5 大雨による影響
- 6 世界自然遺産
- 二 「わが町」を自慢に思う子を育てる授業
- 1 「バラづくり」が耳にはいる
- 2 天瀬町のバラづくりを取材
- 3 指導案
- 三 山形県寒河江市のバラづくりの授業
- 1 東北ローズで学んだこと
- 2 授業化する
- 3 林敏幸氏の指導案の本時分
- 四 玉子焼きの工場(クレフォート)に目をつける
- 1 「見学させない」からいい教材になる?
- 2 二人の教師の単元構想
- 3 クレフォート取材記
- 4 展開計画
- 5 奥村尚行先生の指導案と指導
- 6 神谷裕美子先生の指導案と指導
- 五 卵のふるさと・養鶏場を授業化する
- 1 玉子焼きから卵の取材へ
- 2 養鶏場で取材したこと
- 3 授業案
- 六 「ペリー来航」をどう授業化するか
- 1 教科書資料の活用法
- 2 どんな資料を選定するか
- 3 指導案
- 4 授業の記録
- 5 授業を参観して―恒川徹氏の手紙―
- 6 教科書を二〇回以上読む
- 七 「ふき栽培」を教材化する
- 1 愛知県のふき栽培
- 2 ふきの教材化
- 3 指導案
- 八 「政治ってなあに?」の授業
- 1 「生きる力」を育む授業
- 2 「政治ってなあに?」の授業
- U 「地図帳の使い方」の授業
- 一 導入
- 二 この地図に描いているのは何県?
- 三 「新潟県」は何色?
- 四 外国の「国名」は何色?
- 五 何という都市でしょう?
- 六 なぜ「新潟」だけ赤ですか?
- 七 県庁のある都市は赤
- 八 市町村の記号の意味
- 九 経線・緯線を使って
- 一〇 県庁所在地と県名
- 一一 授業について考えたこと /沼澤 清一
- 一二 子どもの感想
- V 社会の面白さは教材の面白さだ
- 一 こんな総合学習はいかが?
- 1 水族館の見学
- 2 質問コーナーを活用する
- 3 自分の目で確かめないと気がすまない
- 4 水族館はエネルギーのかたまりだ!
- 5 自分の感性を信じて
- 6 水族館が海岸にあるわけ
- 7 水族館の冷房・暖房
- 8 水がにごらない工夫
- 9 たのしいからいつの間にか学ぶのだ!
- 10 これが本当の「総合学習」だ!
- 二 三年「ガンシナ」を使った授業
- 1 「ガンシナ」とは何か?
- 2 ガンシナをつかって導入授業
- 3 これからの発展
- 三 六年「戦没者名簿」を使った授業
- 1 「平和の礎」を教材化
- 2 授業の流れ
- 3 本時の指導
- ◆カコミ記事 総合学習は社会科の基盤を強くする
- W 実践の総括・ここがポイント
- ――記録をもとに、新しい実践の方向をみつけること――
- 一 第一のポイント・記録を残す
- 二 第二のポイント・実践の方向をみつける
- 三 第三のポイント・実践の理論化をはかる
- 四 総括・成果が子どもに具現する研究テーマを
- ◆カコミ記事 指導案は「授業の設計図」
まえがき
平成九年から十年にかけて、文部省に提出された「答申」は、何と十四にのぼるという。驚くべき数である。
答申の内容はともかく、数からだけでも、今教育は曲がり角にきていることがわかるし、変革しなければならなくなっていることもわかる。
わたしには、むずかしいことはわからない。わかることは、世紀へ向けて学級を変えなくてはならないということである。不登校児が十万人にのぼるというのだから――。学級の中心は「授業」である。だから、学級を変えるということは、授業を変えることである。
世紀へ向けて、授業をどう変えるべきであろうか。こう考えて、授業改革への提言を六冊のシリーズにして刊行し、批判をあおぐことにした。このシリーズの第二巻が本書である。
このシリーズの第一巻で、社会科授業を今から本気で改革していかなければ、そのいのちはなくなるかもしれないと書いた。そして、その方向を提案した。
本書は、この方向を授業という形により具体化したもので、第一巻の続編として読んでいただけるとありがたい。
改革の方向は、「生きる力を育む提案」ということになる。では、「生きる力を育む授業」は、どうあればよいのか。このことを具体的な教材(新しく開発したもの)を提示し、これを使ってどのような授業を展開したらよいかを「T」でのべた。
例えば、「屋久島」を取り上げて学習することによって、屋久島はもちろんのことであるが、日本の地形や気候がみえるようになる。つまり、応用のきく科学の見方・考え方が育つようにするのである。天瀬町の学習では、「町」というものがどのようなものであるかみえるようになることをねらっている。
寒州江のバラづくりでは、バラという花を通して社会がみえるようになることをねらっている。クレフォードの玉子焼きの学習からは、養鶏場のあり方がみえ、食品工場の様子がみえ、日本の食品の流通のしかたが見え、日本の味の分布がみえてくることをめざしている。
つまり、地域素材を徹底的に追求することによって、その地域だけではなく、もっと広い日本や世界の「みえないこと」が、自然に「みえる」ようになるのである。このように視界が広がり、地域の見方を他の地域へと広げることができる力、一つの見方をいろいろ活用できる力、これが生きる力であり、学習技能である。
「U」では、「地図帳の使い方」をどのようにして体得させていくべきか、たんねんな授業記録を提示して、検討を加えている。四年生のはじめの段階で、このような授業をする必要があるのではないかという提案である。ねらうものは、地図帳の基礎的な使い方という「学習技能」である。子どもたちは、楽しみながら、日本地図から世界地図へと視界を自然に広げていく。
社会科は、理屈が多すぎる。もっと容易に、もっと面白くする必要がある。そういうわかりやすい、多くの子どもにすかれる社会科を創り出すための理論づくりの方法について、最後に提案してみた。本書が社会科授業の改革に役立つことを心から願うものである。
本授業改革シリーズは、明治図書編集部の江部満編集長の企画によって刊行されるものである。江部編集長の強力な後押しがあって本書をまとめることができた。心からお礼を申し上げたい。ありがとうございました。
平成十年十一月吉日 /有田 和正
-
明治図書















