- まえがき
- T 世紀の社会科を展望する
- 一 子どもの立場から考える世紀の社会科学習
- 1 見えにくい社会を見ぬく目解決学習を
- 2 常識や先入観をこわす事実の提示を
- 3 コンピューターで幅広い問題
- 4 世紀には「追究の鬼」が必要
- 二 社会科の学力像を明らかにすること
- 1 社会科の弱さ
- 2 社会科でつける学力
- 三 同心円的拡大に替わるプランは何か
- 1 子どもの成長は同心円的ではない
- 2 子どもの興味関心の強いもの
- 3 子どもが熱中する「教材」から「内容」を考える
- 四 学習指導要領は簡略化・基準化して多様な解釈を可能にする
- 1 批判はできるが代案はできない
- 2 多様な解釈が可能なものに
- 3 簡略化・基準化したい
- 4 これだけは規制緩和してほしい
- 五 社会の総合学習的単元づくりへの提言
- 1 総合的学習の位置づけ
- 2 総合的単元づくりの例
- 3 子どもの追究を優先する単元がつくれるかどうかで決まる
- U 古代史新発見の授業化
- 一 邪馬台国は、畿内か九州か?
- 1 三角縁神獣鏡枚出土
- 2 歴史は変わる
- 3 卑弥呼は何人いたか?
- 4 縄文人はどんな顔?
- 二 国旗・国歌 にかかわる名言・名句
- 1 国旗・国歌との出会い
- 2 「錦の御旗」
- 3 血で染められた日の丸
- 4 日の丸は本当に国旗なの?
- 5 君が代は本当に国歌なの?
- ◆カコミ記事 歴史観を一変させられた書物
- V 新しい指導法を考える
- 一 「導入」をもっと大切にしたい
- 1 導入の大切さ
- 2 素直でない教師
- 二 緊張緩和しやる気を引き出す
- 1 やる気を引き出す
- 2 黒川孝明先生の感想
- 三 食べさせれば意欲が出るというものではない
- 1 何のために食べさせるのか
- 2 「うまい」授業の導入
- 四 三分間で子どもの力を見分ける?
- 1 どのくらい緊張しているか
- 2 授業は「合作」である
- 五 三十秒で子どもを集中させる技術
- 1 集中しない子ども
- 2 日付の書き方を工夫する
- 3 日付から国語辞典の使い方へ
- 六 具体的に「何を、どう考えればよいか」示唆する
- 1 抽象的な発問
- 2 「何を、どう考えればよいか」示唆すべきだ
- 七 「あいづち」も指導技術である
- 1 子どもの発言から始まる授業
- 2 三つのすばらしさ
- 八 授業はスイカである
- 1 授業はスイカだ
- 2 内容の中心をズバリ提示する
- 九 授業は教師の思うようにならないものだ
- 1 授業は思うようにならないものだ
- 2 授業は合作である
- 十 やはり本物は強い
- ――本物の流氷を使っての授業――
- 1 モノで引き付ける
- 2 中村厚志氏の手紙から
- 十一 「子どもの実態」は変えるためにある
- 1 子どもの実態が見えない教師
- 2 子どもの実態を変えること
- 十二 解決を急ぎすぎる
- 1 「はてな?」発見場面を大切に
- 2 ノートにどんどん書かせよう
- 十三 教科書に出ていてもわからないネタ
- 1 直径とは何か
- 2 スイカは果物か野菜か
- 十四 新しいテスト問題のつくり方
- 1 新学力観とテスト
- 2 文部省テストのどこがよいか
- 3 問題づくりの五つのポイント
- 十五 政治学習の導入はどうする
- 1 なかなかできない例
- 2 すぐできる例
- W 社会科教材開発の方法
- 一 「オレもぬいぐるみだ!」
- 二 教材開発の四段階
- 1 まず、ヒントをたくさん集める
- 2 「調べる」ということ
- 3 身近なものにおきかえる
- 4 ストーリー性をつくる
- 5 教材研究は幅広く
- 三 アメリカの家をどのように教材化したか
- 1 情報収集
- 2 ストーリーをつくる
- 四 具体的な教材例
- 1 広告でみる戦前戦後
- 2 年賀状の景品で生活の変化をみる
- 3 前田藩はそうじ人も大名行列に加わった
- 4 学生が開発した教材(うどん調べ)
- 5 「選挙」の教材化
- X 具体的な指導例
- 一 学習指導案のよい見方・よい読み方
- ――教育観・教材・技術を読みとる――
- 1 まず、単元の展開計画を読む
- 2 本時のねらい・教材・技術を読む
- 二 「流氷って何だ」の授業
- 1 指導案
- 2 授業の記録
- 3 「流氷」クイズ――暑い夏はこれ!「流氷」のネタ――
- 三 “今”を授業する
- ――社会を見る目を育てる――
- 洋二君の家のナスが輸送園芸といわれるわけを追究する授業
- ――ティームティーチングによる有田和正・白川けい子の授業――
- 1 指導案
- 2 授業説明
- 3 始業前
- 4 授業の記録
- 5 子どもも教師も追究した
- 6 授業で使った資料
- 7 授業について考えたこと
- 四 国際理解教育――授業をどう組み立てるか
- ――「家のつくり」からみた異文化理解の授業――
- 1 当日配布した指導案
- 2 プロローグ
- 3 日本とアメリカの家のちがいさがし アメリカの家は車庫がつきもの?
- 4 広さがちがう 日本とアメリカは国土の広さがちがう
- 5 アメリカの家は安い? 住み心地はどちらがよいか
- 6 屋根がちがう 日本とアメリカのちがうところ
- 7 アメリカの家はどちらむき?「要するに文化がちがう」
- 8 アメリカの家は北むき
- 9 柱がみえないアメリカの家
- あとがき アメリカの家はへいがない
まえがき
平成九年度から十年にかけて、文部省に提出された「答申」は、何と十四にのぼるという。驚くべき数である。
答申の内容はともかく、数からだけでも、今教育は曲がり角にきていることがわかるし、変革しなければならなくなっていることもわかる。
わたしには、むずかしいことはわからない。わかることは、世紀に向けて学校を変えなくてはならないということである。不登校が十万人にのぼるというのだから――。学校の中心は「授業」である。だから、学校を変えるということは、授業を変えることである。
世紀へ向けて、授業をどう変えるべきであろうか。こう考えて、授業変革への提言を六冊のシリーズにして刊行し、批判をあおぐことにした。このシリーズの第一巻が本書である。
二〇〇二年から「総合的学習の時間」が、正式に教育課程の中に位置づけられる。これに先だって、すでに先導的な実践が行われている。この「総合的学習の時間」に行われる学習内容は、今後の社会科学習のあり方に大きな影響を与えることになる。「社会科はどうなるのだろうか」と、心配する声もある。
世紀をめざして、社会科授業を今から改革しなければ、そのいのちはなくなるかもしれない。そこで、社会科を心から愛する一人として、「このように改革してみたらどうだろうか」ということを、具体的に提案してみた。
これまでの社会科は、知識を沢山教えることに熱中してきたといってよい。その結果、「覚えることが多すぎて、面白くない」と子供たちから嫌われだした。教師からも、「教えることが多すぎる」とか、逆に「何を教えてよいかわからない」という声が出るようになり、嫌われだした。
これからの社会科のねらいは、「社会を見る目(力)」をつけることでなくてはならない。見えない社会を見えるようにする目(力)をつけなければならない。「見る目」が少し育ってくると、何を見ても面白くなる。「はてな?」が見えてくるからであり、今まで全く関係がないと思っていたものが深いつながりのあることが見えてくるからである。こういうことが本当の面白さである。
このような「見る目(力)」をつけるには、どのような指導をすればよいのか、新しい指導法を考えなくてはならない。指導法を変えることは、容易なことではない。古い指導法がしみついているからである。そこで、「一つひとつこんなことから変えてみたらどうか」ということを具体的にあげてみた。
教師も当然変えなくてはならない。従来の「教材」から、子供が自らの力で学んでいく「学習材」ともいうべきものに変えていく必要がある。学習材開発法を「このようにしたらどうか」と、提案してみた。
最後に、指導の展開例を三つあげた。
これがいいというわけではないが、社会科授業改革の一つの方向を示していると考えている。子供の「はてな?」を大切にしているし、子供が調べ・考えるということを重視し、学習技能を育てるように指導している。子供の表現力を伸ばすことも考えている。何よりも、子供たちが、授業を心から楽しんでいることに注目してほしい。本書が、社会科授業の改革に少しでもお役に立つようなことがあればうれしい限りである。
本授業改革シリーズでは、明治図書編集部の江部満編集長の企画によって刊行されるものである。江部編集長の強力な後押しがあって本書をまとめることはできた。心からお礼を申し上げたい。ありがとうございました。
平成十年十一月吉日 /有田 和正
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明治図書















