- まえがき
- 1章 歴史の授業づくりと話教材 ―本書活用のために―
- 1 学習意欲がわく歴史の授業づくりの今日的意義
- 2 学習意欲がわく歴史の授業づくりと「話教材」
- 3 これからの歴史学習の実践課題と「話教材」
- 2章 歴史の話教材集
- 1 日本から大陸に伝わった黒曜石とひすい
- 〔内容(1)―イ 日本人の生活の始まり〕の話教材1
- 2 高地性集落と倭国大乱 ―立地に謎を残す高地性集落―
- 〔内容(1)―イ 日本人の生活の始まり〕の話教材2
- 3 日本神話と世界の神話
- 〔内容(2)―ア 国の成り立ちと東アジアの動き〕及び
- 〔内容(2)―イ 律令国家と遣唐使〕の話教材1
- 4 アジアの英知を集めた大仏
- 〔内容(2)―イ 律令国家と遣唐使〕の話教材2
- 5 インド洋を支配したシンドバッドの舟
- 〔内容(2)―イ 律令国家と遣唐使〕の話教材3
- 6 前九年・後三年の役と主従関係
- 〔内容(2)―ウ 貴族の政治と文化の国風化〕の話教材1
- 7 平家の公達
- 〔内容(2)―ウ 貴族の政治と文化の国風化〕2,もしくは
- 〔内容(3)―ア 鎌倉幕府と蒙古襲来〕の話教材1
- 8 源頼朝を支えた東国武士―「一所懸命」につくした千葉介常胤の場合―
- 〔内容(3)―ア 鎌倉幕府と蒙古襲来〕の話教材2
- 9 モンゴル軍の弱み
- 〔内容(3)―ア 鎌倉幕府と蒙古襲来〕の話教材3
- 10 陶磁器への夢
- 〔内容(3)―ア 鎌倉幕府と蒙古襲来〕の話教材4
- 11 南海の八幡船と日本人町
- 〔内容(3)―イ 室町幕府の政治と外交〕の話教材
- 12 今のマージャンと同じくらい盛んだった連歌の会
- 〔内容(3)―ウ 都市・農村の生活と文化〕の話教材
- 13 コロンブスはなぜ大西洋を横断したか
- 〔内容(4)―ア ヨーロッパ人の来航の背景と影響〕の話教材1
- 14 ザビエルの布教と天正少年使節
- 〔内容(4)―ア ヨーロッパ人の来航の背景と影響〕の話教材2
- 15 新大陸から伝わった野菜
- 〔内容(4)―イ 織田・豊臣の政治と桃山文化〕の話教材1
- 16 明らかになった日本全国の総石高―太閤検地と朝鮮出兵のなぞ―
- 〔内容(4)―イ 織田・豊臣の政治と桃山文化〕の話教材2
- 17 じゃがたら文と鎖国
- 〔内容(5)―ア 幕藩体制の成立と鎖国〕の話教材1
- 18 島原の乱
- 〔内容(5)―ア 幕藩体制の成立と鎖国〕の話教材2
- 19 縁切り寺・東慶寺と満徳寺
- 〔内容(5)―ア 幕藩体制の成立と鎖国〕の話教材3
- 20 讃岐三白と藩政改革―商品作物経済の浸透―
- 〔内容(5)―イ 産業の発達と町人文化〕の話教材
- 21 わら餅がつないだ命―天明の大飢饉―
- 〔内容(5)―ウ 幕府政治の移り変わり〕の話教材
- 22 ロペスピエールとルイ16世
- 〔内容(6)―ア ヨーロッパ近代社会の成立〕の話教材1
- 23 産業革命当時の労働条件―イギリスの場合―
- 〔内容(6)―ア ヨーロッパ近代社会の成立〕の話教材2
- 24 杉田玄白と華岡青洲
- 〔内容(6)―イ 新しい学問・思想と地方の生活文化〕の話教材1
- 25 葛飾北斎と印象派の画家たち
- 〔内容(6)―イ 新しい学問・思想と地方の生活文化〕の話教材2
- 26 鯨が招いたペリーの艦隊
- 〔内容(6)―ウ 幕府政治の行き詰まりと開国〕の話教材1
- 27 高野長英と蛮社の獄
- 〔内容(6)―ウ 幕府政治の行き詰まりと開国〕の話教材2
- 28 ロシア船と戸田村
- 〔内容(6)―ウ 幕府政治の行き詰まりと開国〕の話教3
- 29 金毘羅大権現と幕末の志士たち―天領に隠された尊王攘夷運動の展開―
- 〔内容(6)―ウ 幕府政治の行き詰まりと開国〕の話教材4
- 30 一少年の見た西南戦争
- 〔内容(7)―ア 明治政府の成立と諸改革の展開〕の話教材1
- 31 最初の女子留学生・津田梅子
- 〔内容(7)―ア 明治政府の成立と諸改革の展開〕の話教材2
- 32 伊藤博文と岩倉具視
- 〔内容(7)―イ 憲法の制定と議会政治の始まり〕の話教材
- 33 日露戦争をめぐる国際関係―バルチック艦隊はどうして敗れたか―
- 〔内容(7)―ウ 日清・日露戦争とアジアの情勢〕の話教材1
- 34 海外の人が見た日露戦争
- 〔内容(7)―ウ 日清・日露戦争とアジアの情勢〕の話教材2
- 35 舟運の衰えと鉄道の発達
- 〔内容(7)―エ 近代産業の発展と社会や生活の変化〕の話教材
- 36 サラエボ事件―フェルディナンド皇太子暗殺事件―
- 〔内容(8)―ア 第一次世界大戦と国際関係〕の話教材1
- 37 1兆倍になった物価
- 〔内容(8)―ア 第一次世界大戦と国際関係〕の話教材2
- 38 杉原干畝とナチスドイツ
- 〔内容(8)―ウ 第二次世界大戦と日本〕の話教材1
- 39 ベトナムと日本
- 〔内容(8)―ウ 第2次世界大戦と日本〕の話教材2
- 40 欲しがりません勝つまでは―戦争中の子供の生活―
- 〔内容(8)―ウ 第二次世界大戦と日本〕の話教材3
- 41 三月十日の証言―東京大空襲をくぐった少年―
- 〔内容(8)―ウ 第二次世界大戦と日本〕の話教材4
まえがき
いま,私の手元に福武書店教育研究所の『学習基本調査報告書―小・中学校版―』(研究所報Vol.4,1991.3)がある。この報告書にまとめられている「教科の魅力と理解度」の調査結果が,社会科教育に携わる私には大変気にかかる。その調査結果では,あらまし次のようなことが報告されている。
@小学校5年生の段階では,男女とも特に,体育・図画工作・家庭科といったいわゆる技能系教科に魅力を感じている子どもが,圧倒的に多いのに対し,国語・社会・算数の人気が極端に低い。特に女子の場合,社会科の人気度が最低である。A中学校2年生の段階では,男子については,社会科の人気度は体育に次いで2位であるが,女子では第7位で,男女差が著しい。B教科の理解度については,小学校5年生は,男女とも社会科が最も低い。一方,中学校2年生は,男子は社会科の理解度が一番高いのに対して,女子の理解度が最も低く,これまた,男女差が大きい。
小学校5年生と中学校2年生の男女各約1,300名を対象としたこの調査結果で,特に目を引くのは,小学校5年生の男女と中学校2年生の女子の,社会科の理解度が最も低いことである。このことについては,同じ福武書店の『モノグラフ小学生ナウVol.5―6』(昭和60.9),P.9所収の「社会科の嫌いな理由」についての調査に対して,小学校6年生男女約各1,000名の子どもが,@よくわからない A楽しくない,を1位・2位の理由に挙げていることから考えると,社会科の不人気と理解度の低さの背景は,子どもにとって,社会科がわかりにくい,そして,楽しくない教科になっている,と言えそうである。
したがって,社会科学習を活性化し,子どもにとって社会科を魅力あるものにするためには,学習内容を具体的でわかりやすいもの,そして子どもの興味・関心を高め得るものにすることによって,子どもが自ら主体的・意欲的に学ぼうとする態度,すなわち「自己学習力」を身に付けさせることを目指すことである。それでは,中学生にとってわかりやすく,興味・関心を高め得るような学習内容を,歴史学習の中で構成する手だては一体何か。子どもの社会科ばなれが問題になっている今日,このことについて真剣に検討することは,緊要なる課題である。
この課題については,1章の中で詳述したとおり,新しい歴史素材としての「話教材」の開発と活用を,今後より一層積極的に工夫することによって,解決できるのではないかと考える。ここでいう「話教材」は,次の四つの役割を果たし得るものであるべきである。@学習への動機付け,すなわち,子どもの知的好奇心をゆさぶり,学習意欲を誘発させ得るもの,A歴史的事象をできるだけ具体的なものとして実感させ得るもの,B時代像を生き生きと豊かにイメージさせ得るもの,C人間としての生き方を考えさせ得るもの。
21世紀に向かって,生涯学習体系への移行が急速に進むことが予想される今日,次の時代に生きる子どもたちに求められるものは,生涯にわたって主体的・意欲的に学びつづけようとする意志と態度である。子どもたちが,本書に収録された「話教材」を通して,生涯にわたって歴史を学びつづけてみようという意欲を待ち得るなら,本書の編者として,これにまさる喜びはない。
最後に,本書の刊行に当たって執筆を引き受けてくださった先生方,及び企画・編集において多大なご協力をいただいた明治図書編集部の安藤征宏氏に厚く感謝の意を表したい。
1992(平成4)年7月 編者 /小俣 盛男
-
明治図書
















