- まえがき
- 第1章 「見方・考え方」を働かせる中学校社会科の課題設定&評価
- 1 フィールドワーク型の学びを実現する
- 2 課題設定が学びのスタート&ゴール地点を決める
- 3 「見方・考え方」が学びの道を進む武器になる
- 4 評価が学びのGPSになる
- 5 「見方・考え方」を生かして評価する
- Column 学びのGPSの3つの機能
- 第2章 「見方・考え方」を働かせる中学校社会科の課題設定スキル17
- 基礎・基本の課題設定スキル
- 1 教材研究で学びのフィールドを精査する
- 2 目指す資質・能力から課題をつくる
- 3 課題を構造化する
- 4 効果的な「見方・考え方」の見通しをもつ
- 5 課題設定から評価基準につなげる
- 教師の課題設定スキル
- 6 概念的知識や本質的な問いを生かす
- 7 資料の魅力やズレを生かす
- 8 課題とコンパクトな発問をセットにする
- 9 解決への道が複雑な課題で判断力を育む
- 10 解決への道がぶつかる課題で主体性を育む
- 11 目の前の生徒と外の社会をつなげる
- 12 パフォーマンス課題で表現力を磨く
- 生徒の課題設定支援スキル
- 13 生徒の問題意識を社会の課題とつなげる
- 14 関わり方を想像することで他人事を自分の課題にする
- 15 教師のスキルをまねて発想を柔軟にする
- 16 生徒にとっての学ぶ目的を意識する
- 17 発展的な課題をつくって教室を飛び越える
- Column 多面的と多角的
- 第3章 「見方・考え方」を生かした中学校社会科の評価スキル21
- 基礎・基本の評価スキル
- 1 4つの要素を取り入れて納得の評価に変える
- 2 5W1Hで評価をデザインする
- 3 「見方・考え方」と見取り方を連動させる
- 4 単元の評価規準は転移できるように一般化する
- 5 本時の評価規準は場面が浮き出るほど具体化する
- 観点別の評価スキル
- 6 「知識・技能」は頭の地図を評価する
- 7 「知識・技能」はつながった技能を評価する
- 8 「思考・判断・表現」は思考の経路を評価する
- 9 「思考・判断・表現」は思考の視点や方法を評価する
- 10 「主体的に学習に取り組む態度」は変容を評価する
- 11 「主体的に学習に取り組む態度」は手立てを考える力を評価する
- 12 「主体的に学習に取り組む態度」は困難に抗う姿を評価する
- 方法別の評価スキル
- 13 形成的評価でモヤモヤをワクワクにする
- 14 信頼性のある総括的評価を実現させる
- 15 自己評価で見えづらい成果を可視化する
- 16 相互評価でクラスメートを学びのパートナーにする
- 17 ワークシートと評価を紐付ける
- 18 映像作品やポスターは社会科として評価する
- 19 グループ活動では磨き合う姿を評価する
- 20 ルーブリックは評価基準と連動させる
- 21 OPPシートで単元内の成長を見取る
- Column 評価の可視化で生徒の努力が報われる
- 第4章 分野別の課題設定&評価スキル22
- 地理的分野の課題設定&評価スキル
- 1 位置や分布を多様に表現する
- 世界と日本の地域構成 地域構成
- 2 場所の性格を見出して分類する
- 世界の様々な地域 世界各地の人々の生活と環境
- 3 人間と自然の相互依存関係を結び直す
- 世界の様々な地域 世界の諸地域
- 4 地域の共通性と特殊性を比べて見出す
- 日本の様々な地域 地域調査の手法
- 5 位置や分布のパターンを見つけて定義づける
- 日本の様々な地域 日本の地域的特色と地域区分
- 6 空間的相互依存作用の関係性の質をつかむ
- 日本の様々な地域 日本の諸地域
- 7 地域の特殊性に着目して提言する
- 日本の様々な地域 地域の在り方
- 歴史的分野の課題設定&評価スキル
- 8 時期の視点で歴史の基礎を理解する
- 歴史との対話 私たちと歴史
- 9 生徒の時代観を生かして自分事にする
- 歴史との対話 身近な地域の歴史
- 10 差異や類似から時代の特色を表現する
- 近世までの日本とアジア 古代までの日本
- 11 変化と継続を見つけて解釈する
- 近世までの日本とアジア 中世の日本
- 12 発展を捉えて意義をまとめる
- 近世までの日本とアジア 近世の日本
- 13 関連の質の違いを意識する
- 近現代の日本と世界 近代の日本と世界
- 14 因果関係を探って未来につなげる
- 近現代の日本と世界 現代の日本と世界
- 公民的分野の課題設定&評価スキル
- 15 見方・考え方を組み合わせて概念を理解する
- 私たちと現代社会 私たちが生きる現代社会と文化の特色
- 16 対立と合意を通して人間関係形成力を育てる
- 私たちと現代社会 現代社会を捉える枠組み
- 17 分業と交換を通して生活の向上について考える
- 私たちと経済 市場の働きと経済
- 18 希少性に着目して価値観を磨く
- 私たちと経済 国民の生活と政府の役割
- 19 個人の尊重と法の支配を通して法を価値づける
- 私たちと政治 人間の尊重と日本国憲法の基本的原則
- 20 民主主義を通して公民としての自分の役割を見出す
- 私たちと政治 民主政治と政治参加
- 21 持続可能性を通して望ましい社会を構想する
- 私たちと国際社会の諸課題 世界平和と人類の福祉の増大
- 22 よりよい社会の姿を構想して社会科の意義を考える
- 私たちと国際社会の諸課題 よりよい社会を目指して
- あとがき
- 参考文献
まえがき
本書は,ハウツー本ではありません。学習課題と学習評価をテーマに,社会科教師としてのスキルを磨くためのトレーニング本です。
令和の時代に入り,学校教育は目まぐるしく変化しています。「主体的・対話的で深い学び」や「個別最適な学びと協働的な学びの一体的な充実」などの新しい指針が次々と出され,1人1台端末が整備されました。多くの先生方が,多忙な中で困難を感じながらも奮闘していると思います。
学校教育を巡る状況が大きく変化する中で,学習課題の設定や学習評価は,これまでよりもさらに難しくなっています。学習課題に関しては,1時間の授業だけではなく,内容のまとまりや単元全体の学習デザインが重視されるようになりました。しかし,何時間にもわたって学ぶエネルギーを保つような魅力ある課題を設定することは,簡単ではありません。
また,学習評価に関しては新3観点の評価,特に「主体的に学習に取り組む態度」については具体的な評価のイメージをつかむことができずに,悩んでいる先生が多いと思います。評価に関する解説書や教育書は多数刊行されていますが,知識・技能や思考力・判断力・表現力と比べると,肝心の「主体的に学習に取り組む態度」については,あいまいな説明で終わるケースが数多く見受けられます。
そこで,本書では現場に即した実践的な内容を提案することを目指して,課題設定と学習評価に関する60種類のスキルを紹介します。このスキルの根底にあるのは,次のような考え方です。詳細は本書の第1章で説明します。
・「フィールドワーク型の学び」への学習観の転換
・「見方・考え方」と結び付けた課題設定と学習評価
・「学びのGPS」として機能する学習評価
課題設定と学習評価は,学習目標を挟んで表裏一体の関係にあると考えます。目標の到達には適切な課題が必要であり,到達状況を測定するには的確な評価が必要だからです。
そこで,本書では「課題設定&評価スキル」と1つにまとめた形にしています。課題設定については第2章で「基礎・基本の課題設定スキル」「教師の課題設定スキル」「生徒の課題設定支援スキル」の3つに分けて説明します。また,学習評価については第3章で「基礎・基本の評価スキル」「観点別の評価スキル」「方法別の評価スキル」として具体的に説明します。最後の第4章では,社会科の3分野について「分野別の課題設定&評価スキル」を説明します。具体的な課題例や評価例は,合計すると約100個の内容を紹介しています。また,本書は網羅的な構成ではありませんが,幅広い事例を取り上げるように努め,3分野の全単元の7割ほどを扱っています。
課題設定においては,ゴールまでの距離を遠くして,道のりを険しくすればするほど,評価は難しくなります。逆に評価を簡単にすると,浅い学びに留まってしまいます。この問題を解消するためには,入り口は浅くても次第に深まるような課題を設定したり,複数の評価を組み合わせて,幅広さと奥深さのある評価をしたりすることが大切です。スキルを使いこなして適切な課題設定と的確な評価を行うと,学びの形が次のように変化すると考えます。
・学習課題が次第に忘れられるものから学習の核へと変わる
・評価がブラックボックスからガラス張りへと変わる
・学びが難しく,けれどワクワクするものへと変わる
形だけの学習課題や生徒が形をつかめない評価,楽だけどつまらない学びを改善しましょう。そして,生徒が夢中になる学びを実現させましょう。
2022年1月 /川端 裕介
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- 明治図書
- 詳しく書かれている2024/3/26す
- どのように課題を設定すれば良いか分かりやすかった。2023/7/820代・中学校教員
- 評価の設定、仕方、次の単元へのつなげ方などがよく分かりました。2022/4/320代・小学校教員
- 単元の問いを考えるうえで参考になりました。2022/3/920代・中学校教員
- 授業づくりや評価、単元を貫く学習課題を設定する上で参考になった2022/1/3120代・中学校教員