体育科授業サポートBOOKS
全領域の学習プリント&学習カードを収録
主体的・対話的で深い学びをつくる!教師と子どものための体育の「教科書」 低学年

体育科授業サポートBOOKS全領域の学習プリント&学習カードを収録主体的・対話的で深い学びをつくる!教師と子どものための体育の「教科書」 低学年

「教科書の内容を教える」から「教科書を活用する」に転換!

なぜ体育に教科書がないの?と思っていませんか。そんな先生方に向け、教師には単元づくりの際によりどころとなる知識と情報を、子どもには学びを深める学習プリントや学習カードを全領域で収録した「教科書」をつくりました。低中高学年の3巻シリーズ。


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PDF
ISBN:
978-4-18-438113-1
ジャンル:
保健・体育
刊行:
対象:
小学校
仕様:
B5判 112頁
状態:
在庫あり
出荷:
2024年12月13日

Contents

もくじの詳細表示

はじめに
1章 主体的・対話的で深い学びを育む!体育授業づくりの基礎知識
新時代の幼保小連携カリキュラム
新時代の遊びとしての学びのデザイン
新時代の関わりを大切にした学びの場づくり
新時代の効果的な教師の指導行動
2章 学習プリントと学習カードでつくる!全領域の体育の教科書
体つくりの運動遊び
1 体つくりの運動遊びはここがおもしろい!
2 主体的・対話的に学ぶための指導方略
3 学びがグーンと深まる教材づくりのポイント
4 学習の質を高める評価のポイント
学習プリント
学習カード
器械・器具を使っての運動遊び
1 器械・器具を使っての運動遊びはここがおもしろい!
2 主体的・対話的に学ぶための指導方略
3 学びがグーンと深まる教材づくりのポイント
4 学習の質を高める評価のポイント
学習プリント 固定施設を使った運動遊び
学習プリント マットを使った運動遊び
学習プリント 鉄棒を使った運動遊び
学習プリント 跳び箱を使った運動遊び
走・跳の運動遊び
1 走・跳の運動遊びはここがおもしろい!
2 主体的・対話的に学ぶための指導方略
3 学びがグーンと深まる教材づくりのポイント
4 学習の質を高める評価のポイント
学習プリント 走の運動遊び
学習カード 走の運動遊び
学習プリント 跳の運動遊び
学習カード 跳の運動遊び
水遊び
1 水遊びはここがおもしろい!
2 主体的・対話的に学ぶための指導方略
3 学びがグーンと深まる教材づくりのポイント
4 学習の質を高める評価のポイント
学習プリント
学習カード
ゲーム
1 ゲームはここがおもしろい!
2 主体的・対話的に学ぶための指導方略
3 学びがグーンと深まる教材づくりのポイント
4 学習の質を高める評価のポイント
学習プリント ボールゲーム
学習カード ボールゲーム
学習プリント 鬼遊び
学習カード 鬼遊び
学習プリント ゲーム
学習カード ゲーム
表現リズム遊び
1 表現リズム遊びはここがおもしろい!
2 主体的・対話的に学ぶための指導方略
3 学びがグーンと深まる教材づくりのポイント
4 学習の質を高める評価のポイント
学習プリント
学習カード
3章 体育授業をもっと充実させる!ステップアップの指導スキル
上手な指導案の書き方
上手な体育と休み時間の関連のさせ方
上手な準備運動と整理運動の行い方
上手な運動会の運営
上手な夏休みの水泳教室の運営
上手な校内研修の進め方
おわりに
執筆者一覧

はじめに

 私は体育科教育学を専門にしており,大学では初等体育科教育法を担当しております。授業の冒頭で,必ずといってよいほど,小学校体育に教科書が存在していない理由について取り上げます。体育が子どもの実態に基づいた授業づくりをしなければならず,子どもの実態は学校間のみならず,クラス間でも多様であり,例え学年が同じであっても同じ活動を使って,同じ内容を教えることは難しいと考えられることを話しています。しかし,この大前提は教科書の内容“を”教えるという立場に立っており,教科書の内容“で”教えるという立場には立っていないのではないかと疑念をもちました。そこで,「世界の国々では体育の教科書はあるのだろうか?」「日本では,教科書の代わりに使用されることがある体育の副読本はどのように使用されているのだろうか?」と疑問に思うようになりました。

 このような問題意識に立ち,2018年度に,中央教育研究所より教科書研究奨励金を得て,副読本を採用し,使用している地区の教師の活用の実態とその意識を調査することで,今後の体育における情報提供のあり方について検討を行いました。そして,日本において副読本を活用している教師の実態と意識を中心に調査した上で,他国との比較検討をしながら,体育学習における教科書・副読本の情報提供について検討してきました。その結果,以下のようなことが明らかになりました。


―――

 どの国においても教科書は,児童の為のものというよりは,教師の為のものとして位置づいている実態を見出すことができた。また,それは国で一定の政策が示される場合,基準の具体的な例として提示されるものとして解釈される傾向にあり,教師の目標を示すものになっているともいえる。さらに,教科書の利活用のポイントは,教師の意思決定により情報を適切に取捨選択し,児童に提供することであって,児童自身が教科書を活用しながら学ぶという視点は希薄であることが明らかになった。日本での結果ではあるが,有効な利用をするためには,教師としての力量形成が必要であり,初任期の教師にとって活用は難しいのが現状であった。これは,教科書があれば誰でも同じような授業ができるという考えとは逆に,教科書の使用には教師としての専門性が求められることを示唆するものであった。

 この理由について,教科書の積極的な使用ができていない点と,情報が技能や知識に偏りすぎている点があげられる。児童の実態に即して学ぶ体育では活動は多様であり,むしろ学び方を教科書では提示していく必要があると考えられる。また,教師や児童が,教科書や副読本の内容をベースにして工夫できる活動が示される必要がある。さらに,学習の記録を残すなど,教科書の内容と学びの履歴が対応していくことで,活用可能な教科書になると考えられる。

  鈴木直樹・鄭英美・佐藤貴弘・楊磊明(2019) 小学校体育における教科書(副読本)

  活用の実態と意識に関する調査研究―日米中韓の国際比較から―.中研紀要「教科書フォーラム」No.20

―――


 研究で明らかになったように,副読本は十分に活用されていない実態を見いだすことができました。教科書として発行されている国においても十分に体育の教科書が活用されていないことが明らかになりました。これは,副読本に掲載されている情報が,授業実施上,適切ではないことが原因であると考えられました。また,副読本が一定程度の授業実践を保証する為に必要であると考えられている一方で,熟練教員の方が活用しているという状況からは,初任期の教員にとって使いにくくなっていることが示唆されました。このような実態をふまえ,教科書に掲載する内容をより真正なものとすることで,教師にとっても,子どもにとっても有効に活用できる「教科書」になると考えました。このような研究成果に基づき,実際に授業で活用可能な「教科書」を作成したものが本書です。


「体育の教科書」の使用方法

 体育をよりよく指導するために使える書籍が本書です。中心的な内容となる「体育の教科書」には,「教師用の内容」と「子ども用の内容」を含めています。それらに加えて,「理論編」「資料」の内容を追加し,教科書を使用する教師にとって基礎的な知識を提供し,体育カリキュラムの作成や体育経営に役立てることができるように構成しています。

 「体育の教科書」における「教師用の内容」は,授業を実施する教師に,単元づくりをする際に参考にしてほしい内容です。また,実際の指導にも役立てて頂きたいと願っています。そこで,授業づくりにあたり,ここを読みながら授業構成をするとともに,授業実践を進めながらここを読み返し,授業評価を行い,授業改善を実施して頂きたいと願っています。

 「子ども用の内容」は,本書の核ともなる内容です。この内容は,「教師用の内容」と深い結びつきをもっています。そして,このページは,実際に,授業中に子どもたちが活用して学びを深めることをイメージしています。また,多様な子どもたちに対応できるように,必要な部分だけをコピーして印刷して配布できるように構成しています。全てのページをコピーして渡す必要はありません。単元構成に応じて,情報を加除した上で,オリジナルの配布資料を作成し,「体育の教科書」として授業で活用してもらえればと思います。そんな応用可能性が高い情報を掲載するように心がけました。本書が目指すのは,新しい時代を支える体育を実現する上で,教師や子どもを助ける情報の提供です。そのために,長い時間をかけて,実践現場の先生方と大学の教員が協働しながら本書を書き上げました。ぜひ,本書を活用し,「主体的・対話的で深い学び」を実現させてほしいと切に願っております。

 なお,本書では,体育の全領域を扱っていますが,書き込みのプリントを多く収録するなど,子どもたちに考えさせる形で学びを進めていくため,活動例を示すことが主となる体ほぐしの運動の内容は扱いませんでした。その他の領域については,学習指導要領に示されている内容に関して「運動の楽しさ・喜び」を中心として,夢中になって運動に取り組む中で学びを深めることができる構成としています。歓喜溢れる体育の学びの場を実現するための資料として本書をお使い頂ければ幸いです。


  2021年6月   編者代表 /鈴木 直樹

著者紹介

鈴木 直樹(すずき なおき)著書を検索»

博士(教育学)。公立学校に9年間勤務後,2004年から埼玉大学,2009年から東京学芸大学で勤務。体育科教育学を専門とし,体育の学習評価論,ICT利活用,ボール運動の授業づくりの研究に力を入れている。

※この情報は、本書が刊行された当時の奥付の記載内容に基づいて作成されています。
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