- まえがき
- T 先土器・縄文・弥生・古墳時代
- 1 マンモスは小さかった
- 2 道具の発達の光と影
- 3 縄文人の珍しい風習
- 4 西暦0年は何世紀?
- 5 弥生時代が500年もさかのぼる?
- 6 米作りと卑弥呼の関係は?
- 7 古墳のひみつを推理しよう
- 8 神様は,山
- U 飛鳥・奈良・平安時代
- 9 肖像画の聖徳太子は本当に聖徳太子か?
- 10 法隆寺の七不思議
- 11 古代の時を告げる水時計
- 12 古代日本にチーズがあった!?
- 13 奈良の大仏は開眼供養会の時は何色だったのか?
- 14 奈良に全国の地名が集まっているのはなぜ?
- 15 日曜日は平安時代からあった
- 16 菅原道真が遣唐使を廃止した本当の理由は?
- 17 菅原道真が「天神様」になったのは,なぜ?
- 18 望月の歌の背景
- 19 平安の宇宙人,かぐや姫
- 20 地獄絵は語る
- V 鎌倉・室町(戦国)時代
- 21 鎌倉時代は1185年から?
- 22 切通しだけでは守れない
- 23 武士の館にトイレを作ったわけ
- 24 加筆された蒙古襲来絵詞
- 25 鎌倉にお寺が多いわけは?
- 26 もっこの子守唄
- 27 義満は出家したのに肖像画にひげがあるのはなぜか?
- W 安土桃山・江戸時代
- 28 天下布武って何?
- 29 信長は仏教が嫌いだったのか?
- 30 刀狩り 刀は戦の役に立たなかった
- 31 ピンチをチャンスに!徳川家康の生き方
- 32 平和を見守る東照宮
- 33 秀忠が建てた東照宮(世良田東照宮)
- 34 島原の乱後,絵踏は全国で行われたのだろうか?
- 35 参勤交代は「いざ鎌倉」
- 36 参勤交代はケチケチ急ぎ旅
- 37 江戸っ子も,朝顔が好き
- 38 「生類憐れみの令」で処罰された人々
- 39 新しい学問,蘭学と天然痘
- 40 井伊直弼と横浜開港
- X 明治・大正・昭和・平成
- 41 逃げの小五郎
- 42 西郷隆盛はどんな顔をしていたのだろうか?
- 43 悲劇の戦艦エルトゥールル号事件
- 44 本当は海を渡らなかった赤い靴の少女
- 45 与謝野晶子の弟は戦死していない
- 46 カレーライスはなぜ日本に広まったのか?
- 47 初めて太平洋無着陸横断をしたミス・ビードル号
- 48 グリコのおもちゃが語る歴史
- 49 スパイになった「青い眼の人形」
- 50 風船爆弾
- 51 日本国憲法は,誰が作ったの?
- 52 「日本の首都・東京」ってどこ?
- 53 変わる景観,残したい景観
- 54 20歳になったら選挙に行こう
- Y 世界の中の日本
- 55 ヒロシマの地名が世界に多いよ,移民の歴史を調べよう!
- 56 日本でのオリンピック
- 57 国連の旗はなぜ,北極が中心?
- 58 チョコレートと少年兵
- 59 地雷によって,毎時間一人は死んでいる?
- 60 新しい通貨「ユーロ」の誕生
はじめに
社会科という教科は,「社会に出てから役に立つ教科」「大切な教科」という意識が,親にも子どもたちにも高い。しかし,「社会科の授業が好きか」と子どもたちに問えば,その結果は必ずしも芳しいものではない。
文部科学省が平成15年度に行った教育課程実施状況調査の「教科等の好き嫌いの意識調査」の結果では,「とても好き」・「まあ好き」の合計が4年・5年では全ての教科・領域の中で最下位であった(4年46.0%,5年43.5%)。歴史に興味をもつ子どもたちが増える6年生では,51.8%と少しもち直すが,それでも,道徳・国語に次いで下から3番目である。
この傾向は,その後の諸調査を見ても変わっていない。相変わらず,社会科は最下位を独走しているのである。
なぜ,社会科を好きになれないのだろうか?
答えは簡単である。教師が社会科を面倒くさがる,毛嫌いするからである。
教師が社会科好きになれば,子どもも社会科を好きになる。子どもの教科嫌いは,教師の投影なのである。
ご承知の通り,小学校の教師は,ほとんどの教科を1人でこなす。高学年になるにつれて,専門的な知識も増え,教材研究も大変である。とりわけ,社会科は,取材をして資料を集めたり,子どもたちに分かりやすく資料を作成し直したり,具体物を用意したりと,その気になればなるほど,手間と時間を要する教科である。「そうすれば,子どもたちが喜ぶのは分かるが,そこまでできない」,といったジレンマが襲う。そこで,無難に教科書を教え,白地図やプリントで漏れなく習得させる学習となっていく。この循環により,子どもたちの社会科に対する意欲が薄まっていく。
本書は,そういった先生方の悩みを少しでも解消し,社会科の授業を楽しくできればと思い,全国の社会科を愛する小学校の先生方によって執筆された小本である。
授業の合間に,教科書には取り上げられていないが,関連した話題をホンの数分間子どもたちに提供するだけで,子どもたちの社会科に対する学習意欲が変化していく。子どもたちの教師を見る瞳が変わってくる。教師が話す小話をもとにして,自らも調べてみようとする。私たちは,そういった子どもの変化を見てきた。そんな内容を提供できる話題が満載された本である。
話の中身は,タイトルを見ていただければ分かると思うが,必ずしも社会科の授業だけでしか活用できないモノではない。日頃の学級指導や朝会でのスピーチにも十分に活用できる内容である。
見開き2ページの編集であるため,手軽に読める反面,もう少し詳しく掲載したい所や,やむなく割愛したところも多々ある。そういったときには,出典を参考にしながら,ご自身で掘り下げて子どもたちにお話していただければ幸いである。
社会科小話シリーズは,地域・地図・日本の国土など3年生から5年生までの社会科の内容を満載したものと,歴史・世界の6年生の社会科の話題を中心としたものの2冊を刊行する。両書を併読して活用していただければ編著者として大変嬉しく思う。
最後に,本書の刊行に際し,明治図書出版の樋口雅子氏と矢口郁雄氏・松井菜津子氏に大変お世話になった。ここに改めて感謝の意を表したい。
筑波大学附属小学校 /臼井 忠雄
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- 明治図書