- はじめに
- 本書の使い方
- 3 年
- 1 変身こん虫もけいを作ろう……生物
- 2 カマキリの鎌は手なの? あしなの?……生物
- 3 アゲハの幼虫のあしは何本?……生物
- 4 あなたは見えない“ネクターガイド”……生物
- 5 しょくぶつとこん虫はなかよし!……生物
- 6 あらふしぎ? 草から糸が……生物
- 7 身のまわりのじ石は生活のお友だち……物理
- 8 じ石を砕いたらどうなるの?……物理
- 9 砂鉄よりじ鉄鉱がカッコイイ!……物理
- 10 予想しよう! 遠くまで反射させた光の形は?……物理
- 11 天体望遠鏡がもっている進化の歴史……物理
- 12 プラスチックに電気が通る?……物理
- 13 折り紙も電気を通すの?……物理
- 4 年
- 14 がんばれ日本のタンポポ―タンポポ地図を作ろう……生物
- 15 ツバメはどうして人がいるところに巣をつくるの?……生物
- 16 1日に20〜30p伸びるクズのパワー!! ……生物
- 17 金属の板はどこまで熱を伝えるの?……物理
- 18 ソーラークッカーで省エネ料理……物理
- 19 鉄と木,どちらが重い?―対流の秘密……物理
- 20 身の回りのどれが直列つなぎ? どれが並列つなぎ?……物理
- 21 レモンが電池にへ〜んしん!……物理
- 22 今見ている太陽の光はどのくらい前にできたものなの?……地学
- 23 流れ星を見よう……地学
- 24 あなたが見ている星はどこの星?……地学
- 25 餅つきウサギがライオンやクマに変わらない理由……地学
- 26 月の裏側はまったく見えないの?……地学
- 27 せんたくものの中にも水がある……地学
- 28 チンダル像って知ってる?……地学
- 5 年
- 29 受粉大作戦―植物たちの工夫……生物
- 30 決まっている? どの花に何のこん虫……生物
- 31 メダカの卵とそっくり! 種つくりの秘密……生物
- 32 実は葉からできた?……生物
- 33 チューリップにも種があるって本当?……生物
- 34 発芽条件に光も入るの?……生物
- 35 1万年でもまっている―種はすごい!……生物
- 36 人と動物と植物の似ているところはどこ?……生物
- 37 すごい確率! 人の誕生のふしぎ……生物
- 38 お腹の中の赤ちゃんは子守歌が聞こえるの?……生物
- 39 生まれたばかりの赤ちゃんは何ができるの?……生物
- 40 へその緒って何?……生物
- 41 メダカを増やそう!……生物
- 42 「振り子の長さ」ってどこの長さ?……物理
- 43 ボートのオールは何番目の「てこ」?……物理
- 44 ゆれ続けるろうそくシーソー……物理
- 45 川と海の境目のなぞ……化学
- 46 シュリーレンって何?……化学
- 47 あなたの住んでいるところの最高気温はいつでるの?……地学
- 48 みそ汁で実験 身近な渦のふしぎ……地学
- 49 川の・・・長い長い長い・・・話……地学
- 6 年
- 50 酸素だらけにならないよ!……生物
- 51 水のよごれをおしえてくれる生き物たち……生物
- 52 でんぷんは植物からのおくりもの……生物
- 53 必死だね! 日光争奪戦……生物
- 54 生物の大ピンチ 酸素は猛毒!? ……生物
- 55 とっても気持ちいいリズムはお母さんのお腹の中に……生物
- 56 消化管のちがいと食べ物との関係の秘密……生物
- 57 逆に考えて発明されたモーターの話……物理
- 58 あなたも電気を作ってみませんか?……物理
- 59 石けんはなぜアルカリ性?……化学
- 60 こんなものでも指示薬に……化学
- 61 宇宙でろうそくを燃やすと炎の形はどうなる?……化学
- 62 ろうそくって何が燃えているの?……化学
- 63 炭パワーで健康生活……化学
- 64 二酸化炭素の重さを使って楽しい実験……化学
- 65 不思議な粘土! ベントナイト……地学
- 66 火山灰を洗って宝物さがし……地学
- 67 珪酸が教える植物の歴史(プラント・オパール)……地学
- 68 大気はエライ!……地学
- 69 「水」「酸素」「生命」どんな順序で生まれたの?……地学
- 1・2 年
- 70 落ち葉で思い出アート……生物
- 71 ナスとジャガイモが仲間同士?……生物
- 72 キャベツの中には種がある?……生物
- 73 ジャガイモに実がなる?……生物
- 74 イチゴって種から育つの?……生物
- 75 プールにいる水中生物をさがせ!……生物
- 76 ウサギって鳴くの? ウサギって水を飲むの?……生物
はじめに
◆ボート競技のコーチをしているという方から,次の問題を出されたことがあります。
「ボートは,てこであるオールを漕いで動かす乗り物です。では,どこが支点・力点・作用点でしょうか?」
(図省略)
自信をもって,こう答えました。
「オールを手で持っているところが力点でしょう。そして,オールをボートに取り付ける部分が支点,そして,水に入る部分が作用点ですよね。」
すると,そのコーチはほくそ笑んでこう言うのです。
「その誤解を解くことから,ボートの指導が始まるのです。」
一瞬,「え!?」と思ったのですが,すぐに自分の考えが間違いであることに気がつきました。
わたしがはじめに考えたてこは,力点と作用点の間に支点がある「第一種てこ」とよばれるものです。この場合,「支点から作用点までの距離」と「支点から力点までの距離」が等しい時,力点に加えた力と作用点ではたらく力は等しくなります。つまり天秤です。
(図省略)
ところが,支点が力点へと近づくにつれて,作用点にはたらく実際の力よりも大きい力を力点にかけなければ釣り合いは保てなくなってしまいます。そうなると,ボートは進まなくなってしまうでしょう。
実は,ボートのオールは,力点と支点間に作用点がある「第二種てこ」だったのです。水に入ったオールを支点として,オールの棒でボートを後ろへと押していたのです。地面の上でボートを漕
いでいる状態を想像していただければ,分かりやすいと思います。
理科教師であるわたしが,「小話」によって「目から鱗が落ちる」気分を味わった瞬間でした。
◆最近,理科の授業をもちたがらない教師が増えているという話を聞きます。その理由の多くは,「面倒くさい」「難しい」「きたない」「危険」という“2M2K”に集約することができるように感じています。
確かに,忙しい教師にとっては,授業前の観察・実験の準備は面倒くさいかもしれません。教える内容も何だか難しそうです。動植物を飼育・栽培するとなれば,面倒くさい上に汚いと感じる人も多いらしいですし,まして化学薬品や電気は危険という印象がどうしてもつきまといます。
しかし,子どもの多くは「理科好き」です。「理科離れ」などとマスコミで報道されたことがありますが,文部科学省をはじめとした様々な調査でも,他教科に比べて人気が高い教科であるという結果が出ています。問題は,子どもではなく教師にあるのではないでしょうか。つまり,「教師の理科離れ」です。
一方,“おもしろ観察・実験ブーム”の中,科学雑誌やインターネットから情報を先取りし,日ごろの授業内容に物足りなさを感じている子どもたちの存在も否定できません。
◆そこで,忙しい教師が手軽に使える,次のような内容の「小話集」をまとめようと考えました。
・普段目にしている自然現象の原理が分かる小話
・日常生活に生かされている最先端の科学技術にびっくりする小話
・科学法則発見にかかわる知的エピソードを紹介した小話
・もっと調べたくなる発展的な内容を含む小話
・やってみたくなる“おもしろ観察・実験”ネタが入っている小話
・「へ〜!」と納得できるような小話
小話を聞いたり読んだりした子どもたちが,理科の学習に対する興味・関心をさらに高めると共に,本誌を手にされた教師のみなさんが,理科の指導への意欲を高めていただくことができたなら,これ以上嬉しいことはありません。
最後になりましたが,本誌を編集するにあたり,明治図書編集部の樋口雅子氏,木村悠氏には大変お世話になりました。感謝申し上げます。
筑波大学附属小学校 /佐々木 昭弘
-
- 明治図書