- はじめに
- 第1章 「固定観念を崩す授業」とは?
- 1 予定調和な授業から抜け出す「固定観念を崩す授業」
- 2 「問い」の分類と常識をゆさぶる問い
- 3 前提や枠組みをゆさぶる問い
- 4 価値観をゆさぶる問い
- 5 時間感覚をゆさぶる問い
- 6 感情をゆさぶる問い
- 7 視点をゆさぶる問い
- 第2章 固定観念を崩す授業技術
- Part1 教材
- 解説 教材VS教材 子どもの考えVS教材でゆさぶる
- 実例 日本の発電量の内訳は適切だといえるのか?
- Part2 資料提示
- 解説 資料提示でゆさぶる
- 実例 私たちはどのように政治に関わるべきなのだろうか?
- Part3 名前マグネット
- 解説 名前マグネット活用でゆさぶる
- 実例 吉宗・田沼・定信の中で、最も偉大な政治改革者は誰か?
- Part4 既習内容・既存知識
- 解説 既習内容・既存知識でゆさぶる
- 実例 江戸時代は「よい社会」といえるのだろうか?
- Part5 教科通信
- 解説 社会科通信でゆさぶる
- 実例 大戦への参戦は正しい決断だったのか?
- Part6 板書
- 解説 板書でゆさぶる
- 実例 情報化・グローバル化は私たちを幸せにしたのか?
- Part7 教師の語り
- 解説 教師の語りでゆさぶる
- 実例 社会科は本当に「暗記科目」なのだろうか?
- Part8 討論
- 解説 討論(子どもの考えVS子どもの考え)でゆさぶる
- 実例 日本国憲法 9条改正に納得できる?
- Part9 ポートフォリオ
- 解説 「ポートフォリオ」でゆさぶる
- 実例 幕府は、開国して本当によかったのか?
- Part10 授業の展開
- 解説 授業の展開・単元構成でゆさぶる
- 実例 もし「未来の中学生」に手紙を書くとしたら?
- 第3章 固定観念を崩す授業デザイン実例
- 1年生
- 歴史的分野「世界の古代文明と宗教のおこり」 最も影響を与えた「文明」はどれか?
- 地理的分野「世界の諸地域―南アメリカ州―」 開発におけるプラス・マイナス、より影響が大きいのは?
- 地理的分野「世界の諸地域―アフリカ州―」 産業・人口・民族のどの課題に優先的に支援すべき?
- 歴史的分野「東アジアにおける日本」 弥生時代は縄文時代の「進化」といえるのか?
- 2年生
- 地理的分野「日本の諸地域―中国・四国地方―」 交通・通信網の発達でよりよい地域になったのか?
- 3年生
- 歴史的分野「戦後の日本と世界」 「戦後」はいつから始まったといえるのか?
- 公民的分野「国民の生活と政府の役割」 消費税率 上げる? 下げる?
- 公民的分野「人権と共生社会」 基本的人権は十分に保障されているのだろうか?
- 歴史的分野「恐慌から戦争へ」 開戦の「ターニングポイント」はいつか?
- 公民的分野「より良い社会を目指して」 SDGs 最重要ゴールはどれだ?
- 巻末資料 「固定観念をゆさぶる問い」リスト
- おわりに
- 参考文献一覧
はじめに
数ある書籍の中から本書を手に取ってくださり、本当にありがとうございます。
私は名古屋市立公立中学校で社会科を教えている西脇佑と申します。
名古屋市社会科研究会・社会科同好会に所属し、日々社会科の勉強をしています。
また、授業実践投稿のプラットフォームとしてFacebookグループ『社会科授業づくり倶楽部』(約2200人在籍)を澤田康介さん(北海道教育大学附属釧路義務教育学校)とともに運営しています。関西社会科授業実践研究会にも所属し、名古屋のみならず、全国の仲間たちと「社会科の楽しさ」を発信する活動に携わっています。
今でこそ「社会科は楽しい!」と胸を張って言えますが、教員になった当初は違いました。正直に言います。
「自分は、教師に向いていない」。教員になって数年間、私はこのような思いをずっと抱いていました。生まれ育った名古屋で叶えた夢。しかし、現実は想像とはあまりにも違うものだったからです。
「自分は教師に向いていない」―退屈そうな子どもたち―
「また社会か…」「嫌だな」私が教室に入ると聞こえる子どもたちの声。
そんな声を聞こえないふりをして、社会科の内容とは関係のない雑談で笑わすことで精一杯でした。私は「正解」を教えることに必死になり、子どもの学びを置き去りにしていたのです。寝ている姿、退屈そうな子どもを目の当たりにして、心が折れそうになったことは幾度もあります。
週末の休みが待ち遠しく、日曜日の夕方が憂うつでたまりませんでした。
「あの子さえいなければ、授業がうまくいくのになぁ」
「この子たちは、もともと勉強が苦手だからしょうがないか」
このように、自分を正当化して、子どもを責める思考に陥ったこともあります。
自分の指導力不足を認めず、子どもたちに原因を求めるような教師でした。今思えば、すべては自分の未熟さが原因でした。
「どうしてこんなにうまくいかないのだろう。自分は教師に向いていないんだ」
授業が思うようにできずに、落ち込む日々。
「こんなはずじゃなかった」と、長年の夢だったはずの名古屋で叶えた社会科教員を辞めようと思ったことは、一度や二度ではありません。
自分自身への「問い」―教師の固定観念を崩す―
そんな私が変わるきっかけとなったのは、自分自身への「問い」でした。
「子どもが本気になる授業って何だろう?」
自分自身に問い続ける中で、私は気づきました。
「こう教えるのが当たり前」「教師は『正解』をもっているべき」という固定観念に私自身が縛られているのではないだろうか。
「教師はこうあるべき」という固定観念が、子どもたちの可能性をせばめ、予定調和な授業に陥っているのではないだろうか。
このことに気づいたときに、私はわずかな光明を感じました。
それ以来、本書で述べるような「学習者視点」に立った授業づくりを行うようになり、教室の雰囲気や子どもの様子が徐々に変わってきました。
「え? そうなの?」
「こっちのほうが、正しいよ!」
提示する数々の資料に驚き、仲間と議論し、納得できる答えを追究する子どもの姿に、社会科授業の楽しさを徐々に感じるようになりました。
みなさんの授業はどうでしょうか? みなさん自身が楽しく授業ができていますか?
「予定通り進むけれど、イマイチ子どもが楽しそうじゃない」
「主体的な授業にしたいけれど、どうやったらいいかわからない」
このような悩みを抱えていませんか?
本書は、このような悩みや困り感を抱く、かつての「自分自身」のような先生方に向けて書きました。社会科は、暗記科目でも、テストのための教科でもありません。
社会科は、子どもたちが「なぜ?」と問い、考え、議論し、「納得解」を本気で追究することができる教科です。本書では、そのための具体的な方法を示します。
本書の構成
本書では、私が中学校現場で試行錯誤しながら取り組んできた授業実践の具体や工夫、子どもたちの反応や、そこから得た気づきを具体的に紹介していきます。
本書は全3章と巻末資料で構成されています。概要は次の通りです。
第1章では「固定観念を崩す授業」の定義や効果、目的を示しました。授業の中心をなす、「固定観念を崩す(ゆさぶる)問い」を6つに整理・分類し、事例を基に紹介します。
第2章では、10の「社会科授業技術」を実例も併せて示します。これは中学校だけでなく、小学校や高校でも応用できるものです。
第3章では、地理・歴史・公民の具体的な事例を掲載しました。
巻末資料では、中学校における学習内容(全単元)を、「固定観念をゆさぶる問い」に類型化し「問いリスト」として掲載しました。
そして、本書を著す上で、以下の点を心掛けました。
□実践に基づく内容とすること
□明日の授業にすぐに使えるアイデア・技術を取り上げること
□どの章・項目からでも読める構成とすること
単元の流れや教材のポイント、授業の工夫を詳しく示し、明日の授業にすぐ取り入れられるようにしました。
是非、興味をもった章・項目から読み進めてみてください。そして、読者のみなさんも、授業を受ける子どものような気持ちで、「この問いに対してどう考えるだろう?」と追究しながら読み進めていただければと思います。
もし本書のわずかな箇所が、かつての自分自身のように、日々試行錯誤されている先生方のヒントとなり、「明日の授業が変わる」「日々の授業が豊かになる」きっかけとなるのなら、社会科教師としてこれほど嬉しいことはありません。
/西脇 佑
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明治図書

















