- はじめに
- 第1章 「支え方」を極めるために
- 1 子どもたちの学びを「支える」ということ
- 2 「教えてはいけない」のか? 〜「決める」「伝える」
- 3 「伝えたい」からこそ丁寧に受け止める 〜「聴く」「拾う」「見取る」
- 4 学びを「支える」ための基本@ 全ては子ども理解から始まる
- 5 学びを「支える」ための基本A 学習材の理解が「受け止め」につながる
- 6 学びを「支える」ための基本B ふり返りが教師としての成長につながる
- 第2章 「決める」技術
- 「決める」とは
- 技術1 学習材に対する理解を深める
- 技術2 子どもたちの「問い」を予想する
- 技術3 単元計画を立てる
- 技術4 一時間の学習の流れを決める
- 技術5 子どもたちの学び方について決める
- 技術6 子どもたちの学ぶ姿を見て調整する
- 第3章 「聴く」技術
- 「聴く」とは
- 技術1 聴くために、言いやすい場・関係をつくる
- 技術2 何でも聴く
- 技術3 「わからない」を聴く
- 技術4 質問・気になることを聴く
- 技術5 言おうとしていることを聴く
- 技術6 さらに聴くために問いかける
- 第4章 「拾う」技術
- 「拾う」とは
- 技術1 場面ごとに拾う
- 技術2 「わからない」を拾う
- 技術3 疑問を拾う
- 技術4 少数の考えを拾う
- 技術5 方向付けるために拾う
- 技術6 拾うために大切なこと
- 第5章 「見取る」技術
- 「見取る」とは
- 技術1 一人ひとりの学びを見取る
- 技術2 学習成果物をもとに見取る
- 技術3 学習している様子を見取る
- 技術4 ふり返りをもとに見取る
- 技術5 協働して学ぶ姿から見取る
- 技術6 子どもたちの「問い」の変遷を見取る
- 第6章 「つなぐ」技術
- 「つなぐ」とは
- 技術1 子どもたちと学習材をつなぐ
- 技術2 子どもたち同士の学びをつなぐ(ペア・グループ)
- 技術3 子どもたち同士の学びをつなぐ(全体)
- 技術4 子どもたちの「問い」をつなぐ
- 技術5 ふり返りをもとにつなぐ
- 技術6 「つなぐ」→「つながる」
- 第7章 「伝える」技術
- 「伝える」とは
- 技術1 単元はじめに伝える
- 技術2 授業はじめに伝える
- 技術3 授業中に伝える
- 技術4 授業終わりに伝える
- 技術5 頑張り・良さを伝える
- 技術6 伝える、伝えない
- 第8章 「任せる」技術
- 「任せる」とは
- 技術1 「任せる」までに育てること
- 技術2 「問い」を大事にできるようにする
- 技術3 自分たちで考えを聴き合えるようにする
- 技術4 よりよい学び方を自分たちで選択できるようにする
- 技術5 追究のサイクルを回せるようにする
- 技術6 学級経営を大事にする
- おわりに
- 参考文献
はじめに
初任の頃、私は「自分の思うように授業を進める」教師でした。「子どもたちの成長」や「よりよい学び」が大事なのはわかっていましたが、とにかく子どもたちが「つまらない」と思わなかったり、荒れなかったりするような授業を成立させるために必死でした。「教師のいらない授業」「子どもたちの学びを支える」なんて程遠いものでした。
本当に「子どもたちの学び」に注目するようになったのは、国語教師竹の会に所属してからです。竹の会は、奈良女子大学附属小学校におられた今井鑑三先生を中心に立ち上げられた会です。私が小学校五・六年生の時の担任の先生だった川端建治先生が現在代表をされており、教師一年目の後半から参加するようになりました。
私がずっと大切にしているのは、今井鑑三先生の次の言葉です。
・子どもが生きる授業は、子どもが生きている証を表出するものである。子どもが自由に、主体的に、個性的に、思うこと、感じること、考えることを自由に生き生きと述べられることが必要である。
・生き生きと取り組む子どもは、自分の考えを持っている。また、他の子どもを一人の人間として認め、尊敬する子どもである。そして、お互いに励まし合い、練り合い、高め合い、磨き合う子どもでもある。
・子ども自らが読み、考え、まとめ、話し合い、励まし合い、認め合い、磨き合って、自己を越える学び合いが行われる授業になるように改善していきたい。
この言葉を、何度も読み返しながら、「どのように『子どもが生きる』授業ができるか」「どうすれば子どもたちの学びを支えられるか」と考え続けています。「こうすればよいのではないか」ということが見つかったと思っても、すぐに「まだまだわからないことがあるな」「子どもたちはこんな姿も見せるのか」と学び直す日々です。
「子どもたちが学ぶとはどういうことか」「教師の役割とはどのようなものか」について、読者の皆さんと一緒に考えられれば有り難いです。どうぞよろしくお願い致します。
二〇二二年四月 /若松 俊介
「支える」という視点を大切にしていきたい。
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