社会科教育実践学の構築
新しい時代に生きる教師のための基礎基本

社会科教育実践学の構築新しい時代に生きる教師のための基礎基本

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確かな学力を保障する確かな教育実践力を理論化する。

社会科教育の新しいあり方を、教師の資質向上に向け、どういうスタンスの研究が求められているのか。知識や概念、指導能力の要素を規定しながら資質形成の筋道を明らかにした。ベテランと新鋭の研究者が共同で今後の方向を示す。


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ISBN:
4-18-415412-3
ジャンル:
社会
刊行:
2刷
対象:
小・中・他
仕様:
A5判 392頁
状態:
絶版
出荷:
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目次

もくじの詳細表示

まえがき
一 社会科教育実践学とは何か、なぜ社会科教育実践学か
社会科教育実践学の構築に向けて /溝上 泰
(1)教育実践力の育成
(2)教育実践学の方向
(3)社会科における「実践の見識」
(4)教育実践としての社会科授業
二 社会科教育実践の理念と成果
1 社会科教育実践研究の課題
―今、どういう視点・方法での研究が求められているか―
(1) 二一世紀の社会科教育実践研究の課題 /片上 宗二
一 はじめに
二 社会科教育実践の理論具現化研究
三 社会科教育実践の内容開発研究
四 社会科教育実践の方法開発研究
五 評価開発研究
(2) 社会科教育実践学構築へのすじみちと課題 /二谷 貞夫
一 課題と方法意識―学校教育の意義と教育実践―
二 社会科教育実践の課題
三 社会科教育実践研究の領域と方法
四 社会科授業実践研究の課題
2 社会科教育実践の未来
―これから如何なる資質を、なぜ育てるか―
(1) 社会科教育実践で育成すべき学力としての社会形成 /池野 範男
一 問題の所在
二 社会形成とは何か
三 社会科学力の構造
四 社会形成としての社会科の特質
(2) 社会科教育実践で育成すべき学力としての社会認識 /岩田 一彦
一 社会科授業の問題状況
二 育成すべき知識
三 「学力としての社会認識」育成論
3 社会科教育実践の履歴
―過去の実践は今日の課題に何を示唆するか―
(1) 大正自由教育における社会認識教育実践 /濱口 恒一郎
一 木下竹次の合科学習論
二 一元発展の学習材料
三 合科学習論にもとづく訓導の社会認識形成論と実践
四 おわりに
(2) 初期社会科批判から生まれた社会科教育実践 /木村 博一
一 「学力低下」を論拠とした初期社会科批判の展開と「社会科の改善についての方策」
二 田辺第一小学校の社会科カリキュラムと問題解決学習
三 田辺第一小学校の社会科教育実践が今日の課題に示唆するもの
(3) 教育の現代化と社会科教育実践 /原田 智仁
一 日本における教育の現代化の特質
二 教育内容の科学化―教科研社会科部会の実践―
三 発見的学習―社研センターの探究学習の実践―
四 授業過程の組織化―授業書方式による社会科の実践―
(4) 文化リタラシー育成における社会科教育実践 /三浦 軍三
一 問題の所在と課題
二 人々が作り上げた文化のいくつかの関連性
三 地理リタラシーに宿る文化リタラシー
四 結語
(5) 新しい学力観にもとづく社会科教育実践 /市川 博
一 新しい学力観と「生きる力」の育成
二 「新しさ」の吟味と新たな教育課題
三 新しい学力観にもとづく授業像
三 社会科教育実践の理論と方法
1 社会科教育実践の内容編成
―何のために、どういう単元をつくるか―
(1) 子どもの発達とカリキュラム編成 /加藤 寿朗
一 問題の所在
二 子どもの社会認識発達の特徴
三 社会認識発達の教育実験
四 子どもの発達とカリキュラム編成
(2) 小学校社会科のカリキュラム編成の理論と構想 /北 俊夫
一 小学校社会科の内容構成はどう変遷してきたか
二 平成一〇年版学習指導要領に見るカリキュラム編成の考え方と特色
三 カリキュラム編成にかかわる今後の検討課題
(3) 地理教育のカリキュラム編成の理論と構想 /草原 和博
一 問題の所在―社会認識形成からの乖離―
二 総合的社会科学研究としての地理カリキュラムの開発
三 総合的社会科学研究としての地理カリキュラムの意義―社会認識形成への寄与―
(4) 歴史教育のカリキュラム編成の理論と構想 /梅津 正美
一 問題の所在
二 社会史に基づく一般史教授の実際
三 社会史に基づく一般史教授の原理
四 特質と意義
(5) 公民教育のカリキュラム編成の理論と構想 /西村 公孝
一 地球社会時代の公民教育
二 小中高一貫公民形成カリキュラム編成の理論と構想
三 小中高一貫のカリキュラム編成の特質と課題
2 社会科教育実践の学習方法
―どういう教材・活動を通して、何を教えるか―
(1) 教材・教具の活用と授業構成 /中村 哲
一 はじめに
二 教材・教具の性格
三 教材・教具の活用方法
四 教材・教具の目的的開発方法にもとづく授業構成
五 おわりに
(2) 新聞をもちいた授業構成の理論と方法 /小原 友行
一 問題の所在
二 教材としての「NIEのページ」の特色
三 社会科における「NIEのページ」活用の意義
四 「NIEのページ」を活用した社会科授業構成の方法
(3) シミュレーションを取り入れた授業構成の理論と方法 /山本 友和
一 はじめに―シミュレーションの要件とねらい―
二 シミュレーションと意思決定
三 ロールプレイングシミュレーション「ウオルミット地区」
四 おわりに
(4) 討論やディベートを取り入れた授業構成の理論と方法 /坂田 大輔
一 社会科学習に討論やディベートを取り入れる意義
二 討論やディベートを取り入れた授業構成
3 社会科教育実践の評価
―学習の成果をなぜ、どのように評価するか―
(1) 指導と評価の一体化 /棚橋 健治
一 目標準拠評価重視による「指導と評価の一体化」の実現
二 学力の構造化にもとづく学習成果の明示
三 新しい学力の育成を具体化する指導と評価
(2) 小学校社会科の評価の基準・規準と手続き /早川 和美
一 はじめに
二 今なぜ目標に準拠した評価(いわゆる絶対評価)なのか
三 小学校社会科の評価の基準・規準と手続き
四 観点別学習状況の評価と個人内評価
五 教育現場での評価規準の活用の実際
六 使える評価規準の開発
(3) 中学校社会科の評価の規準と手続き /野々村 拓也
一 選択教科の教育課程における位置づけ
二 生徒の主体性を重視した選択教科の授業実践(平成十四年度)
三 評価の観点と規準の設定
四 選択教科の講座の評価
四 国際理解教育と社会科教育実践
1 多文化・共生の視点にたった学校カリキュラムの変革 /魚住 忠久
一 「多文化社会」の予兆
二 「多文化共生」の困難性
三 新しい市民教育の必要と学校カリキュラム変革の方向
2 グローバル化時代に対応した国際理解教育へのパラダイムの転換に向けて /米田 伸次
一 パラダイムの転換を問われる日本の国際理解教育
二 「平和の文化」を築くユネスコの「新しい国際教育」
三 日本の国際理解教育の概念の解明に向けて
3 国際理解教育の新実践
(1) 小学校低学年における国際理解学習 /鴛原 進
一 はじめに
二 小学校低学年における国際理解学習の授業構成
三 小学校低学年における国際理解学習の授業モデル
四 おわりに
(2) 「共生」をめざした国際理解教育 /有森 歩
一 はじめに
二 新実践へのアプローチ
三 第六学年単元「『世界の平和と日本の役割』青年海外協力隊の取り組み」の展開
四 おわりに
五 生活科・総合的な学習の時間と社会科教育実践
1 二面性から見た学校カリキュラムの変革 /谷川 彰英
一 カリキュラムに見る二面性
二 総合的学習の時間の意義
三 学びの核を形成する
四 社会科教育における二面性
2 総合性と教科性
―その関係と関連についての一考察― /小西 正雄
一 「関連論」の誤謬、あるいはその背景について
二 総合性の意義、あるいは教科性の限界について
三 あらたな関連の構築、あるいは知の総合化について
3 生活科・総合的な学習の時間の新実践
(1) 子どもの気付きを深める生活科「話し合い活動」 /久野 弘幸
一 はじめに
二 子どもの気付きと生活科における「話し合い活動」
三 子どもの気付きを深める「話し合い活動」―「あさがおのたねとたんぽぽのわたげ」より―
四 子どもの知的な気付きを促す生活科実践の論理
五 おわりに
(2) 他者との「かかわり」を基底にした総合的な学習 /稲井 智義
一 「バリアフリーへの道2 〜われら桜の木救助隊〜」
二 他者との「かかわり」を求めて
六 社会科教育実践学の課題と展望
1 社会科教育実践学の提言を受けて
―教育実践学の確立を― /中野 重人
一 問われていること
二 沢柳政太郎の先見
三 戦後の教員養成
四 教師教育と教育・研究体制
五 教育実践学の構築こそ
2 社会科の核に位置づく討論授業 /ウォルター・C・パーカー (訳)藤本将人
一 セミナー(Seminar)と協議(Deliberation)
二 社会科教師の育成
三 スキルと理解
あとがき

まえがき

 本書は社会科教育を改善する立場から、次のような我が国の当面する教育課題に対して具体的に応えることを目的として著した。

 変化の厳しいこれからの社会を生きる子どもたちは「生きる力」を確実に身に付けることが求められている。「生きる力」とは「確かな学力」、「豊かな人間性」、「健康と体力」の三要素からなる力であると言われている。これらの要素は子どもを人間として育成するため必須であるが、今日の学校教育では、「確かな学力」を向上させることが緊要な課題となっている。教育課程実施状況調査や学習に関する国際調査の結果から、全般的に学力水準は保っているが、学習意欲は必ずしも高くなく、学校生活の満足度や授業の理解度は、いずれも学年が上がるにつれて低下していることなど改善すべき点が多く指摘されている。

 われわれはこれらの切実な課題にどのように対応したらよいか、解決の方策は何かについて真剣に考えねばならない。そのため、学校の教育課程の大部分を占める教科教育の在り方を検討する必要があるが、ここでは社会科教育を取り上げその在り方について考えてみたいと思う。社会科教育ではこれまで理論と実践に関する研究は広く行われ、その成果は高く評価され、社会科教育の進展に貢献してきたことは周知の通りである。しかし、ここで新たに社会科を指導する教員と学習する子どもの立場から、社会科教育が学校教育の当面する課題にどのように応えるべきか、その方向を見出さねばならない。

 社会科の教員は社会科の授業を通して社会科の求める学力を子どもに身に付けるため努力している。それは基礎的基本的知識や技能に加えて、学習意欲や思考力、判断力、表現力、問題解決力等を育成することによって社会科の「確かな学力」の向上を図るための努力である。こうした営みをする授業は、教育課程の編成、指導計画の立案、教材開発、教材研究、子どもの学習意欲や発達段階に応じた意識、先行経験等を生かした学習方法、及び、学習状況の評価等、一連の学習指導の展開上における諸活動の研究と相互に関連し合っている。したがって、授業を含め教員のする活動は多岐にわたっており、これらを一括して教育実践と称することができる。教員のねらう「確かな学力」の育成は、確かな教育実践によって可能となる。

 それでは確かな教育実践とは何かが問われなければならない。概括的にそれは明確なねらいと教育内容及び学習方法の一体化した計画的、組織的実践であると言える。我が国の教員養成において、最近、医学教育にならって教員養成のコア・カリキュラムの開発研究が進められている。それは教員としての資質の向上を図るために必要な基礎的、基本的知識や概念、指導能力の要素等を規定し、教科や教職に必要な力量の形成の筋道を明らかにしようとする研究である。同様に、アメリカ合衆国では既に一九八七年以来「専門教員資格基準全国協議会」(National Board for Professional Teaching Standards)が設置され、教員の専門職としての基準を定め、評価を厳格に行って高次の資格を与えている。すなわち、教員が免許状(License)を取得し、初任者研修や一定の経験者研修を受けた後、教育の実績について多面的に、基準に照らした評価を受けることによって、高度な力量を保持していると確認された教員に与えられる上級資格(Advanced Certiification)制度がある。我が国でも教員評価導入の動きがある。そのための評価基準の設定は欠かせない。このような流れの中で、教育実施の質の向上を図るための基準を設定する必要の中から教育実践の科学化、理論化の方向が見出されることとなると思われる。

 以上のような問題意識の中から生まれた本書の編集にあたって、全国社会科教育学会長・片岡宗二教授、日本社会科教育学会長・二谷貞夫教授、社会系教科教育学会長・岩田一彦教授、日本公民教育学会長・三浦軍三教授、日本グローバル教育学会長・魚住忠久教授、日本国際理解教育学会長・米田伸次教授、日本生活科・総合的学習教育学会長・谷川彰英教授、元文部省視学官・中野重人教授、元文部省教科調査官・北俊夫教授を始め、社会科教育学を理論的にも実践的にも幅広く究明し多大の業績をあげている碩学及び新進気鋭の研究者に執筆していただくことができた。また特筆すべきは、アメリカ合衆国の社会科教育学の泰斗であるワシントン大学ウォルター・パーカー教授から「社会科の核に位置づく討論授業」についての玉稿をいただき掲載できたことである。ここに、執筆者各位に対し深甚なる謝意を表したい。

 最後になったが、本企画、編集に際して鳴門教育大学社会系教育講座西村公孝教授、梅津正美助教授、草原和博講師には労を惜しむことなく献身的に推進していただいた。その上、明治図書出版株式会社樋口雅子編集部長には終始貴重な助言と積極的な協力をいただいた。これらの方々のご尽力により本書が刊行できたことに対して編著者として篤く御礼申し上げたい。


  二〇〇四年(平成十六年)三月   鳴門教育大学 学長 /溝上 泰

著者紹介

溝上 泰(みぞうえ やすし)著書を検索»

1932年 広島県生まれ

広島大学教育学部高等学校教育科社会科歴史卒業

広島大学大学院文学研究科修士課程西洋史学専攻修了(文学修士)

広島県立高校教諭,長崎大学講師,助教授 教育学部

文部省初等中等教育局小学校教育課教科調査官

広島大学助教授,教授 学校教育学部

広島大学附属東雲小学校長,附属学校部長

鳴門教育大学教授 学校教育学部

鳴門教育大学副学長,学長(平成10年4月―平成16年3月)


全国社会科教育学会長,日本社会科教育学会評議員,OECD/CERI環太平洋研究組織議長,日本教育大学協会理事・評議員,日本教科教育学会理事,徳島県教育振興会審議会長を歴任

※この情報は、本書が刊行された当時の奥付の記載内容に基づいて作成されています。
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