- まえがき
- T 教務主任 手順を明確にした提案で効果を上げる
- 一 教務主任の仕事とは何か
- 二 教務主任として手順を明確にした提案をする
- 1 学校の一年間の流れを明確にする
- 2 職員会議は予定時間内で終える
- 3 月行事予定表の出し方を変える
- 4 転入・転出の事務処理の手順を明確にする
- U 研究主任 プロジェクト型共同研究で校内研究を変革する
- 一 学校の研究システムに戦略を立てる
- 二 明確なゴールを設定する
- 三 プレゼンテーションで学校長の支持を得る
- 四 研究の組織を編成する
- 五 ルーブリックを作る
- 六 「仮説→検証」は、小さな問題解決を積み重ねる
- 七 マイルストーンを設定する
- 八 研究のまとめと研修を一緒にしてしまう
- V 学年主任 「時間の管理」と「進捗状況のチェック」で仕事をすすめる
- 一 会議を仕切るのは学年主任の仕事である
- 1 学年会議の進行をパターン化する
- 2 連絡事項は文書で確認をする
- 3 遅刻者罰金制度で時間厳守の意識付けをする
- 二 学年の動きを仕切るのは学年主任の仕事である
- 1 必要な仕事をリストアップする
- 2 スタッフの動きを明示する
- 3 児童の係分担表を作る
- 三 記録に残す
- W 教務主任 楽しい雰囲気で効率的に仕事ができるアイテムを作る
- 一 名刺を作る
- 1 名刺作成を呼びかける
- 2 どんなデザインにしたか
- 3 どんな効果が期待できるか
- 二 名札を作る
- 1 名札着用を提案する
- 2 どんなデザインにしたか
- 3 どんな効果が期待できるか
- 三 個人便箋を作る
- 1 個人便箋を作る
- 2 どんなデザインにするか
- 3 どんな効果が期待できるか
- 四 電話連絡メモを作る
- 1 チェック式の電話連絡メモを作る
- 2 どんな効果が期待できるか
- 五 回覧用の座席表を作る
- 1 座席表形式の名簿を作る
- 2 どんな効果が期待できるか
- X 保健主事 「わかりやすさ」で職員を動かす
- 一 意識を高めるために伝える
- 1 基本姿勢は、必ず提示する
- 2 職員向け保健便りを発行する
- 二 わかりやすい伝え方を工夫する
- 1 冊子にして提案する
- 2 色で判別できるようにする
- 3 段階的に提案する
- 三 わかりやすい計画を工夫する
- 1 動線の入った会場見取り図を提示する
- 2 タイムスケジュールを作る
- Y 研究主任 スムーズに校内研究をスタートさせるシステムをつくる
- 一 研究を構想する
- 1 研究テーマは子どもの実態から出発する
- 2 研究の参考文献はオンラインショップで購入する
- 3 研究計画を立てる
- 二 全職員で校内研究に取り組む体制をつくる
- 1 研究組織で役割分担する
- 2 「研究便り」で共通理解する
- 三 視点を持って授業を観る
- Z 情報教育主任 校務の情報化で無駄なく仕事をこなす
- 一 情報化の波を知らせる
- 二 「情報の共有化」には無線LANが便利
- 三 「情報化」共有のノウハウ
- 1 文書が簡単に作れる
- 2 文書がすぐにまとまる
- 3 サーバーのフォルダを整理する
- 4 「月行事予定表」と「授業時数集計表」を連動させる
- [ 生徒指導主任 四つのノウハウで職員を動かす
- 一 小さい組織を動かす
- 1 生徒指導部会をつくる
- 2 学校内外を歩き回る
- 3 年間計画を立てる
- 4 全体方針を示す
- 二 仕事を全員に分担させる
- 1 指導事項を絞る
- 2 第一回の生徒指導部会で提案する
- 3 担当者を決める
- 三 全体を動かす
- 1 補導や研修を分担する
- 2 生徒指導の職員朝会を分担する
- 四 記録を残す
- 1 生徒指導通信で残す
- 2 ビデオで残す
- 3 デジカメで残す
まえがき
本書では、学校という組織体で校務の効率化を図るための主任としての仕事の術を述べている。
主任として少しでも能率的に仕事を進めたいという信念で、その仕事を無駄や無理やむらを省いたその取り組みを示した。
その取り組みは、保健主事、教務主任、学年主任、研究主任、生徒指導主任、情報教育主任としての仕事術である。
効率化のために、各主任として、どんな配慮をしたか、どう動いたか、どんな提案をしたかを実物資料を示しながら述べている。
ここでいう効率化とは、一年間という期限がある学校の活動で行わなければならない仕事の質を向上させること、そして、一定期間内でより多くの仕事を終わらせることを意図している。
本書に紹介した資料は、見やすく分かりやすい提案にしたり、図やビデオなど視覚に訴えるようにしたり、時間を意識した提案としたり、モノを用意したりなど、ほんの些細な変更ばかりかもしれない。
しかし、その些細な変更により、以前より効率化された学校の活動がなされたのは事実である。
サークル員が、主任としての効率化を意識した実践を進めていったのには、少なからずわけがある。
私たちは、二十代で向山洋一氏が代表をする教育技術法則化運動に出会った。
そして、今日までの約十五年間、定期的にサークル活動を続けてきた。
その中で、次のような体験が出されたことがある。
過去に、一議題に二時間半の職員会議を経験したという話である。
長い時間は費やしたものの、その議題の結論は出ない。
もちろん、他にも議題はあった。
よって、残りの議題は後日に持ち越された。
すぐにも取り組まなければならない担任たちの学級事務は後日に延ばさざるを得ないことになる。
他にも協議しなければならない議題があるのに、その日のうちに話し合えなかったというのである。
他のメンバーも似たような経験をしたり、その類いの噂を聞いたりということがあった。
例えば、勤労体験学習のために近くに畑を借りようという提案があった。しかし、職員会議でその話し合いが長引き、収穫の秋を迎えても体験学習はできなかったというような話である。
なぜ、このようなことが起こるのか。
時代がそんな時代だった、学校がそんな学校だったと言えばそれまでだ。
ただ、私たちが主任という立場になったら、法則化の先輩のような実践を積み、各種の提案をスムーズに通したいと思ったものだった。
そんな我々が四十代となり、様々な主任となった。
定例のサークルで、四十代教師は、学校に提案したものや提案予定のものを持ち込むことが多くなってきた。
その提案は各学校で受け入れられ、先のようなトラブルは今のところはない。
この提案には、共通することがあった。
それが、効率化というキーワードであったのである。
すべての活動に期限がある学校組織で、絶えずよりよい活動を創り出していくのが私たち教師の使命である。
よって、校務の効率化ぬきには学校としての活動を仕組めないというのが我々の主張である。
ところが、この効率化そのものを教育という世界は嫌うように感じるのは私たちだけだろうか。
そして、効率化を支える術、技術、マニュアル、ノウハウという言葉を特に嫌うように思えて仕方ない。
向山洋一氏が、手術が下手な外科医は外科医として認められないという例を出している。
まったく同感である。
学校において、主任として仕事を進めるには、それなりの術が必要である。
術なしでは主任としての仕事は進められない。
さらに、それらの公開や伝達がないなら、主任の極意は次の代にはまったく伝わらない。
一つの学校に数年しか勤務しない場合、主任の極意を獲得したときには転勤することになったでは笑い話にもならない。
昨年度より今年度、今年度より来年度というように、より質の高い取り組みが連続して創り出されていくべきである。
そのために、各主任の取り組むべき内容を明確にした上で、そのノウハウをしっかり文書として残すのである。
これが主任の極意であり、次の世代に引き継がなければならないことだと考える。
各主任の仕事は、学校経営案や学校要覧、そして各種計画案として残る。
しかし、結果にいたるまでの留意点、配慮しなければならないことなどは残してあるだろうか。
このような視点で、主任という校務分掌の仕事のそれぞれを、いつ、どこで、だれが、なんのために、どのようにするか整理し文書化すべきなのだ。
そして、それらを全職員に提案する。
提示されていれば、だれが主任となっても学校はスムーズに動いていくはずだからだ。
さらに、そのまわりもその流れにそって学校という組織もすんなりと動いていくはずである。
このような考えで、我々「教育サークル 四十代の会」の八名は、現在取り組んでいることを中心に、本書を共同で執筆したのである。
末筆ながら、私たちにサークル共著の機会を与えてくださった明治図書の江部満編集長には改めて御礼申し上げる。
また、お会いしたときはいつも励ましてくださるTOSS代表向山洋一氏には改めて感謝申し上げる次第である。
ありがとうございました。
二〇〇三年一月 TOSS熊本 教育サークル 四十代の会 /有動 英一郎
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- 明治図書