- はじめに
- Chapter1 PBLでの探究のおもしろさ
- Project Based Learning
- 1 探究って何だろう。PBLって何だろう
- (1) PBLは「生き方を考える」プロセス
- (2) PBLという「方法」で考える「問題」と「課題」
- (3) チームで考えるPBL,ファシリテーター・メンターから考えるPBL
- 2 未来のおもしろいをつくる〜創造性の考え方〜
- 3 大学院でのPBL
- 4 PBL・プロジェクトとしての流れ
- 5 PBLで育む生徒エージェンシー
- (1) 生徒エージェンシーとは?
- (2) 共同エージェンシーの重要性
- (3) 地域と連携・協働したPBLの有効性
- 6 PBLの鍵を握る教師エージェンシーとアンラーニング
- (1) 問われる教師エージェンシー
- (2) アンラーニングの重要性
- コラム かんじんなことは目に見えない
- Chapter2 総合的な探究の時間におけるPBL
- Project Based Learning
- 1 Project-Based Learning(PBL)の捉え方
- (1) Learningの意味 生活の中に散りばめられているPBL
- (2) 参考資料の紹介 「PBLガイドブック」(岡山県教育委員会)
- 2 総合的な探究の時間(総探)としてのPBL
- 3 PBL・探究の5つのプロセス
- (1) 課題の設定 PBLで最も重要なプロセス
- (2) 情報の収集 先行研究,先行事例との対話
- (3) 整理・分析 雑多な状態からお宝を掘り当てる
- (4) 課題解決に向けた実践 生徒の思い入れを土台に挑戦する
- (5) まとめ・表現
- 4 岡山県教育委員会が進める「夢育」とPBL
- PBL型探究活動実践集の使い方
- Chapter3 PBL型探究活動実践集
- Project Based Learning
- PBLプレワーク
- 1 アイスブレイクを効果的に用いたチームづくり
- 2 チームワーク?と,チームビルディング?
- 3 1人より2人!漢字ゲームでチームビルディング
- 4 他者理解へ向かう協働活動
- 5 身近なものへの価値づけと価値の共有
- 6 高校へようこそ!校内探索ツアー
- 7 PBLに参加してみる
- 8 教員研修
- 課題の設定
- 9 探究のタネを拾おう
- 10 思考を可視化するウェビングマップ
- 11 真似るは学ぶの第一歩
- 12 大きなテーマは与えてOK
- 13 楽しくワクワクするようなテーマをめざして
- 14 オンラインホワイトボードを活用したテーマ決め
- 15 エクスカーション(巡検)
- 情報の収集
- 16 情報はそこら中に転がっている
- 17 フィールドワークの第一歩
- 18 インタビュー調査(対面・オンライン)
- 19 クラスメイトに決めつけインタビュー
- 20 当事者にインタビューしてみよう
- 21 新しい意識が加わると見え方が変わる
- 22 学校図書館はPBLの貴重な情報センター
- 23 新聞記者になって地域の課題を現地取材
- 24 なんでも測ってみよう
- 整理・分析
- 25 探究活動に失敗はない
- 26 PBLの計画をデザインする
- 27 ロジックツリーで思考を整理
- 28 オンラインポートフォリオを活用した情報共有
- 29 スクープ大作戦!ワクワク探究ジャーナル
- 30 学びを伝える学び
- 31 あれもこれもやってみたい?
- 32 分野を横断した発表会と相互評価
- 33 地域の方をお招きした中間発表会
- 課題解決に向けた実践
- 34 作れそうなものを考えよう
- 35 朗読技術を向上させる方法
- 36 若者パワーで商店街に賑わいを取り戻せ
- 37 地域の新たな魅力づくりに挑戦
- 38 「おもしろい」をイベントにする
- 39 大人食堂
- 40 異なる立場で考える
- 41 地元密着型探究
- 42 学校グッズを提案するプチPBL
- 43 個に対応したユニバーサルデザイン
- まとめ・表現
- 44 年次を超えて継続的な活動にするために
- 45 「おもしろいスイッチ」を振り返る時間
- 46 まとめを動画にして伝えよう
- 47 サークル対話によるリフレクション
- 48 インタビューによる言語化
- 49 学会発表までの道のり
- 50 15秒CMで自分たちのこだわりを凝縮してみよう
- 特別寄稿 企業が高等学校のPBLに期待すること
- おわりに
- 執筆者一覧
はじめに さあ!探究を始めよう!PBLで始めよう!
本書を手に取られたみなさんはきっと,新しい教育で生徒たちをもっと幸せな生き方に導こうとされているのだと思います。教科の学びだけではなく,教科の学びと日常生活とを結びつけられるような新しい「学び」が必要だとお感じになっておられるのだと思います。ねっ,図星でしょう。そのような学びを「研究」と呼んだり,「探究」と呼んだり,なかには「遊び」だよという人もおられます。そういう意味では,本書は,これからの「学び」を新しい「遊び」に変えてしまうような魔法の本かもしれません。
さて,本書では,大きく4部構成となっております。Chapter1では,探究活動をPBL(課題解決型学習)の手法や考え方でアプローチするのって楽しいよということを述べています。Chapter2では,PBLの具体的な手順を示しながら,「なぜ楽しいのか」の理由が分かるように述べています。Chapter3では,高等学校の先生方が語る今のPBLでの探究活動の実践をなんと50題材も紹介しています。そして,これらの題材同士を組み合わせれば,年間の探究活動のプログラムの作成もできるようになっています。最後特別寄稿では,PBLで育った生徒がどれだけ社会から期待されているかを企業の視点から述べていただいております。ほら,おもしろそうでしょ。
ところで,これらの手順や考え方は,高校で探究学習が始まる前から高校教育にPBLを取り入れてこられた岡山県教育委員会様の考え方をもとにしております。本書の50の授業も同県の先生方が実践されたものです。また,以上の同県の実践を学術として価値づけて,さらに大学院教育でPBLを推進している岡山大学の理論を加えています。岡山の産官学が高校生をPBLで支えているというドキュメントとしても読んでいただけます。
さあ,みなさんも,楽しい学び,おもしろい学びの世界へいらしてください。本書を読み終わった後,きっと,これまでの教科型だけの教育に戻れない「おもしろい先生」の目になっておられると思いますよ。
2025年5月 /清田 哲男
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- 明治図書