- はじめに
- Chapter1 事故ゼロ・怪我ゼロをめざす
- 1 事故は起こるかもしれないと考えておく
- 1 事故はたくさん起きている
- @ 重大事故として取り上げられる事故
- A 重大事故として取り上げられない多くの事故
- 2 事故を起こさないための日頃の予防と対策
- 2 事故が起こったら
- 1 事故発生による悪循環
- @ 子どもからすると
- A 教師からすると
- 2 それでも事故が起こってしまったら
- @ 怪我をした子どものことを考える
- A 教師を集める
- 3 起きてしまったときに慌てないためのTo Doリスト
- Chapter2 場面別でみるヒヤリハット予防スキル80
- 体育全般
- 1 季節の変わり目や暑さが厳しいときに熱中症になる
- 2 床に置いたバインダーや鉛筆で滑って転倒する
- 3 設置されているネットを踏んで滑って転倒する
- 4 集中して話を聞くことができずに事故が発生する
- 5 ゼッケンの着方やサイズに問題があり事故が発生する
- 6 見学者に意識が届かず見学者同士でトラブルになる
- 7 保健室との連携がとれず症状が悪化する
- 8 狭い倉庫での道具の準備で人にぶつける
- 9 狭い倉庫での片づけで衝突や転倒が発生する
- 10 一斉に昇降口に向かい衝突する
- 体つくり運動系
- 11 フラフープでケンケンパをして滑って転倒する
- 12 思い通りにならないフープの動きに夢中になり衝突する
- 13 投げ上げたボールを追いかけて衝突する
- 14 ボールの操作に夢中になり衝突する
- 15 大玉に巻き込まれて転落する
- 16 大玉の勢いが止まらないままバトンタッチしようとして衝突する
- 17 足元に置いた短縄を踏んで捻挫する
- 18 長縄に足が引っかかり転倒する
- 19 回し手が移動していて縄から出た子が衝突する
- 20 用具が切れて転倒する,飛んできた用具に衝突する
- 21 綱引きで合図が聞こえず人間ドミノで転倒する
- 22 おんぶで両手がふさがった状態で転倒する
- 器械運動系
- 23 実態に合わない技に取り組み大事故が発生する
- 24 マットを運ぶときにバランスを崩してぶつかる
- 25 体操服の裾が気になりバランスを崩して転倒する
- 26 うさぎ跳びのリズムと感覚がわからず顔から転倒する
- 27 かえるの足打ちで勢いあまって転倒する
- 28 かえる倒立で顔から転倒する
- 29 壁倒立で支持しきれずに崩れて負傷する
- 30 側方倒立回転で目安のゴムを持っているときに衝突する
- 31 マットの横で待機中に試技者と衝突する
- 32 跳び箱を持ったままマットにつまずき転倒する
- 33 跳び箱を運んでいるときにバランスを崩して転倒する
- 34 回転系から切り返し系の順で技を行い頭から転落する
- 35 馬跳びの馬が不安定なため跳ぶ子も馬の子も転倒する
- 36 助走をつけすぎて大きな事故になる
- 37 跳び箱が低すぎて顔から転落する
- 38 かかえ込み跳びで跳び箱につまずいて転落する
- 39 台上前転で手の着く位置が悪く転落する
- 40 ふとん干しをしようとして転落する
- 41 ツバメで後ろにいる人と衝突する
- 陸上運動系
- 42 ゴールの先にある遊具に激突する
- 43 ゴール後にコースを変えて衝突する
- 44 テイクオーバーゾーンがコーナーに近くバランスを崩して衝突する
- 45 コーナートップを理解できずバトンパスで衝突,転倒する
- 46 ハードルが高すぎたり置く向きが間違っていたりして転倒する
- 47 砂場が硬くて足を負傷する
- 48 跳んだ後に隣の跳躍者と衝突する
- 49 記録計測中に隣の跳躍者と衝突する
- 50 試技者が支柱や人に衝突する
- 水泳運動系
- 51 プールサイドやプール内の異物に気づかず問題が発生する
- 52 プールサイドの熱さで火傷する
- 53 気候にかかわらず同じ準備運動をして体に負担をかける
- 54 シャワーで密集し転倒する
- 55 プールやプールサイドの材質により擦り傷ができる
- 56 子どもの背に合った水深でないために溺れる
- 57 監視の目が届かず事故が発生する
- 58 近くの子どもに意識が集中し遠くの子どもを見落とす
- 59 飛び込みでのスタートで事故が発生する
- 60 勢いあまって水中から出た体が衝突する
- 61 大きな浮島の下に潜り込んでしまい溺れる
- 62 周りの状況の確認不足で人やプールサイドに衝突する
- 63 補助される人が自由に動けずに身動きが取れなくなる
- 64 平泳ぎのキックで人を蹴る
- 65 折り返して戻ってくる子どもと衝突する
- 66 前の泳者と接近して衝突する
- 67 「先生,投げて」で床に頭をぶつける
- 68 「洗濯機」で身動きが取れず溺れる
- ボール運動系
- 69 狭い場所での鬼ごっこで転倒する
- 70 硬いボールで指に怪我をする,軟らかいボールが飛びすぎ顔に当たる
- 71 隣のコートで活動している子どもと接触する
- 72 コート近くにある得点板に接触,転倒する
- 73 使用していないボールで転倒する
- 74 至近距離で強く蹴ったボールに当たる
- 75 大きなゴールをねらった速くて勢いのあるボールに当たる
- 76 準備中に思わずバットを振り回して友達にぶつける
- 77 打った後のバットが飛んできてぶつかる
- 78 走者に衝突したり,飛んできたバットに当たったりして怪我をする
- 79 守りが近すぎてボールやバットに衝突する
- 表現運動系
- 80 思いもよらない動きにより衝突する
はじめに
学校安全に係る基本的方向性と具体的な方策を示す「学校安全の推進に関する計画」(文部科学省)には,学校管理下における児童生徒等の死亡事故の発生件数について限りなくゼロにすること,学校管理下における児童生徒等の負傷・疾病の発生率について障害や重度の負傷を伴う事故を中心に減少させることが,目指す姿として挙げられています。確かに毎年のように,熱中症,鉄棒や跳び箱からの転落等による重大事故が体育活動中に発生しており,これらを防ぐことが重要なのは言うまでもありません。
しかし,本書で注目したかったのは,重大事故には至らない数多くの事故やいわゆる「ヒヤリハット」についてです。小学校では,得意,不得意に関わらず,ほとんどの先生が体育の授業を行わなければなりません。小学校において,体育活動中の事故で一番多いのが,体育の時間における事故です。だからといって,指導を恐れるのではなく,子どもが安全に楽しく学べるように,安全に関する様々な視点をもち,未然防止に努めることが重要であるということを伝えたいと思っています。そして,先生方が今まで以上に安全への意識を高めながら体育の授業を行うことが,死亡事故を限りなくゼロにし,重大事故を減少させることにつながると考えています。
本書では,領域別に起こりうる事故や未然防止のポイント,指導の工夫を述べています。ここに挙げた事例が全てではありませんし,未然防止に完璧はありません。本書の事例を参考にしていただきながら,安全に実施するための視点を増やすという感覚で読んでいただければと思います。なお,各事例で示した領域は一例です。他の学年や他の領域で似た活動を行う場合にも,安全に配慮してください。そして,学級や子どもの実態に応じた安全対策を取りながら授業を展開していただくことで,今まで以上に,子どもの笑顔が増えることを願っています。
2023年2月 /山崎 雅史
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- 明治図書
- 熱中症など体育授業全般のことや、領域別で起こりそうな事例について、分かりやすくまとめられています。授業におけるルールを考えなおすのにも役立ちます。2023/8/440代・小学校教員