- 「発問力」を鍛える!〜成功の鍵は「何を問うか」ではない!?〜
- 1章 子ども中心で考える発問づくりとは?
- 01 自信満々で挑んだ授業参観
- 02 クラスの実態に合った発問とは?
- 03 発達段階に合った発問とは?
- 04 どの時期にどの発問をするのか
- 05 具体から抽象へ向けて階段を上る
- 06 発問と学習活動の関係性
- 07 何を問われているか明確にする
- 08 発問のタイプを知る@
- 09 発問のタイプを知るA
- 10 「子どもファースト」の発問
- 11 三段階の「クラスの対話レベル」
- 12 クラスの対話力チェックシート
- Column1 大人は問いをつくるのが苦手?
- 2章 タイプ別発問の使いこなし方
- 01 クラスのタイプ別発問一覧表
- 02 導入発問とは?
- 03 消極型@クイズ型発問
- 04 消極型A選択型発問
- 05 受動型@価値引き込み型発問
- 06 受動型A経験引き出し型発問
- 07 積極型@そもそも型発問
- 08 積極型A納得度確認型発問
- 09 中心発問とは?
- 10 消極型@度合い考察型発問
- 11 消極型A人物対比型発問
- 12 消極型B変化考察対比型発問
- 13 消極型C登場人物の行動分析型発問
- 14 受動型@価値対比型発問
- 15 受動型A比較型発問
- 16 受動型B葛藤型発問
- 17 受動型C登場人物の気づき解明型発問
- 18 積極型@テーマ追求型発問
- 19 積極型A思考一段階引き上げ型発問
- 20 積極型B関係性考察型発問
- 21 問い返し発問とは?
- 22 消極型@経験引き出し型発問〜問い返しver.〜
- 23 消極型A少数派共感型発問
- 24 消極型Bオセロ型発問
- 25 受動型@思考深掘り型発問
- 26 受動型A価値広げ型発問
- 27 受動型Bあるなし型発問
- 28 受動型C良心突き崩し型発問
- 29 積極型@仮定型発問(特殊条件@)
- 30 積極型A仮定型発問(特殊条件A)
- 31 積極型B仮定型発問(時間軸ずらし)
- 32 積極型C仮定型発問(視点ずらし)
- Column2 生成AIと発問づくり
- 3章 発問の力で話せるクラスのつくり方
- 01 教師が理想型を伝える
- 02 理想型に向かうための声かけ
- 03 1時間単位での発問の構成
- 04 学期単位での発問の構成
- 05 目指すはシンプル・イズ・ベスト!
- Column3 モードを切り替える
- 4章 実例でよくわかる道徳発問
- 01 消極型の授業
- 02 受動型の授業
- 03 積極型の授業
- 04 まとめ
- 参考文献
- 発問の力で授業を楽しもう
「発問力」を鍛える!
〜成功の鍵は「何を問うか」ではない!?〜
授業が成功するかどうか。その勝負が失敗,成功のどちらに傾くかは「発問次第」と言っても過言ではないでしょう。発問には,子どもたちの思考のスイッチを押す役割があり,議論を活発にする力があるからです。
さて,そんな「発問力」を鍛えるにはどうしたらよいのでしょうか?
「発問力を鍛えるには,発問の役割を知り,発問のタイプを知り,自分の中に引き出しを増やすことが大切ですよ」
以前の私なら,迷わずにこのように答えていたことでしょう。この考えは間違っていないと思いますし,これからも言い続けると思います。
ですが,実はこれだけでは足りないのです! みなさんにもこんな経験がないでしょうか?
・指導書や教育書に書かれている通りに発問をしているのに授業がうまくいかない。
・ローテーション道徳や交換授業をした際に,同じ発問をしても,あるクラスではうまくいき,あるクラスではうまくいかない。
・校内研究授業などで,同僚と一緒に練りに練って考えた発問なのに,いざ授業が始まると,なぜか盛り上がりに欠ける話し合いになった。
このような経験は誰しもあるはずです。私ですか? 私はもれなく全部経験済みです(笑)。あんなに一生懸命,発問をノートに書いて考えたのに,何がいけなかったのでしょうか?
失敗を積み重ねる中で,私が辿り着いた答えは実にシンプルなものでした。
発問は,「何を問うか」も大切だけど,
本当に大切なのは,「目の前の子に合っているか」である。
授業づくりをする際に「その発問は,子どもの実態に合っていますか?」と,先輩教師から問われることがありますよね。実は,その実態こそが発問を考える上で最も重要なのです。「それくらい知っているよ!」という声も聞こえそうですが,意外と,「話し合いが活発なクラスだから,Aという発問が合っているよね」という具体的な会話はあまり聞かないものです。
本書では,私が実践した道徳授業から,240個の発問をクラスのタイプ別(積極型,受動型,消極型)に応じて整理・分析し,その中から厳選したものを紹介しています。読者のみなさんの授業づくりの参考になれば幸いです。
1章「子ども中心で考える発問づくりとは?」では,発問がうまくいかなかった理由を探り,どう改善すればうまくいくかを考えていきます。
2章「タイプ別発問の使いこなし方」では,クラスのタイプに応じた発問を紹介し,実際に活用できる具体例を示します。
3章「発問の力で話せるクラスのつくり方」では,1時間単位の発問の構成や,1学期単位での発問の構成をとことん考え抜きました。
4章「実例でよくわかる道徳発問」では,クラスのタイプに応じてどのように発問を使い分けていくかについて実践を通して紹介します。
私自身も授業で悩み,発問に苦戦してきた一人です。だからこそ,同じような悩みを抱える先生方に寄り添い,ともに歩む存在でありたいと思っています。本書が,これまでの授業を振り返り,新たな一歩を踏み出すきっかけとなれば幸いです。
/森岡 健太
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- 明治図書
- 著者の書籍は分かりやすく、やってみたいと思うものばかりです。今回は道徳の発問について、クラスの対話力や発達段階に応じて、発問の抽象度を変えていくというもので、目から鱗でした。実際の授業の発問例もたくさん載っていて、とてもためになりました。普段は指導書を参考にすることがほとんどですが、この本を参考に、抽象度を調節してクラスの実態に合った発問を考えていこうと思います。2025/8/750代 小学校教諭