目指せ!英語授業の達人41
英語トリオ・ディスカッション指導ガイドブック

目指せ!英語授業の達人41英語トリオ・ディスカッション指導ガイドブック

好評3刷

生徒の話すこと[やり取り]と書く力の両方をぐんぐん伸ばす!

3人で3分間行うポイント制のトリオ・ディスカッションとその後に行う3分間ライティングの指導法、さらに活動後のパフォーマンステストまでを徹底紹介。実物資料も収録しているので、生徒が勝手に話し続ける、書く力もぐんぐん伸びる授業がすぐできるアイデアが満載!


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PDF
ISBN:
978-4-18-389937-8
ジャンル:
外国語・英語
刊行:
3刷
対象:
中・高
仕様:
B5判 112頁
状態:
在庫あり
出荷:
2024年10月4日
備考:
サポート情報

Contents

もくじの詳細表示

まえがき
Chapter01 「話すこと[やり取り]」の指導ポイント
1 [やり取り]の「目標」とは? 〜小中高の目標の比較〜
2 [やり取り]の力を高める「言語活動」
3 [やり取り]の力を育てるディスカッション
4 ディスカッションはいつ行うか
5 やり取りの基礎力は「会話を続ける3つのスキル」(ニアシの法則)で
6 やり取りを支える「基本7スキル」
Chapter02 「3人&3分間」でやり取りと書く力が伸びる!トリオ・ディスカッション
1 帯活動で行う「3分間トリオ・ディスカッション」とは?
2 一般的なディスカッションの問題点とトリオ・ディスカッションの誕生
3 英語が苦手な生徒も伸びる活動
4 トリディスの大まかな流れとワークシート
5 トリディスでよく使う表現
6 ディスカッション表現集を導入する前にする2つのこと
7 トリディスを授業に取り入れるステップ(「えいやっ」と始める)
Chapter03 これで完璧!帯活動トリオ・ディスカッションの授業ステップ
1 全体の流れ(まとめ)
2 STEP1 新グループを発表する
3 STEP2 本日のお題を発表する
4 STEP3 3分間ディスカッションをする
5 STEP4 得点集計をする
6 STEP5 3分間ライティングをする
7 STEP6 語数計算をする
8 STEP7 作文の読み合いをする
9 STEP8 書き方のモデルを紹介する(OREOなど)
Chapter04 トリオ・ディスカッションの実技試験と振り返り
1 実技試験のポイントと要項
2 実技試験のコツ・留意点
3 実技試験を観察して気づく成果や課題
4 表現集の持ち込みの「可」・「不可」
5 評価@ シンプルな評価(使った表現の得点化)
6 評価A 体系的な評価(観点別評価)
7 教師の振り返りを指導と学習の改善に活用
8 生徒の振り返りを指導と学習の改善に活用
9 振り返りから学ぶ生徒心理
Chapter05 トリオ・ディスカッションの効果 実施前後の変容と変容を促す手立て
1 3分間ディスカッションでの「発話得点」
2 5分間ライティングでの「筆記語数」
3 生徒個人の英文の「語数」と「内容」における変容
4 英作文のミスの「添削」はどうするか?
5 「添削ほぼなし作戦」の根拠は?
6 英作文に「共通するミス」はどうする?
7 ディスカッションが苦手な生徒への「手立て」は?
8 トリディスを「レベルアップ」する4つのヒント
Chapter06 トリオ・ディスカッション完全攻略QA
1 毎回の「メンバー替え」を生徒はどう思っている?
2 生徒はどのような「発話」をしているのか?
3 生徒はどのような「英作」を書いているのか?
4 ディスカッションを「続けるスキル」とは?
5 英語を話したくなる「お題」のコツは?
6 英語を話したくなる「学習環境」のコツは?
7 生徒はなぜトリディスを頑張るのか?
8 ディスカッションの「効果的なやり方」を学ぶには?
9 英作文に「他者の意見」を取り入れられるのか?
10 生徒がディスカッションで「苦労する点」は?
11 生徒が考える「ディスカッションを成功に導く秘訣」は?
12 表現集の中で「よく使うもの」と「あまり使わないもの」は?
13 「現在の表現集」の他に生徒は「どんな表現を使いたい」のか?
14 ディスカッション・パートで「できるようになること」は?
15 ライティング・パートで「できるようになること」は?
16 ディスカッション・パートで「さらに頑張りたいこと」や「今後の課題」は?
17 ライティング・パートで「さらに頑張りたいこと」や「今後の課題」は?
実践レポート
1 【中2・帯活動】英語は使ってナンボ!「えいやっ」と取り入れてみる
トリディスで「スピーキング力とライティング力を強化!」
(山形県東村山郡・中山町立中山中学校 奥山エリ子先生)
2 【中3・教科書】難しく考えずに,まずはやってみよう!
トリディスで「本文内容について話して書こう!」
(長崎県・長崎市立福田中学校 太田 晶子先生)
主な参考文献

まえがき

 「トリオ・ディスカッション」は,通称「トリディス」と呼ばれ,「3人(&3分間)で行うポイント制のディスカッション」のことです。上山が命名しました。

 命名の経緯はこうです。「3人組」を表す英語にはtriadという単語がありますが,生徒はこの英語になじみがなさそうだったため,よりなじみのありそうなtrio(トリオ)を採用したのです(イタリア語)。ネーミングは,「活動をすぐにイメージできる」ことが大切です。


 最近では,話すことの[やり取り]に焦点が当たってはいるものの,中学校学習指導要領告示当時は,授業で簡単に実施でき,さらに評価までできる「手軽な[やり取り]・ディスカッション活動」は(私が知る限り)開発されてはいませんでした。

 そこで,「ないなら作ろう!」と思い立ち,全国の実践を探し,鹿児島県の出水田隆文先生考案のi.Talkという実践に出会いました。これは有益だと思い,ご本人の許可をいただき,このトリオ・ディスカッションの開発に至ったというわけです。その後,指導を継続することで具体的な工夫点を数多く生み出し,生徒の声とともに逐一記録と改善を繰り返し,ここに体系化することができました。本書は,そのエッセンスをまとめた初の1冊になります。


 トリオ・ディスカッションという活動は効果が出ます。たった3分間行うことで,生徒はぐんぐん「話せる」(やり取りができる)ようになり,書く活動をその後に3分〜5分間取り入れることで,ぐんぐん「書ける」ようになります(本当です。本書でその理由が分かります)。

 しかも,これだけ効果のある活動の一番の特徴は,「教師の大きな負担なしに実施可能」ということです。具体的には次のような指導が「不要」です(なくても効果が出ます)。


 ・「毎回お題(議題)を考える手間」は不要(最初にお題の一覧を作っておくだけ)

 ・「『話し続けて』と何度も声かけ」は不要(生徒は勝手に英語を話し続ける)

 ・生徒が書いた英作文の「添削」は不要(添削をしなくても伸びる)

 ・「パフォーマンス評価を新しく考える手間」は不要(練習と同じ形でお題を変えるだけ)


 これほど簡単なトリオ・ディスカッションで,なぜ生徒の「話すこと[やり取り]」と「書くこと」の両方の力が伸びるのでしょうか。理由は大きく次の2つです。

 1つ目は,「ポイント制の活動」という仕組みです。ディスカッションの表現を使う度に得点が加算されるシステムで生徒は話し続けます。さらに,個人の得点だけでなく,所属する3人グループの平均点を毎回算出するため,「グループに貢献しよう」とか「自分だけが低い得点ではいけない」と思って生徒は頑張ります。これは,グループとしての集団のプラスの教育力や心理面を活用した取組です。こうした「ポイント制」(ハード面)と「集団の教育力という力学」(ソフト面)の両面で,生徒の発話や筆記をあと押しする活動なのです。

 2つ目は,トリディスにより,「制限時間の中で真剣にアウトプットする機会」が日常化されることです。生徒は,教科書や塾,自学や動画,他者から多くの英語表現を学びますが,それらを即興的に使う機会はあまりないのではないでしょうか。このトリディスによって,[やり取り]と「書くこと」で「即興的に知識を使う機会」が保障され,使うほど得点が伸び,さらにいろいろな表現を使い,結果的に表現力がアップするのです(アウトプットの大切さ)。


 本書は,以下の6つのChapterからなります。各Chapterの見どころをお知らせします。


 Chapter 01 学習指導要領で[やり取り]の目標や活動の基本をまず押さえます。

 Chapter 02 トリオ・ディスカッションの全体像と導入法を概観します。

 Chapter 03 トリディスの詳細な流れ(や工夫点)に注目します(本書のメイン)。

 Chapter 04 実技試験とその後の振り返りのポイントを探ります。

 Chapter 05 発話語数と筆記語数の「変容」とその手立てに驚いていただきます。

 Chapter 06 トリディスに関してよく受ける質問とその答えをまとめ,疑問を解消します。


 以上のように,この1冊でトリディスについて十分理解していただける内容になっています。なお,「トリディスについて,基本的な進め方を手っ取り早く知りたい」という方は,pp.27―28の2ページをご覧ください。ディスカッションとライティング・パート【要点版】に分けて,トリディスの流れとセリフなどのイメージを簡潔につかんでいただけます。授業で実践される際にも手元に置いておく資料として参考にしていただけると思います。


 本書は,「高校生」を対象に,週2回の「帯活動」(授業冒頭に5分〜10分間行う活動)で行ったトリディスを中心にまとめたものですが,この活動は,全国の研修会等で紹介し,すでに各地で実践されて中学校でも効果が出ています。本書の最後に,中学校の実践レポートを2本ご紹介します(山形県の奥山エリ子先生と長崎県の太田晶子先生のご協力に感謝いたします)。

「話すこと」は[やり取り]と[発表]の2つからなります。本書のトリディスで[やり取り]をご覧いただいた後は,よければ[発表]の『英語リテリング&ショート・プレゼンテーション指導ガイドブック』(明治図書)にもお進みください。この2冊で,「教師の大きな負担なく,シンプルでも確実に伸びる活動」の具体的なアイデアを手に入れられるはずです(2冊ともワークシートのダウンロードが可能で,短時間で実践にお役立ていただけます)。


  2022年12月   /上山 晋平

著者紹介

上山 晋平(かみやま しんぺい)著書を検索»

1978年広島県福山市生まれ。広島県立福山誠之館高等学校卒業後,山口大学教育学部入学。2000年からオーストラリア・キャンベラ大学に交換留学。その後,庄原市立東城中学校,中高一貫校の福山市立福山中学校に勤務。2009年から同校の高校教諭となり,中学・高校の英語授業を担当。英語教育・達人セミナーや研究会,校内研修,学会,ALT研修会等で発表を行う。

※この情報は、本書が刊行された当時の奥付の記載内容に基づいて作成されています。

本書の特典は、下記よりダウンロードできます。

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内容 ファイル名 サイズ  
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      明治図書
    • トリオディスカッションを行うための手法を沢山学ぶことが出来、とても勉強になりました。
      2023/1/1240代・中学校英語教師
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