- はじめに
- 1章 道徳科における板書の役割
- 道徳科における板書の役割
- 板書を変えれば授業が変わる
- 身につけておきたい板書の基本
- よりよい板書を創るためのプチアイテム
- 板書で授業を構想し,板書で振り返る
- 2章 絶対に身につける 道徳板書の3つのスタンダード
- スタンダード@ 川流れ式で時系列をわかりやすく示す
- スタンダードA 場面絵と矢印で人物の考え方の変化を示す
- スタンダードB 授業の前半・後半で価値を検討する
- 3章 深い学びに導く 道徳板書のアドバンス
- アドバンス@ ウェビングマップで新しい価値を付加する
- アドバンスA 考え方の対比をわかりやすく示す
- アドバンスB 表を使ってメリット・デメリットを整理する
- アドバンスC バロメーターで人物や自己を数値化する
- アドバンスD 関係図で人物関係を整理する
- アドバンスE 感情曲線で心惹かれた場面を話し合う
- アドバンスF 階段チャートでランクづけする
- アドバンスG ピラミッド図で階層化する
- アドバンスH ベン図で共通点を探る
- アドバンスI 教材の中の人物と自己を比較する
- アドバンスJ 短冊を使って分類する
- アドバンスK チャート図で新しい考えを生み出す
- アドバンスL マスキングで価値を焦点化する
- アドバンスM ICT機器を活用して教材を提示する
- アドバンスN 子ども自身を参画させる
- 4章 スタンダード&アドバンス板書を活用した授業事例
- 事例01(内容項目 B-(7)親切,思いやり) 川流れ式 2年生・くりのみ
- 事例02(内容項目 A-(2)正直,誠実) 考え方の変化 3年生・まどガラスと魚
- 事例03(内容項目 B-(7)親切,思いやり) 価値の検討 4年生・心と心のあく手
- 事例04(内容項目 A-(1)善悪の判断,自律,自由と責任) ウェビングマップ 5年生・うばわれた自由
- 事例05(内容項目 D-(20)自然愛護) 考え方の対比 6年生・白神山地
- 事例06(内容項目 A-(3)節度,節制) バロメーター 3年生・ゆうすけの朝
- 事例07(内容項目 B-(8)感謝) 関係図 5年生・助け合い傘
- 事例08(内容項目 D-よりよく生きる喜び) 感情曲線 6年生・真海のチャレンジ−佐藤真海−
- 事例09(内容項目 B-(9)礼儀) 表・階段チャート 2年生・さて,どうかな
- 事例10(内容項目 B-(10)友情,信頼) ピラミッド図 5年生・星野君と定金君−星野仙一−
- 事例11(内容項目 C-(14)勤労,公共の精神) ベン図 6年生・母の仕事
- 事例12(内容項目 C-(15)家族愛,家庭生活の充実) 自己との比較 1年生・おかあさんのつくったぼうし
- 事例13(内容項目 C-(13)公正,公平,社会正義) 短冊を使った分類 4年生・いじりといじめ
- 事例14(内容項目 C-(16)よりよい学校生活,集団生活の充実) チャート図 6年生・一年生のお世話係−アフター・ユー−
- 事例15(内容項目 B-(7)親切,思いやり) マスキング 6年生・心づかいと思いやり
はじめに
道徳科の授業をしていて,こんなことはないでしょうか。
・おきまりのパターンの授業に,児童が飽き飽きしている。
・教師自身,その授業で1時間何を考えさせればよいのかわからず,とても間がもたない。
・定番教材はうまくいくのに,その他の教材になると,全く思うようにならない。
・研究授業や参観日の授業は盛り上がるのに,普段の授業になると,沈黙した雰囲気になる。
・教科書を開いたとたん,「今日はこの教材で授業をするのか……」と,授業を行うのが憂鬱になることがある。
・週1回の道徳科の授業に,教師も児童もうんざりしている。
これらの原因はただ1つ。それは,年間35時間(1年生は34時間),毎回同じパターンで授業を行ってしまっていることだと考えます。
道徳科(以前は道徳の時間)は,以前から「川流れ式」という板書による授業が幅広く行われてきました。本書の中でも詳しく解説していますが,川流れ式板書とは,右から左に向かって,順々に発問と答えを繰り返す,「定番」といわれるタイプの授業です。川流れ式板書は,道徳科の基本中の基本であるため,当然教師は身につけておかなければならない方法ではありますが,この方法に適した教材というのは,実は意外に少ないのです。
道徳科の教材は,そのほとんどが読み物教材です。ただし,一口に読み物教材と言っても,その特徴は様々です。主人公の考え方が前半と後半で大きく変容しているものもあれば,主人公の考え方が最初から最後まで一貫しているものもあります。教材の中に,異なる考え方が対比的に描かれているものもあります。文学的な文章があれば,説明的・解説的な文章もあります。これらを一くくりにして,毎回同じパターンで授業を行うという方が,むしろ無理がありますし,なにより同じパターンを繰り返していれば,児童が飽き飽きするのも当然です。
では,どうすれば,毎回同じパターンの授業から脱却できるのでしょうか。その方法の1つが,板書を変えることです。教師自身が,多様な板書法を身につける,そして教材の特性を見抜き,その特性に応じた板書で勝負する。そうすれば,道徳科の授業は,児童にとっても,教師にとっても,今よりもっと楽しく,魅力的なものになるはずです。本書では,板書の様々なパターンや具体的な授業例をいくつか取り上げていますので,この本を手に取って読んでくださっている先生方の,少しでもお力添えになれれば幸いです。
最後になりましたが,明治図書出版様には,公立学校の一教員である私に,このような貴重な機会を与えてくださったのみならず,企画から編集まで多大なるご尽力をいただきました。心より感謝申し上げます。ありがとうございました。
/有松 浩司
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- 明治図書
- 研究員として、道徳について研究しているのですが、板書について学びたかったため、ちょうど探していた内容の本に出会えて、良かったです。2022/5/720代・小学校教員
- 見てわかるので雑誌感覚に時間のある時に読むことができた。2021/9/2540代・小学校管理職