- 巻頭言
- 第1章 型にはまらない授業を創る面白さ
- 1 授業の型とは何か
- 2 志の多様性
- 3 場の多様性
- 4 術の多様性
- 5 小結
- 第2章 小学校における優れた社会科授業の多様性
- 第1節 小学校第3学年:「地域における生産」の授業を創る
- 1 歴史的な変遷から地域の水産業の変遷を考えた授業づくり
- 2 そこに生きる「人」への理解から社会的事象に迫る授業づくり
- 3 「収益や効率を意識した工夫や努力」についての見方・考え方の成長を意識した授業づくり
- 授業の多様性を生み出している理由と条件
- 第2節 小学校第4学年:「県内の特色ある地域の様子」の授業を創る
- 1 異なる2つの立場から考えるアナザー・ストーリーの授業
- 2 社会の重層性を意識して往還的思考を生み出す社会科授業
- 3 伝統的な価値を存続させるための課題を取り上げ,論争を通じて妥協点を探る
- 授業の多様性を生み出している理由と条件
- 第3節 小学校第5学年:「自然災害」の授業を創る
- 1 「溢れさせない治水」から「計画的に溢れさせる治水」への転換を図る小学校防災・減災学習
- 2 国や県及びライフライン事業者の防災対策や事業について学ぶ授業
- 3 災害の「素因」に着目した防災教育
- 授業の多様性を生み出している理由と条件
- 第4節 小学校第6学年:「わたしたちのくらしと政治」の授業を創る
- 1 科学・技術のシビリアン・コントロールの実現を目指す授業を創る
- 2 ふるさと納税を切り口とした政治学習のあり方
- 3 社会問題に関わる人々やつながりから政治を意識化する
- 授業の多様性を生み出している理由と条件
- 第3章 中学校における優れた社会科授業の多様性
- 第1節 中学校地理的分野:「ヨーロッパ」の授業を創る
- 1 生徒が地域に見られる地球的課題を主体的に追究する授業をつくる
- 2 開かれたタスクベースの探究的な授業
- 3 人物を参考にした価値判断と問い直しによるアップデート
- 授業の多様性を生み出している理由と条件
- 第2節 中学校歴史的分野:「鎌倉時代」の授業を創る
- 1 OPPシートとパフォーマンス課題を手掛かりに,「比較」を通して鎌倉時代の特色を捉える
- 2 歴史事象の「説明」を通じて「時代の特色」を考察する
- 3 モンゴル襲来に関する「語り」の変遷を捉え,自身の語りを形成する
- 授業の多様性を生み出している理由と条件
- 第3節 中学校公民的分野:「平等(権)」の授業を創る
- 1 多様な問題を検討するための枠組みをつくらせる
- 2 ワクチン政策の評価を通して社会のあり方を考える人権問題学習
- 3 類似事例の比較を通じて法の基本価値に適う法的判断基準を獲得する授業
- 授業の多様性を生み出している理由と条件
- あとがき
巻頭言
全国社会科教育学会は,我が国の社会科教育に関わる研究者・実践者を中心に構成されている学会組織です。2021年には創立70周年を迎えました。恒常的な学会活動として,年1回全国研究大会を開催し,機関誌(年2回定期刊行の『社会科研究』と不定期刊行の『社会科教育論叢』)を発行しています。
創立50周年を記念して社会科教育研究の歩みをレビューする『社会科教育学研究ハンドブック』を2001年に刊行した後,全国社会科教育学会は次の書物を世に送り出してきました。
@ 『優れた社会科授業の基盤研究T 小学校の“優れた社会科授業”の条件』2007年
A 『優れた社会科授業の基盤研究U 中学校・高校の“優れた社会科授業”の条件』2007年
B 『社会科教育実践ハンドブック』2011年
C 『新 社会科授業づくりハンドブック 小学校編』2015年
D 『新 社会科授業づくりハンドブック 中学校編』2015年 (いずれも明治図書刊)
@Aでは,優れた社会科授業に共通するスタンダードを示すとともに,スタンダードとなる授業例を多数掲載しています。Bでは,学会で蓄積されてきた理論に裏付けられた社会科実践づくりの指針を示すとともに,具体的な授業例を多数掲載しています。CDでは,社会科授業づくりの一般論を展開するのではなく,「資質・能力」「現代的課題」「学習環境と教材教具」「様々な視点」という切り口を設定して,授業開発者・研究者・メンターの三者が共同作業として授業づくりを展開していく具体例を多数掲載しています。
このように,全国社会科教育学会は,社会科の授業づくりに一貫してこだわってきています。新たに『優れた授業づくりハンドブック―型にはまらない多様な授業を創る―』を刊行することになりました。キーワードは「多様性」と「創造」です。学会の使命は,研究で蓄積された理論を踏まえてスタンダードや指針を構築するとともに,多様な研究や実践を包み込んで自由闊達に議論を展開できる大きな器であることです。そこから新たな創造が芽生えていきます。本書が,型にはまらずに多様な社会科授業を創造する面白さを学ぶ手がかりとなり,子どもたちのために社会科教育の研究と実践を発展させていく一助となれば幸いです。
最後になりましたが,本書の刊行に支援いただいた明治図書に心よりお礼申し上げます。
2022年8月 全国社会科教育学会会長 /木村 博一
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- 明治図書
- 同じ題材に対して3つの提案があったため比較しながら学ぶことができました。また、それに対する解説があり、それぞれの授業でどのような認識を形成することになるのかも分かりました。展開例が詳細にあるため、今後の実践に活かしていこうと思います。2023/7/1620代・中学校教員
- 研究者の先生方と現場の先生方の双方からの解説がとてもわかりやすいです2023/6/2630代・小学校教員
- 理論がとても参考になります。2023/6/1140代・教委
- 小中の実践を知る機会となり、高校での実践に繋げやすくありがたいです。2022/9/1130代・高校教員
- 同じ題材でどのような展開や発問をしていくかが紹介されており、とてもおもしろく参考になった。2022/9/330代・中学校教員