- はじめに
- 1章 ツールを使えば必ずできる! 「考え,議論する道徳」の授業づくり
- 考え,議論するためのツールの必要性
- ツール活用の面白さ
- 2章 活用方法がすぐわかる! 考えるツール&議論するツール
- 考えるツール
- ウェビング
- 座標軸(マトリックス)
- ランキング
- ベン図
- スケール
- Xチャート・Yチャート
- 熊手チャート
- データチャート
- クラゲチャート
- ピラミッドチャート
- バタフライチャート
- キャンディチャート
- フィッシュボーン
- コンセプトマップ
- 心情円
- 円チャート
- 同心円チャート
- 議論するツール
- 付箋によるKJ法
- 聴き合い活動(シェアリング)
- ビンゴ
- 宿題の活用(事前学習)
- 宿題の活用(事後学習)
- 議論班
- トーキングサークル
- 役割取得
- ペアトーク
- ディベート
- コミュニケーションボード
- 3章 考えるツール&議論するツールでつくる新授業プラン
- 事例1(内容項目 C-(13)勤労) 同心円チャート・クラゲチャートを活用した授業―新しいプライド(1年生)―
- 事例2(内容項目 A-(2)節度,節制) 同心円チャートを活用した授業―独りを慎む(3年生)―
- 事例3(内容項目 D-(22)よりよく生きる喜び) 円チャート・心情円を活用した授業―銀色のシャープペンシル(1年生)―
- 事例4(内容項目 C-(12)社会参画,公共の精神) クラゲチャートを活用した授業―本が泣いています(1年生)―
- 事例5(内容項目 D-(19)生命の尊さ) バタフライチャートを活用した授業―つながる命(2年生)―
- 事例6(内容項目 A-(5)真理の探究,創造) Yチャートを活用した授業―私が目ざした白〜陶芸家・前田昭博(3年生)―
- 事例7(内容項目 D-(20)自然愛護) ウェビングを活用した授業―桜に集う人の思い(1年生)―
- 事例8(内容項目 B-(8)友情,信頼) クラゲチャートを活用した授業―友達とよい関係を築くには(1年生)―
- 事例9(内容項目 A-(3)向上心,個性の伸長) マトリックス+宿題を活用した授業―カメは自分を知っていた(1年生)―
- 事例10(内容項目 C-(18)国際理解,国際貢献) 宿題・議論班を活用した授業―海と空―樫野の人々―(2年生)―
- 事例11(内容項目 D-(22)よりよく生きる喜び/A-(4)希望と勇気,克己と強い意志) 付箋・聴き合い活動を活用した授業―四本の木(3年生)―
- 付録 道徳授業Design Sheetの使い方
- 中学校版 道徳授業Design Sheet
- おわりに
はじめに
「考え,議論する道徳科の授業をどうやってつくることができるか」――,全国の中学校の先生方が,頭をひねっておられます。
それに対する私たちの提案は「ツールを使おう!」というものです。
「考えるツール」とは,例えば,そのワークシートにそって書き込んでいくだけで,子どもがおのずと,様々な視点から多角的に考えていくことができるような工夫がなされているツール,いや,おのずとそのように考えていかざるをえないような工夫がこなされたツールのことです。
「議論するツール」とは,例えばそのやり方にしたがって,子どもたちの考えを板書に整理していくだけで,おのずと,子どものたちの話し合いが,より多角的な話し合いとなり,深まっていくような,そのようなツールのことです。
「ツールを使えば,ふつうの力量のふつうの教師が,それを用いることで,誰もが,考え議論する道徳科の授業の名手になることができる。しかも自然に!」
これが私たち千葉グループ(千葉大学の土田雄一先生や千葉市の尾高正浩先生,諸富などを中心にした新しい道徳授業づくりの研究会)の提案です。このグループは,すでに約20年にわたって(!)今で言う「考え,議論する」タイプの新しい道徳授業を開発し,創造してきたのです。
現場の先生方は経験的にわかると思いますが,今,学習指導要領に示されているような「子どもが主体的に自分で考え」「十分に話し合い」「その中で自分の考えをさらに深めていく」という授業は,「力量のあるすぐれた教師」であれば,もう何十年も前から,ずっと行ってきたことです。
逆に,あまり力のない先生は,例えば道徳科の授業でも,それまでの子どもたち同士の話し合いのプロセスをほとんど無視して,「ところで,〇〇さんはどんな気持ちで……」「あなたが親切にしたいと思うのは」と半ば強引に授業を予定していた方向に引っ張っていくのが常でした。
これでは,子どもたちが「真剣に考えるのは馬鹿馬鹿しい」「先生がどのような方向に授業を進めようとしているのか,それを推測して,それに沿うように発言しなくては」……このように思うようになるのも当然のことです。
では,そのような「特別な力量のある教師」でなければ,「自分で考え,議論を重ね,その中で自分の考えが深まっていくような道徳の授業」を行うことは不可能なのでしょうか。
子どもたち一人一人が「自分との対話」を深めていき,それを「他者との対話」によってさらに深化させていく,という肯定的な循環のある授業を行うことはできないのでしょうか。
「自分のような,特に思考を深める力も,話し合いを深める力ももっていない平凡な教師は,やはり,主体的で対話的な道徳の授業を行うことなどできない」とあきらめざるをえないのでしょうか。
私たちの答えはノー!です。
「ほんの少しの工夫さえすれば,平凡な教師でも,自分で考え議論するタイプの道徳の授業を行うことはできる」
「自分と対話し,他者と対話することでさらに自分との対話を深めていくような,そんな授業は,誰にでも,できる」
私たちは,そう,思っています!
なぜなら,本書で紹介する「考えるツール」「議論するツール」の中には,授業の名人が,例えば発問の工夫や話し合いの工夫として行っているような工夫が,すでにその中に仕掛けられているからです。
「考えるツール」「議論するツール」には,ただそれを使うだけで,授業の名人の発問によって導かれていくような思考や話し合いを子どもたちが行うことができるような工夫が,すでに仕掛けられているのです。
そのポイントは「視覚化」です。
多様な角度から考え,話し合いを重ねていくことができるような「視覚的な工夫」がツールの中でなされているのです。
特に中学校では,小学校以上に「様々な角度から考える」工夫が必要になります。
これを発問だけで可能にするのはなかなか難しい。押しつけになってしまうこともあるでしょう。
しかし,「考えるツール」を用いると,子どもたちは,ただ,ワークシートに記入していくだけで,おのずと,様々な角度からものを考えていくことができるようになっています。そのような「仕掛け」が,「考えるツール」の中でなされているからです。
これさえあれば,百人力。
もう,何も怖いものはありません。
「考えるツール」「議論するツール」を使うことで,あなたは明日からおのずと,子どもたちが自分で考え,話し合いを重ねていく中で自分の考えを深めていくことができるような,そんな授業ができる教師になれているはずです!
/諸富 祥彦
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- 明治図書
- 中学道徳で使えるワークシートや、映像教材を使った道徳授業についての本が欲しいです。2024/3/1640代・中学校教員
- 中学道徳は、まだまだ教科書のみを使っての教え込みの文化が強く、そこから脱却するには、とてもよい資料だと思います。2021/11/1220代・中学校教員
- データがついていると良い2021/5/530代・中学校教員