道徳科 授業構想グランドデザイン

道徳科 授業構想グランドデザイン

新刊

総合41位

道徳科の本質を押さえた授業づくりに挑む

道徳が教科化され数年。これからの時代、「考え、議論する道徳」をどう構想すればよいのでしょうか。文部科学省で道徳担当の教科調査官である浅見哲也先生が、道徳授業の本質からはまってはいけない落とし穴、具体的な授業づくりまでを詳細に解説します。


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ISBN:
978-4-18-375517-9
ジャンル:
道徳
刊行:
対象:
小・中
仕様:
四六判 256頁
状態:
在庫あり
出荷:
2021年9月27日
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目次

もくじの詳細表示

はじめに
第1章 道徳科の本質
「道徳」ってどんなもの?
「道徳」とは法やきまりを守ること?
嘘をつくことはいけないこと?
「道徳」とは
善悪を判断するということ
万人に共通する一つの答えはない
個人の「好き」「嫌い」
道徳的行為を実践するために
道徳科の授業の意義
よりよく生きるために
「道徳」は教えられるのか
コラム アンパンマンとばいきんまんの戦い
第2章 道徳科の基礎知識
道徳科の目標を理解する
道徳科を理解するためのキーワード
キーワード@「道徳性」
キーワードA「道徳的価値」
キーワードB「内容項目」
キーワードC「ねらい」
キーワードD「主題」
キーワードE「教材」
キーワードF「道徳的価値の理解」
キーワードG「道徳的価値の自覚」
迷ったら原点に戻る
コラム 「養う」と「育てる」の違い
第3章 道徳科の落とし穴
読み取り道徳
教材の登場人物の気持ちを考える
自我関与とは
なぜ教材を活用するのか
教材の登場人物を活用した発問の意図
押し付け道徳
価値観の押し付け
授業者が行うこと
教師が教えられること
あいまい道徳
指導の意図をもつ
大劇場のステージと男の子のどちらを選ぶのか?
姉弟を動物園に入園させるのか?
決意表明道徳
道徳的行為の具体的な指導
生徒指導と道徳教育
コラム 授業は誰の自己表現の場なのか?
第4章 道徳科の授業構想グランドデザイン
年間指導計画を確認する
年間指導計画の役割
学校教育目標の具現化を図る
指導の意図をもつ
道徳性の諸様相を育てる道徳科
授業のねらいは誰が決めるのか?
教材を活用する
なぜ、教材を活用するのか?
教材吟味
発問を工夫する
登場人物の気持ちや考えを問う
問い方を工夫する
学習指導過程を構想する
授業の中心となる「展開」
「導入」や「終末」の役割
学習活動をより効果的に行う
時間配分
授業構想の手順
主体的・対話的で深い学び
全ての教科等で育成を目指す資質・能力
資質・能力を育成するための学び
資質・能力の三つの柱と道徳性
道徳科に求められる学習活動
問題意識をもつ
自分との関わりで考える
多面的・多角的に考える
言語活動の充実
自己の(人間としての)生き方についての考えを深める
ねらいとする道徳的価値を手掛かりにする
「深い学び」
何をどのように振り返るのか
書く活動
指導方法を工夫する
手段としての指導方法の工夫
令和の日本型学校教育
子供の学習評価を行う
道徳科の評価
道徳性の評価
道徳科の授業で見取る子供の評価
評価するための子供への配慮
授業に対する評価を行う
授業の評価
指導と評価の一体化
評価の視点を生かした道徳科の授業の質的転換
指導と評価の一体化の具体
事例1 小学校第1・2学年[個性の伸長]
事例2 中学校[生命の尊さ]
事例3 小学校『雨のバス停留所で』
事例4 中学校『二人の弟子』
一人一人の子供たちへの適切な対応
コラム 授業の「間」
第5章 道徳科の授業デザイン例
『黄色いベンチ』小学校低学年 C[規則の尊重]
低学年の[規則の尊重]
子供の実態を踏まえた指導
どこまでを指導のゴールとするか
『花さき山』小学校中学年 D[感動、畏敬の念]
内容項目Dの視点の特徴
[感動、畏敬の念]とは
美しいものを見つけよう
『うばわれた自由』小学校高学年 A[善悪の判断、自律、自由と責任]
道徳の本質を考える授業
思考ツールを活用する
『言葉の向こうに』中学校 B[相互理解、寛容]
授業構想の基本に返る
おわりに

はじめに

 小学校では2018年4月に、中学校では翌年の2019年4月に、道徳が特別の教科となり全面実施を迎えました。教育課程上の正式な名称は、これまでの「道徳の時間」から「特別の教科である道徳」または「特別の教科 道徳」、端的には「道徳科」と呼ぶようになりました。しかし、子供や保護者、一般の方にしてみれば、名称の変化はそれほど大きな問題ではなく「道徳」と言えばそれですむわけです。

 いわゆるこの「道徳」の授業は、時代は遡り、1958(昭和33)年9月から小学校や中学校でも行われることになっていたので、今この本を手に取っていただいているあなたも子供の頃に受けた道徳の授業の記憶が残っているかもしれません。先生がお話を読んでくれた、テレビの道徳番組を見たなど思い出されることでしょう。全く思い出すことができないという方もいらっしゃるかもしれません。もしかして授業中に居眠りをしていたのではありませんか? それは冗談ですが、道徳の授業が先生のお説教、席替えや係決めの時間になっていたのかもしれません。この道徳の授業について今の子供たちに感想を聞いてみると、「国語や算数と違って道徳には正解がないから何でも言えて楽しい」という答えが小学生から返ってきました。それに対して中学生からは「答えが見え見えで、先生が望んでいることを書いたり発表したりすることがつまらない」という答えが返ってきました。昔と比べると道徳の授業も変わってきていると言えますが、これはいったいどういうことなのでしょうか。

 このことについて考える前に、「道徳」とはどのような学習なのかを生活の中から考えてみたいと思います。

 お友達と公園で遊ぶことにしました。「みんなで仲良く遊びましょう」という学習、これが道徳? 外でお菓子を食べました。「ゴミはゴミ箱に捨てるか、おうちに持ち帰りましょう」という学習、これが道徳? 電車に乗って座っているとお年寄りが乗車してきました。「お年寄りに声をかけて席を譲りましょう」という学習、これが道徳? これらの指導が道徳だとしたら、小学生の子供たちが言っていた「道徳には正解がないから何でも言えて楽しい」というのは間違っているのではないでしょうか。「友達とは仲良く遊ぶ」「ゴミは勝手なところに捨ててはいけない」「お年寄りには席を譲る」という答えがあります。これらのことを学ぶのが道徳の授業であるとすれば、確かに中学生が言うように、先生から教わらなくても知っていることなので、つまらないという感想には頷けます。

 「道徳的な人」という言葉を耳にすることがあります。それはどのような人のことを言うのでしょうか? 「約束やきまりを守る人」「礼儀正しい人」「困っている人を助ける人」、このようなイメージかもしれません。「あなたは道徳的ですね」と言われたら嬉しいですか? 相手にしてみればほめ言葉なのかもしれませんが、言われた本人は、少しお堅い人、自分自身の魅力や持ち味が感じられない人、こんな印象を受けて複雑な気持ちになっているかもしれません。

 「道徳」は、他者と共に生活していく上で、人に迷惑をかけないようにするためにも大切なものではあるけれど、これを小学校や中学校で学習するということはどのような授業なのか、なかなかイメージしづらい教科と言えるでしょう。

 このように考えてみると、道徳の授業を行うためには、もっと「道徳」のことを理解する必要があります。そこで、教科となった道徳科の授業について、どのように指導すればよいのかを本書でみなさんと一緒に考えていきたいと思います。

 さて、この本のタイトルを『道徳科 授業構想グランドデザイン』とさせていただきました。先生方にしてみれば、道徳科の「授業づくり」の方がなじみのある言葉かと思います。それでもこの「デザイン」という言葉を使いたいと考えたのには訳があります。今日では「グラフィックデザイン」「建築デザイン」「ファッションデザイン」など、様々な分野でこの「デザイン」という言葉が使われています。「デザイン」というと、色や形、配置などを工夫し設計されたものと考えることができますが、このような工夫が様々な分野で必要とされ生かされています。ですから道徳科でも使いたいということなのですが、この「デザイン」という言葉の意味をもう少し詳しく調べてみると、二つの意味で捉えることができるのです。一つは、設計したことに基づいて形にしていくこと、もう一つは、目的を達成するための手段、思考の枠組、コンセプトの設計です。

 本書『道徳科 授業構想グランドデザイン』でも、この二つの捉え方でデザインしていこうと考えました。まずは前者のように、まだ道徳科の授業のことがよく分からないという先生方と一緒に、授業を設計するために必要な知識を学びながら形にしていこうと思います。しかし、得られた知識に基づいて形にしていくことばかり考えてしまうと、教師目線の授業設計になってしまいます。子供たちのことを考えた授業設計でなくてはなりません。そこで後者のように捉え、道徳科の目標を達成するためには子供たちがどのように学ぶことが重要なのかを考えて設計することを大切にしたいと考えました。同じ「デザイン」でも、前者は授業者である教師のための自己実現であり、後者は子供たちのための問題解決です。「デザイン」には、創造的で柔軟性のある発想が必要であり、その範囲は、単に指導方法の工夫など、狭い範囲にとどまるものではありません。このような意味を込めて本書のタイトルを決めさせていただきました。それでも本文では一般的な言葉として「構想」という言葉を頻繁に使っています。しかしそれは、教師サイドのみの設計ではなく、子供サイドに立った設計であるという意識をもって読み、授業を構想していただきたいと思います。

 本書は、道徳科についてなかなか勉強する機会がなく、どのように授業を構想すればよいか分からずに迷っている方、自己流の授業に自信がもてない方、これまで実践を積み重ね、もう一度道徳科の授業を見つめ直し、新たな発想で道徳科の授業を構想したいという方などのことを考えてまとめたものです。私自身の自己実現ではなく、困ったり、迷ったり、意欲に満ちあふれていたりする方々の問題解決となる「道徳科 授業構想グランドデザイン」なのです。

著者紹介

浅見 哲也(あさみ てつや)著書を検索»

1967年埼玉県生まれ。文部科学省初等中等教育局教育課程課教科調査官,国立教育政策研究所教育課程研究センター教育課程調査官。埼玉大学教育学部卒業後,1990年より,埼玉県熊谷市及び深谷市内公立小学校教諭,埼玉県教育局県立学校部生徒指導課指導主事,深谷市教育委員会学校教育課課長補佐兼指導主事,深谷市内公立学校教頭,小学校校長兼幼稚園長を経て,2017年より現職。

どの立場でも道徳の授業をし続け,今なお子供との深い学びを楽しむ道徳授業を追求中。

※この情報は、本書が刊行された当時の奥付の記載内容に基づいて作成されています。
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